夜がどれほど暗くても

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 783
感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758413473

作品紹介・あらすじ

志賀倫成(しがみちなり)は、大手出版社の雑誌『週刊春潮』の副編集長で、その売上は会社の大黒柱だった。
志賀は、スキャンダル記事こそが他の部門も支えているという自負を持ち、充実した編集者生活を送っていた。
だが大学生の息子・健輔(けんすけ)が、ストーカー殺人を犯した上で自殺したという疑いがかかったことで、
幸福だった生活は崩れ去る。スキャンダルを追う立場から追われる立場に転落、社の問題雑誌である『春潮48』へと左遷。
取材対象のみならず同僚からも罵倒される日々に精神をすりつぶしていく。
一人生き残った被害者の娘・奈々美から襲われ、妻も家出してしまった。
奈々美と触れ合ううちに、新たな光が見え始めるのだが……。

感想・レビュー・書評

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  • 『正直、恥も外聞もなく悲しむことができるのを羨ましいと思った。喪主の立場云々よりも、己の感情に容易く溺れられる状況が羨ましい。』
    ....ずっと心の中で抱いていた感情がようやく言語化された。

    『あんたたちがどれほど偉い人間かは知らないが、苦しんでいる者を更に追い詰める権利なんてないだろう』

    『わたしを非難しなくても、身近な誰かを非難すれば同じだ。改めて聞くが、弱っている人間を叩いて楽しいか。それで君が得るものはあるのか。』

    『君だって母子家庭がどうのと言われた時は痛かったはずだ。その痛みを思い出してくれればいい。』

  • 大手出版社勤めの志賀。大学生の息子が殺人を犯しその場で無理心中したとして被疑者死亡のまま書類送検されたという。加害者の父としてメディアから追われる立場となる。追う側から追われる側へ、かつて自分がやってきたことが容赦なく己を襲う。記者として息子の事件を追うのかと思っていたら、ちょっと違ってた。加害者家族の生きづらさと同様の生きづらさを被害者家族も味わっていることに、とても悲しい気持ちになった。

  • ストーリーは良かったけど、無理矢理感が否めない…

  • 志賀さんが暴走しすぎて死んでしまわないかハラハラしていたけど最後はハッピーエンドで終われてよかった!菜々美ちゃんの境遇を考えると苦しいけどそれ以上に菜々美ちゃんの強さに感動した!

  • 週刊誌副編集長でゴシップ記事とか載せたの出してた志賀さんの息子が何とストーカー殺人!
    取材する側からされる側になり加害者家族として世間から非難囂囂、同業者からの執拗な取材攻勢...
    被害者家族と加害者家族の苦悩を描きながら、何かいー感じにまとまるお話。

    最後は絶対有り得ないだろぉぉぉ?って思いますけど、いー感じに終わってよかったです( ^∀^)
    葛城刑事はあの葛城さんでいーんですよね?

  • 被害者家族と加害者家族の苦悩は同じ。スキャンダルを売りにする週刊誌の副編集長の息子が殺人犯に!
    今までとは、打って変わって世間の注目を一心に浴びることとなった主人公が何を護ろうすれば良いのかを見つめ直す話。
    面白いのだが、もう少し深みがあれば、なお良かった。

  • 週刊誌の記者として芸能人のスキャンダルを追いかけてきた志賀。私生活をも赤裸々に暴く仕事ぶりに批判を受けながらも、仕事に誇りを持ち、自分なりの正義を持って働いてきた。
    しかし突然一人息子の健輔が人妻にストーカー行為を働き、挙げ句相手の夫を殺害し、女性と無理心中をしたとの疑いがかけられ、一気に追う側から追われる側へと追い込まれていく。平凡で幸せだったはずの生活は一変し、妻は家を出て行き、職場では閑職に追いやられ、見ず知らずの人からも悪意を投げつけられる。そんなどん底の日々にさした光が被害者遺族である奈々美だった…

    読む前は、週刊誌記者の父親が息子の冤罪を晴らすために奮闘する話なのかと思っていたが、全く違っていた。
    犯罪が起きたとき必ず生まれる、被害者遺族と加害者家族、本人は何も罪を犯していないのに犯人と同様な嫌がらせや迫害を受ける。理不尽だと思った。
    自分勝手な正義をふりかざし、まるで正しいことのように嫌がらせをする不特定多数には本当に頭にきた。
    最後のエンディングはちょっとできすぎで、そんなことあるかな…と思ったけれど、奈々美ちゃんも志賀も幸せになって欲しいと思った。

  • 加害者家族と被害者家族、それぞれの生きにくさ。どちら側も読んでいて辛い。志賀の粘り強さや奈々美の強さが、それも辛いけど、なんとか希望の光。最後は救われてほっとした。

  • 被害者側と加害者側も、その家族はどちらも苦難が待ち構えている…
    辛いね。そんな日本になってほしくない。
    そして、亡くなってから気づいても命は戻らない。
    「今」を大事にしなくてはいけないなと、あらためて思いました。

  • 最後の大どんでん返しがよかった。
    子どもを失うなんて悲劇は考えたくもないけど、なんと加害側だと。そんなことがあっていいわけがない。でもそんなことが起きてしまった主人公志賀は、事件を契機に失うものばかり。ほんと真っ暗な夜の闇はここまで深いのかと思いつつもネット社会においてはさもありなん。それでも、もがき苦しむ志賀の前に現れた現実は…。

    最後のどんでん返しに少し救われた気がした。
    でも、もう少しページを割いてもらったほうがよかったなぁ。生意気言ってすいません!

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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