ドラゴンランス セカンドジェネレーション〈下〉

  • エンターブレイン
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757715165

作品紹介・あらすじ

下巻には、若き日のレイストリンを描いた短編、タニス親子とダラマールを巻き込んだエルフ王国の闘争を描く中編、資料「タキシス暗黒騎士団」ほかを掲載。続く大傑作長編『夏の炎の竜』第一部も先取り収録。謎と興奮に満ちた、壮大にして感動的な剣と魔法のファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  •  前巻〈上〉と同様、第二世代のエピソードが、今回は二編と一つ少ないが、それを補って余りあるくらいの中編「わが子のために」で、いよいよ、またあの長く辛い旅が始まるのだなといった悲しき予感に駆られ、どうやら前シリーズ「伝説」のように、決して明るいものでは無さそうだ。


    「レイストリンの娘」
     黒ローブの魔術師レイストリンに娘がいたのか!? という驚きは、「ああ、そういうことね」といった落胆に変わったものの、実は、次作「夏の炎の竜」への伏線が巧妙に張られており、『この世にはまだ明かされていない謎が、降る雪の数ほどもある』を、まさに思い知ることになる一方で、『持って生まれた孤独の性』と『深く傷つけられてきたから、傲慢と冷たさという鎧で身を固めている』といった、決して偶然だけではない彼らの出会いには、きっと大きな意義があると感じられるような、ひとすじの光明があった。

    「わが子のために」
     ハーフエルフのタニスの息子「ギル」は、人間の血を四分の一受け継いだ、所謂クオーターではあるものの、それでも、彼の中に暗く埋まり続けるエルフでは無いことへの複雑な思いは、父の思いとはまた異なる、彼にしか分からないものがあり、故に、家族関係に漂う緊張感には読んでいて、胸の詰まる思いがしたが、それでも政治的陰謀に巻き込まれたことをきっかけに、少しずつ両親のことを気遣い、彼らから学ぶことを知った彼は、母の『厳しいときこそ、優雅に振る舞うのよ』で怒りをこらえ、父のポリシーであった『最善を尽くさなければならない。正しいことを行い、そして自分が引き起こした災いをできるかぎり償わなくてはならない』を思い出してはその責任を全うしたりと、それまでの彼にはなかった、ギルという個の成長の証だと思われた場面は、読んでいてとても清々しいものがあった。

     しかし、その一方でこの陰謀の影は思いのほか深いものがあり、タニスはすっかりお役御免かと思いきや、どうやらまたしても、彼の前には暗い旅路が待っていそうで、彼のこれまでの辛い生い立ちを見てきた私からすれば、彼女と結ばれたことでやっと幸せが訪れたと思ったのに、またかといった悲しみに囚われたものの、でも、冒険の端々で苛立っている彼を見るのも好きだから、まあいいか(笑) タニスはやっぱり悩んでいる姿がよく似合うし、きっとまた会えるよ。


     そして、次作「夏の炎の竜」の第一部が付録として掲載されており、こんな豪華な付録は無いだろと喜び、早速そのまま読んでみることに。

     なるほど。確かに、これまでの「セカンドジェネレーション」の要素が第二世代に限らず、見事に新たなストーリーとしてまとまっているが、手紙の件はちょっと冗長だったかな。まあ、その後でこれを掲載した意味は理解したけれど、もしかして、今回の大物はこれ? でも、これ出すのって、ちょっとずるくないですか(笑) トランプでいうところの、最初からジョーカー出してくるみたいな感じで。

     ただ、ひまわりめろんさんが絶賛するのも分かるような気がしてきて、竜との関係性はまだ不明なものの、いったいどうすればいいんだといった先行きの不透明感が、逆に物語への期待感を否が応でも高まらせてくれて、これは読むしかないな。

  • 下巻です
    こちらも続く大長編のプロローグ的なお話しが二編

    そしてクリンの世界の誕生と大いなる存在も明らかになったりして『炎の夏の竜』への期待感は高まるばかり

    キャラモンとティカの三人の息子、暗黒のタキシス騎士団となったキティアラとスタームの息子、エルフの国の王となったタニスとローラナの息子そして故郷を追われたレイストリンの娘(!)
    彼らセカンドジェネレーションがどのように出会い、躍動するのか
    うーん楽しみ!

    • たださん
      こんばんは(^^)

      下巻読みましたよ!
      「夏の炎の竜」の第一部が付録で入っていて、その内容に作家二人の本気度を感じましたが、あれを相手にす...
      こんばんは(^^)

      下巻読みましたよ!
      「夏の炎の竜」の第一部が付録で入っていて、その内容に作家二人の本気度を感じましたが、あれを相手にするとして、何とかなるのですかね?
      でも、これは確実に面白くなる予感がしております!
      2024/04/07
    • ひまわりめろんさん
      たださん
      こんばんは!

      えーっとですねー
      うーん、あれですよね
      あれはねー
      ドラゴンランスの世界にマーガレットとトレイシーが込めたテーマを...
      たださん
      こんばんは!

      えーっとですねー
      うーん、あれですよね
      あれはねー
      ドラゴンランスの世界にマーガレットとトレイシーが込めたテーマを表現するにはあれの存在が必要だったんですよ

      そしてあまりにあれなんでどうにかなるの?ってのは分かります!
      結末は是非読んでもらうということで
      もう最初から最後まですんごいですから
      2024/04/07
  • 今にして思えば「ドラゴンランス」のマジェーレ家は、キャセモン、レイストリン、キティアラで、光、中立、闇ときれいな三角形だったんだなぁと思います。
    そして、魅力は、中立のレイストリンにありました。

    「セカンドジェネレーション」では、この中立的なキャラクターが、すごくたくさん出て来て、魅力的です。

    上巻に出て来たスティール、バリンなんかも、そうです。

    下巻には、レイストリンの娘ウーシャ、タニスの息子ギルサナスがでてきます。
    こちらは、精神的には、多分「光」の方を見ているようですが、生まれ的には、2人とも「ハーフ」です。

    それから、そのすべてを見ているという感じのダママール。この人、いいキャラになったなぁ。「伝説」のときは、そんなに感じなかったのですが、たしかに、かなりかっこいいです。

    そして、個人的な問題だけではなく、この中立的ものは世界の構造そのものにもはいりこんできます。
    エルフの腐敗。そして、気高い「タキシス騎士団」。光にして混沌。闇にして法。
    まるで、巴の紋のように、光の中に闇があり、闇の中に光があります。

    プロローグが終わって、「夏の炎の竜」に向けて、物語がうねっています。

  • ドラゴンランス伝説の主人公の子供たちがメインの短編集。子供たちが主人公の続編があるのを知ってるだけに、読み終わった感想は「配置が終わったな」だったけどね。善と悪と中立と。次はここから物語がスタートするのね。期待させます。
    それをおいといても、物語自体おもしろかったです。さすがドラゴンランス。
    2008/1/12

  • 『わが子のために』『レイストリンの娘』の2篇収録。
    (書きかけ)
    望んでも得られなかった子が生まれ、しかも大病によって一命を取り留めた状況で過保護になった親を責められるだろうか?(とは言え過保護過ぎではある)
    タニス家はハリウッド映画で良くある仕事が忙しくて子供と会話出来ていない家庭そのままですね。


    しかしダラマールって便利なキャラですね。

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