弱者の兵法 野村流 必勝の人材育成論・組織論

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757216488

感想・レビュー・書評

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  • 野村監督の考え方のほんの一部を垣間見た。
    ビジネスにも普段の生活にも使えそうな、「思考法」が多かった。

  • 野球界広しといえども、これほどまで、体系だった理論を持っている方はいないと思います。野球に限らず、あらゆる分野において指導者として、プロとは、勝利とな何かが理解できる内容になっています。お勧めの書籍です。

  • ・マイケル・ルイス(著)「マネーボール」が、米国のデータ野球を扱ったのに対して、日本のデータ野球はどうだろう、と読み比べる為に読んでみた。

    ・米国野球が長期(=1シーズン)の勝率を上げることを目的として、その為、統計データを駆使し、短期(=1試合)の勝敗は運任せの要素が強い外れ値と切り捨てる傾向が強かったのに対して、日本野球はものの見事に短期(=1試合)を重視し、スモールベースボールでコツコツと勝利を積み上げて行くという真逆の視点が展開されていて、その点は興味深かった。

    ・あとは普通に、監督論、コーチング論、マネジメント論が展開されていて、その点はやや肩透かしだったかも。

    ・以下、気になった言葉を引用。

    【自己啓発】
    ・「人間の最大の罪とは鈍感である」
    ・おのれの力を過信した時点で成長は止まる。それ以上の努力も思考も厭うようになるからだ。謙虚な心と感謝の気持ちを忘れなければ、満足することなどありえない。
    ・たしかに努力は大切だ。だが、方向性と方法を間違った努力は、ムダに終わるケースもある。そこに気がつくかどうかが一流になるための重要なカギとなる。
    ・依頼心は、人間の思考を衰えさせる。思考しなくなれば、進歩も止まる。一流とは、より多くの疑問を抱き、失敗を糧に課題に向かって真摯に努力し続けられる人間のことをいう。

    【監督】
    ・したがって指導者は、もしも選手が間違った努力をしているときは、方向性を修正し、正しい努力をするためのヒントを与えてやる必要がある。だから私は「監督とは気づかせ屋である」と常々いっているわけだ。
    ・「教えないコーチが名コーチである」。なぜか。教えすぎると、選手のみずから考えようとする気持ちを奪ってしまうからだ。
    ・気づき、感じとる力がなければ、それまでなのだ。最初から教えてしまうと、この「気づき、感じとる力」を奪ってしまうのである。
    ・試合における監督の仕事とは、つきつめれば危機管理である。したがってマイナス思考であるべきだと私は思う。実際、名監督と呼ばれた人のなかにプラス思考はいないのではないか。
    ・選手たちに教えすぎずに気づかせ、考えさせるとともに、準備の大切さをうるさいほどいい聞かせているのは、そこに理由がある。間違いに気づき、「どこがいけないのだろう」と考え、「どうすればよくなるのだろう」と試行錯誤する。その過程で人は成長し、技術も進歩するのである。まさしく人はプロセスでつくられる。プロフェッショナルのプロはプロセスのプロなのである。
    ・川上さんは次のように考えておられた。「プロの選手として働ける時間は短い。ほとんどの選手はその後の人生のほうが長い。ほかの社会に入っても、さすがはジャイアンツの選手だといわれるようにしておきたかった」だからこそ、人間教育に力を入れたのである。

    【判断と決断】
    ・データや観察、洞察をもとに頭をフル回転させて、もっとも成功する確率の高いものを選択するのが「判断」である。監督はまず、その判断を誤ってはいけない。ただし、その判断を実行に移すには「決断」をしなければならない。いくら頭では「これが正解だ」という判断ができても、それを実行する「決断」ができるかはまた別問題なのだ。というのは、判断は必ずしも正解とは限らないからだ。絶対に成功するとはいいきれない。
    ・決断とは一種の賭けといっても過言ではない。

    【心理学】
    ・速球派のピッチャーがよく「変化球を投げて打たれたら悔いが残る」という発言をする。が、これも私にいわせれば単なる自己満足である。もしくは打たれたときの言い訳を用意しているとしか思えない。
    →認知的不協和?

    【苦言】
    ・一軍選手と違って二軍は合宿だから食住が保障されているし、食べ物は下手をすると一軍以上だ。給料だって、同世代の人間に比べれば決して悪くない。それだったら、「しゃかりきになって一軍に上がる必要もない」−とまでは思わないだろうが、ハングリー精神はどうしたって失われる。そこがアメリカとは大きく異なるのだ。

  • 9/17 本の後半の部分は、まさに俺がコーチングで心掛けてやろうとしていた大切なことだった。それを今度をされる側として上手く活用しなければならない。結果を出すためのプロセスを大切にする。考えを実際に実践できるように思考、行動に浸透させる。

  •  とにかく最初から最後まで濃~い野球の話。ここまで野球バカなのは水島新司さんくらいしか思い浮かばない(笑)。でもこれは最近流行の品格本にカテゴライズされるのかな。ここで語られるのはやはり亡びつつある価値観だと思う。プロ野球の人気は明らかに衰退期に入っている(ご本人はそう思っていないようだが)。この本を読んで新たなファン層を獲得できる気はしなかった。
    (続きはブログで)http://syousanokioku.at.webry.info/201002/article_13.html

  • さすがノムさん、尊敬に値する師匠。テレビではカットされそうなタメになることを沢山言っておられる。名プレイヤーが名監督になれないのがよくわかる一冊‼

  • ボヤキで有名なノムさん。そのバックボーンを書いた本。

    人を成長させる、気づかせると言う事に対してどういうアプローチをするのか?
    現在の教えすぎの弊害があること等を、野球での実体験を通して野球以外でも共通する問題点を語っている。

    頭で判断、腹で決断。なるほどと思った。

  • 私が野村監督がすごいと思うのは、監督成績が1565勝1563敗であることです。勝ち星が負け数に比べてわずか2つしか上回っていないところに、野村監督のすごさと面白さがあるのではないでしょうか。決して強くはないチームを預かりながらも、野村再生工場という異名を持ち、もてる戦力を適材適所で配置していき、積み重ねてきた勝ち星。その裏には失敗もあり、負けて学ぶこともあったと思います。そういった負けの積み重ねも誇れる負け数。これだけ長いキャリアを持ちながら、名将といわれながらも勝ち星がわずか2つしか上回っていない、この妙なところが野村監督のらしさではないでしょうか。
     野球というスポーツは、プロであるなら勝ちにこだわるのは当たり前です。勝つことによって人気も上がり、注目を集めるプロスポーツ。しかし勝ちにだけはこだわらず、その先にある“人間として”“生き方として”というもっと大きな人間としての魅力を磨くことを、野村監督は選手一人一人に求めているそうです。財を残すよりも、人を残すことを目標にして野球をやってきたその思いは、昨年のクライマックスシリーズ両チーム入り乱れての胴上げの中に凝縮されているように思います。

     弱小チームであっても、智恵を使えば強くなれることを本書で述べています。そしてそのような智恵を結集して物事に対処すれば、たとえ弱者であっても日の当たる場所まで到達できることを伝えてくれています。野球という特殊なプロスポーツの世界のお話ですが、自分の立場に置き換えて考えたら、役立つこともたくさんあるように思います。
     こういう時代だからとか、こんな世の中だからと嘆くよりも、今自分が与えられている場所で、やれることをやる。しかしただやるだけでは進歩も積み重ねもありません。そこに少しでも智慧というものを活かしていていかないと進歩はありません。野村監督が南海の選手時代、レギュラーを勝ち取って3年目を過ぎたあたりから、相手チームの攻略にあって思うような成績が残せないようになったそうです。そこでどうしたら打率をあげることができるかと考えあぐね、投手の癖を見つけ、球種を予め予想するという方法を編み出したそうです。その結果、打率が5分上がり、安定していったそうです。“たった五分”と思われがちですが、打率が二割五分と三割では全く価値が異なります。そして安定して3割を打てるようになれれば、その上も見えてきます。これを実生活に考えてみたら、この五分の違いはどのようなものに当てはまるでしょうか?

     本書を読みますと、最初は勝つために使ったあらゆる兵法や手段が、実は自分を成長させるものだったことに気づきます。それは単に勝ち星を積み重ねることだけが目的ではなく、最終的に自分が何者であるかという問いに対して、どこまで誠実でいられたかの証。弱者であるからこそ創意工夫をし、智慧も働く。だからこそ、勝ち星と同じくらい、負けるこにも深い深い意義があり、成長の源があるのだと、この本は教えてくれます。

     野村監督の1563敗という負け数は、1565勝という勝ち星のために必要なものだったのかもしれません。

  • 野村流の考え方、面白かった。多少、古臭いな、と感じることもあったが。
    「判断は頭で、決断は腹で」は、なるほどと思う。仕事の面での迷い、いわゆる優柔不断な面がでるとき、この考えが頭の片隅にあれば、判断スピードを上げることができるような気がする。

    「本人が気づく前に答えを教えられても、たいがいは効く耳を持たないし残らない」も同感である。どちらかというと、教える側というよりも教えられる側として、耳の痛い話ではある。なかなか、人の言うことを素直には聞けない性格であったが、今はよくこのことが分かる。このことは、気付かせることの重要性を、示してもいる。気付かせるには、、、繰り返し言う、体験させて失敗させる、などが考えられるが、このことについても、体系的にまとめたものがあると思われる。そのようなものに出会ったら、注意深く読んでいきたい。。

  • 前半は野球の話が多くあまり期待していた内容ではなかったが、後半1/3位は人生勉強につながる話が多く興味を持って読めた。

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著者プロフィール

京都府立峰山高校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークスに入団。3年目の1956年からレギュラーに定着すると、現役27年間にわたり球界を代表する捕手として活躍。歴代2位の通算657本塁打、戦後初の三冠王などその強打で数々の記録を打ち立て、 不動の正捕手として南海の黄金時代を支えた。また、70年の南海でのプレイングマネージャー就任以降、延べ4球団で監督を歴任。他球団で挫折した選手を見事に立ち直らせ、チームの中心選手に育て上げる手腕は、「野村再生工場」と呼ばれ、 ヤクルトでは「ID野球」で黄金期を築き、楽天では球団初のクライマックスシリーズ出場を果たすなど輝かしい功績を残した。現在は野球解説者としても活躍。

「2016年 『最強の組織をつくる 野村メソッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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