いかだ満月 (角川時代小説倶楽部)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 52
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758411219

感想・レビュー・書評

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  • 本当に読みいってしまうようになった。今までなら途中で読みかけのまま放置しても気にはならなかったのだが、最近では一日で読み切ってしまわないと気がすまなくなったのは、山本一力先生!ついにさんではなく先生の敬称をつけてしまう。

    「いかだ満月」

    この作品は少し調べごとをしながら読まないとわからなくなる部分があるので、検索しながらの読破だったのだがなかなか面白い。主人公はねずみ小僧次郎吉の一粒種の大次郎。そして彼の成長を目を細めながら見守る多くの人々が物語を形成していく。

    出生を秘密にしていくのだが、いつしか周りは気がついてしまうのだが、そこは江戸っ子の気質で心温まる作品となっている。大二郎を連れて気の商売を行うため新宮を訪れるのだが、連れの大人がご飯に味噌汁をかけ俗に言うねこまんまにすると、横で大二郎が縁起が悪いからダメだよ~と。ねこまんまは山が崩れるようで縁起が悪いということでしちゃいけないんですね~。そんな小技までつけてくれるのがにくい限りです!

  • 江戸の川並と材木問屋が、杉の買い付け交渉のために船で新宮に向かう。後半の舞台が三重県なので、ちょっと身近に思いつつ読んだ。ある意味ワンパターンだけど、これぞ一力節で悪くない。

  • 地べたに落っこってた木をなめた時に、もし腹が痛くなったりしたら、それはこっちが神様に無礼を働いたからさ どうしたわけか他の作品のように一気に読み進めなかった 主人公が誰なのかぼやけていたと思う

  • 江戸の義賊として名を馳せた鼠小僧次郎吉が獄門になった後、相棒でもあった材木問屋「新宮屋」の祥吉は、残された次郎吉の妻と息子・大次郎を守ることを誓う。ある大商いをものにした祥吉は、熊野杉の買い付けのために大次郎、川並の健次とともに七日船に乗り、紀州・新宮へと向かうが…。大次郎は旅の途中、幾多の苦難を乗り越え、たくましく成長していく。市井に生きる人々の義理と人情と誇りを描く、傑作時代長篇。(「BOOK」データベースより)

    うーん、進め方が『いすゞ鳴る』みたいな感じだったなぁ。
    話があちこち飛んで、主人公がいまいちハッキリしない。
    好みの問題なのでしょうが、私は主人公がハッキリしていて、その人が中心になって描かれるストーリーが一番しっくりきて好みです。
    『だいこん』とか『菜種晴れ』とかね。
    今回のパターンはイマイチかな。(誰に重きを置いて書いていたんだろう?)
    ラストも祥吉と大次郎が江戸に戻ってくるまでを、しっかり描いてほしかった。
    ただ合間に織り込まれる人と人とのふれあい、それにからんだ人情模様は相変わらず群を抜いて素晴らしかったです。
    やっぱり山本さんのお話は好きだわ~。

  • 「あかね空」山本一力さんの作品
    男たち・・・漢たちがカッコいい
    商人や働くものたちの心構えが
    ピシッと定まっていて、読後感が
    良い
    設定にねずみ小僧が無く、商人もの
    でも充分面白さを描けると思うが、
    背中に背負った重いドラマと、受け
    止める子供の存在を生かすためには
    良かったのかな?

  • h21.01.02

  • 完全復活とまでは行かないまでも、或る程度の助けにはなりました、有難う、一力さん。面白かったです。

  • 故郷の土佐と大好きな深川を辿る線上に新宮はあり,それなら材木だと・・・この前は鯨,その前は菜種,鰹節〜廻漕問屋の隠居が普請する隠居所には熊野杉をつかべしとの八卦見の発現で木柾に談判に赴き,材木問屋は紀州の梅干しを持参した材木屋の新宮屋を思い出す。新宮屋は仲間であった鼠小僧が隠れ蓑にしてきた店で,磔になった盗賊は,子と妻の後事を祥吉に託していた。祥吉は廻船問屋に運賃を掛け合い,木場の川並の頭・健次と鼠小僧の忘れ形見・大次郎を伴い,新宮に赴き,将軍を招く離れを造ろうと杉を買い付けに来た水戸藩士と競いながら,無事杉の大量買い付けを果たす〜「相手がよく出るか,悪く出るかは,対する自分次第」ということが,この人のテーマらしい。ちょっと,うんざりだね。妙な部分を書いていくと?鼠小僧と材木屋との噂があるのに余り広まっていない(噂は速く回るモノなのに)?南に向かう船に南風が・西に向かう船に西風が順風(普通,南風と云ったら南から吹く風じゃないの)?大次郎の幼馴染みは5年の年を経てもすぐ分かるのに,新宮が在所であるという祥吉を知る人間が出てこない(嘘なのか)?水戸家の百俵二人扶持の軽輩が銘刀・備前長船を持ち歩いている(家宝だろうに長旅に持っていくとは)?杣に突進した猪を一刀で殺したが,事切れてから5歩進み倒れた場所が一間も空いていた(瞬間移動しかありえない)?商家の女将然とした女性が身寄りのない巾着切りの小僧を庇い,蕎を食わせて,筏乗りに預ける(5歳から一人きりの小僧がまともななりしている筈がなく,汚くて臭いだろうに,蕎を親切に食わせてくれる親父や席を譲ってくれる客はいない)

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著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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