- Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757160026
感想・レビュー・書評
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これはもう哲学というか思想というか…。
自分の経験を基に信念をもってあるべき形を一生懸命模索している感じが伝わってくる。
ただ観念的な部分が多いのと例えが判りやすくしてあるのが却って逆効果に感じる部分がある。
人間社会での流行と微生物の嗜好とを敢えて同列に扱うのは、場で作り出される拘束条件という意味では両者は同じものとしてとらえるべきだという意図的なものなのだろうか?
別の本でも感じたことだが清水が自分の考えをどうやって表現するかかなり苦労している印象を受ける。
雰囲気で伝わる部分もあるのだが、科学者としての清水がそれを良しとしていないのであろうか。
単に自分がまだまだ本書の内容が理解できていないということか…。
科学がその進展とともに背負ってきた負の部分や限界はあるが、一番の弊害はそれらの限界や自らが課した制約を自覚しなくなったこと。
既存の科学を認めたうえで、それらの制約や限定を徐々に切り崩していこうとする清水の考えはいつかどこかで誰かがやらなくてはいけないこと。
しばらくその実りは享受できないだろうが、清水の意志がより具体的な形となって継承されることを期待する。
ただ余りに清水の存在が大きすぎる気がするのは余計な心配だろうか。
現代科学の発展とその弊害の原点でもあるデカルトに対する見方も優しく、デカルトが自ら一旦脇に置いた前提条件を後継者たちが忘れたことが問題なのであってデカルトの責任ではないということもなるほどと感じた。
いったい何のためにデカルトが苦悩したのか、今の風潮を、責任を感じて一番悲しんでいるのはデカルト自身なのかもしれない。
印象に残ったフレーズを書き留めておく。
「システムが自分の拘束条件を自分でつくりだすはたらきこそ、生命の主体性といえるものである。」
「創造とは疑問から生まれるもの。」詳細をみるコメント0件をすべて表示