アフター・ヴィクトリー: 戦後構築の論理と行動 (叢書世界認識の最前線)

  • エヌティティ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757140578

作品紹介・あらすじ

ナポレオン戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦、そして東西冷戦。近・現代史を画する4つの戦争の「戦後」を克明に追い、戦勝国による新秩序形成=「戦後構築」の成否を分ける論理と戦略を鮮明に描き出す。国際政治学の俊英による「勝者」への警告。アメリカのイラク統治は、なぜうまくいかないのか。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後秩序に関する重要な学術書であり、国際政治に関心を寄せる多くの読者に読み継がれる「古典」となることだろう。それだけに、誤訳が多数散見されるのが非常に残念。新訳が望まれる。

  • 戦後の秩序構築におけるアクター(国家)の行動理論について。国際秩序に多大な影響を与えた4つのケーススタディを用いてその概要を描き出す。有名作なだけあって、秩序形成という壮大なテーマにRQを置いているにもかかわらず、歴史と理論共に丁寧に叙述されている印象。

    原著と両方読んだが、個人的には原著を読んだ方が断然理解しやすかった。ミスリーディングな和訳も多く、誤解を招く表現(ジャーゴンの意訳、不適切な指示語訳出など)が散見される。

  • 国際関係におけるもっとも重大な秩序再編の瞬間は、主要戦争の終結後に起きている。
    国際政治では時流に乗ることは世界覇権の出現を許すことである。
    パワー抑制戦略の最も基本的な戦略は、国家主権を強化することである。

    冷戦はソ連が西側世界の一貫して継続された封じ込め政策と1980年代におけるレーガン政権の劇的な軍事力増強の2つに直面した結果、白旗をあげ、終焉を迎えたというのが、広く受け入れられている見方である。

    アメリカの開かれた覇権は制度化された政治秩序の運用に愛するアメリカのコミットメントの信頼性を高めるのに貢献した。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    ナポレオン戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦、そして東西冷戦。近・現代史を画する4つの戦争の「戦後」を克明に追い、戦勝国による新秩序形成=「戦後構築」の成否を分ける論理と戦略を鮮明に描き出す。国際政治学の俊英による「勝者」への警告。アメリカのイラク統治は、なぜうまくいかないのか。


    内容(「MARC」データベースより)
    アメリカのイラク統治は、なぜうまくいかないのか。近・現代史を画する4つの戦争の戦後を克明に追い、戦勝国による新秩序形成=「戦後構築」の成否を分ける論理と戦略を鮮明に描き出す。

    目次
    第1章 秩序の問題
    第2章 多様な秩序―勢力均衡型・覇権型・立憲型
    第3章 秩序形成の制度理論
    第4章 一八一五年の戦後構築
    第5章 一九一九年の戦後構築
    第6章 一九四五年の戦後構築
    第7章 冷戦が終わって
    第8章 結論

  •  ネオ・リベラリズムの主流派であるアイケンベリーの名著と言われる本。正直、冒頭の3章の理論体系が一番おもしろく、後は歴史概説に過ぎなくとても退屈で読むのに苦労した。国際政治という巨視観で、さらに国際秩序を考えるという大きなテーマなので、イギリスやアメリカを中心とした制度構築に着目するのは全然おかしいことではないが、所謂国際関係史をまとめたレベルで理論が実証されているのかは疑問。そもそも国際社会全体の戦後秩序という視野では、実証してもこの程度になるのかなという印象は受けた。むしろ、リジョーナルなあるいはバイラテラルな関係も含めた戦後構築を考えてみると実証できるかもしれない。アイケンベリーは、戦後構築における制度の拘束性とパワーへの抑制は民主主義国間だから成り立つと主張する。これは議論の余地がある一方、非民主主義国間の権力関係とソ連圏におけるソ連以後を考える際にアイケンベリーの戦後構築をどう脱構築するのかはおもしろいと思った。ただ、アイケンベリーが忘れているのは、事実上民主主義と認知されながらも民主主義国とは言えない国が存在する今日、本当に秩序を生み出し安定性を確保できる戦後構築とは、民主主義国間で成り立つのだろうかという疑問を付する事は出来る。一つの視点は、仮に現在がアイケンベリーの言うように戦後構築の成功、安定期であるとすれば実態として民主主義ではない大国、ロシアと中国の扱いはどうなるのかと理論的に考える必要があるし、逆に、現在の不安定状況がこれらの非民主主義諸国による問題行動に伴うと考えるのであれば、そもそもアイケンベリーの述べる戦後構築の制度化などは可能だろうかとも疑問に思わざるを得ない。しかし、ネオ・リアリズム的視点からこれを理解できるかと言えば、それもまた不可能だが。

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