神様のパズル (ハルキ文庫 き 5-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.38
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本棚登録 : 2016
感想 : 268
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758432337

感想・レビュー・書評

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  • なんかどこかで聞いたことあるタイトルだなと思い手にとってみた。人に宇宙は作れるのか、というテーマにすごく惹かれた。ここに登録するときに映画化してたことを知ったが、無理がありすぎる気がして見てみたいとも思わない。途中のゼミとかの議論の内容は、詳しいことがわからない素人だからつっこんだりせずに楽しめて、わくわくしながら読み進めたけど、終盤からありきたりな感じになって面白くなくなってしまったのが残念。
    名前の由来はダジャレだけどおもしろい。

  • だめだーーー!!
    超ワケワカメ。物理は無理。
    雰囲気はつかめたけど、理解には程遠いよー

    留年寸前大学生、僕。
    卒業がかかってる難関ゼミで天才少女、穂瑞沙羅華の“お守り”をお願いされる。もちろんポイント稼ぎのために!と思ったら、なんか気に入られてるし。
    で、彼女が提案したゼミテーマが「宇宙の創造は可能か」。
    無から作られたんなら、人間にも出来るんじゃ、と。

    話は僕の日記形態で語られて、超難しいディベートが続くと日と、僕が大学四年生生活で葛藤する日と、恋に稲刈りに悩む日と、交互に続くので頭はパンクしません。ほー。

    基本的にはキャラ絡み中心のラノベ調です。
    で、宇宙は作れるのか、から始まり、そもそも宇宙とは?とか無とは?とか基本中の基本、定義が曖昧ってことが判明します。
    中ほどのプロセスはよくわかってないのですっ飛ばして、結局、「宇宙を理解せずとも幸せはつかめる!」と言う結論に。

    ええ、わかってますよ。

    私は絶対に水田ばあちゃん派ですもん。

    それにしても多いな、天才少女と馬鹿(と言う設定の)青年。
    なんとなく「クビキリサイクル」とイメージがかぶったわー

  • 日本らしい作品なのだろうな。
    宗教も哲学もない日本人が、ふと陥る、闇だ。
    たぶんこんな事に悩む日本人は滑稽に世界に写るだろう。

    「神様のパズル」をレビューするのは、正直難しい。
    僕はレビューに関して、物語の根幹を伏せた上で、
    作者の言いたい事の根幹について自分なりに、
    書きたいと思うのだが、作者の言いたい事を齧れば、
    それはもう、物語の根幹をほとんど言ってしまう。
    だから、ひどく回りくどい書き方をしなくてはならない。

    人は目の前にしなければならない事があると、
    考えることをしなくなる生き物のようである。
    また、知識というのは身に着けるほどに、
    柔軟で無垢な疑問や発想が、阻害されやすい。
    誰もが、自分が知識を得るための努力を、
    無意味だとは思いたくない。
    自分が、生きてきた経験が無意味だとは、
    思いたくないからではないだろうか。
    自分が持つ知識の根底にある原理、前提。
    それらに対する疑問など、
    当たり前だとか、常識だとか、そんな言葉で、
    片付けられるなら、そうしておきたいのだ。
    だって、そうしなければ、自分が経験したり、
    考えたり、勉強してきたことが無意味になってしまう。
    そんな不安が渦巻くだろう、たいていの人は。

    けれど、人は何かがきっかけで不安になる。
    その不安はえてして、自分がこれまで、
    生きていた事自体への不安に波及することがある。
    自分は、本当に正しかったのかだとか、
    自分は、ここに居ても良いのかだとか、
    自分は、何のためにここに居るのかだとか、
    自分は、何のために生まれて死んでいくのかだとか。
    自分が築いてきた自分という城が、実は、
    あやふやな砂の上に建っていた事を自覚するのである。

    人はそれをどうにか理解しようと考えるだろう。
    日本に限らず全世界で大昔から行われてきたと思う。
    それに主に答えを与えてきたのが、
    哲学であったり宗教であったりする。又は、
    稲作かもしれない。家族かもしれない。物理かもしれない。

    考え方次第では、世界も自分も変わる。
    自分の考えなんてものは、自分の世界観の中でしか語れない。
    それは物理の中では、物理しか語れない、
    数学の中では、数学しか語れないのと同じように。
    自分が世界観をどう描くかによって、
    世界の見え方は変わるし、自分の価値観も変わる。
    それは、「ド」が何ヘルツであるかと同じようなもの。

    「神様のパズル」は、
    不安を抱えて育った少女が、物理で答えを得ようとし、
    やがて、新たな世界観に、目覚めるまでの物語。


    稲作について
    「日本書紀」では、皇室の祖神である天照大神が光臨し、
    天皇に対して、わが子に稲穂を与えなさいと命じたのが、
    稲作の始まりとされている。つまりは、
    天皇信仰と稲作は綿密な関係にあり、心の拠り所として、
    それが日本国民に機能してきた歴史があると言えるだろう。
    天照大神も昭和天皇も稲作をしていた。
    稲作とは労働を美徳とする日本人の精神の源と考えられる。
    昨今日本で、それが失われているのは言うまでもない。
    本作に稲作が登場するのもまた、必然なのかもしれない。

  • ウエッという印象から始まったが、我慢して読んでいるとなかなか楽しめた。
    あきらめないで良かった。


    途中何度も



    となるのだが、本質的な話の流れは理解できる。


    映画化もされているようなので、機会があれば、といった所だろうか。

    食わず嫌いしないスタンスは、いい本とバッチャリ出くわすのだ。

  • 「宇宙は無から作られたと言われている。じゃあ、人間にも宇宙は作れるの?だって無なら、そこら中にある」

    『宇宙を作る』ってことを骨子に抱えたSF小説。キャラ立て自体は悪くないのに、心理描写はイマイチ。特に終盤のヒロインの心変わりは急すぎて、読者の脳内補完に頼る部分が大過ぎるのではないかと感じます。稲作りの並行物語も、活きてない気が。

    宇宙レベルで人類に幻滅し、宇宙レベルでそれを糺そうと暴走するヒロインの痛々しい心持ちなんかはとても面白いし、考えさせられるところも多いんですけどね。

    もしこの宇宙が、ひとりの天才の絶望の果てに産まれたのだとしたら……その想像(創造)はそら恐ろしく、肝が冷えました。

    SF部分に関しては。

    ワシは、高校までで習う物理(=初歩の初歩)と、小さい頃「アインシュタインロマン」というNHKスペシャルを見た、って程度の物理知識です。その程度の知識で、やっと科学表現部分の7割はついて行けるかな、という感じ。たぶん、たまーに「Newton」を読んでるとかでもいいから、多少の物理&宇宙知識がないと厳しいと思います。

    そして、物語の確信となる「宇宙を作る」科学については、正直ちんぷんかんぷんでした。作中で「そんな高校物理程度で説明できることで作れるのか!?」と驚いてましたが、いやあんた、フィクションとはいえ高校物理のレベルを遙かに超えた理論展開でしたがな。

    嘘っぱちの科学でも、それを読者に理解させて面白がらせるのがSFの良さだと考えるワシにとって(山本弘なんかは、この辺の執筆技術が非常に高い)、本作は分かりにくいって点で、評価をひとつ下げてます。

    テーマは面白いし、キャラの基本設定もそこそこだし、途中までの物理(科学)の話は分かりやすいんですけどねー。展開を急ぎ始めた後半以降が残念でなりません。

    (2007年読了)

  • 題名とあらすじに惹かれてた。
    最初の方は、理解できたけど途中からばりばりの物理用語沢山で分けわからず、、でも終わり方が気になったので読み続けた。
    最終的には人間にとって根本的に重要なこと=生きている奇跡と人とのつながりのかを表しているのかなと個人的な感じた。物理学専攻には理解できるのかな?

  • 人間が宇宙を作れるだろうか、という壮大なテーマに、大学生の恋愛、親子の関係、過疎化、ネットリテラシー、何だかんだとたくさんの小ネタがぶら下がっており少し散らかった印象。
    一気に読むくらい本筋は面白いので、思い切って省くか2〜3倍のページ数でガッツリでも良かったのではと感じる。

  • K大学で物理学を学んでいる主人公・綿貫基一は、4回生になって素粒子物理学のゼミに参加することになります。そこで彼は、担当教授の鳩村から、同じ大学に在籍している16歳の天才少女・穂瑞沙羅華の面倒見役を依頼されます。穂瑞は、レヴェルのあわない綿貫たちとともにゼミに参加することを渋りますが、綿貫の連れてきた聴講生の老人、橋詰が投げかけた「宇宙を作ることはできるのか」という問題に触発され、ゼミに姿を現わすようになります。

    穂瑞は、鳩村ゼミのテーマに「宇宙の作り方」を提案し、綿貫と穂瑞が肯定派、佐倉、須藤、穂積さん、助手の相理さんが否定派となってディベートを戦わせつつ、加速器「むげん」の見学、さらに実験場にある「ご斎田」の手伝いをしながら、物語は進んでいきます。

    やがて穂瑞は、宇宙を作るためのプログラムを組んでコンピュータ上でシミュレーションをおこないます。しかし、シミュレーション内の知的生命体が、宇宙を作る実験をおこなって彼らの住む宇宙を破壊してしまうことになります。なぜ彼らはそんな実験をおこなったのかと彼女は問うものの、答えは得られません。しかも、加速器建設の基礎になっている彼女の理論に対する疑問が研究者のあいだに生じ、彼女自身も世間の好奇の視線にさらされることになってしまいます。そして彼女は、誰に告げることもなく、この宇宙を作った“彼”に、この世界は無意味なのではないかと尋ねることを試みます。しかしその試みの成功は、この宇宙の崩壊を意味していました。

    「知る」ことと「生きる」こととの関係が主題になっている、ライトノベル風味のSFといった感じの物語です。単純にストーリーだけ見ると、ちょっとオチが弱いかなという気がします。

  • 物理のことは専門外だから、よく分からないが、
    勉強に「自分のことを知るため」という側面があることにとても納得した。また、それを「宇宙を作る」という壮大なテーマから各個人に落とし込んでいるところがおもしろいと思った。

  • 宇宙は人間に作れるか。SFの不変なテーマをライトに切り込んだお話。
    説明くさくなるところを設定をゼミの議論ということで、うまく説明してるんだけど、なんといってもその学園ドラマとベタベタなストーリーが鼻についた。
    なんか余計な文章は多いし、どんくさい主人公はなんもわかってないしで、ストーリーにははまれなかった。が、その宇宙創成論は興味深かった。俺文系だけど。

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