深呼吸の必要 (ハルキ文庫 お 9-3)

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  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (148ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442046

感想・レビュー・書評

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  • 北海道のいわた書店店主・岩田徹さんによる
    一万円選書がきっかけで、
    手にした詩集です。

    小説や実用書は数多く読んでいますが、
    詩集は一冊も持っていませんでした。

    そんな中、手にした「深呼吸の必要」は
    とても衝撃的な出会いで、
    何度も何度も読まずにはいられず、
    毎回わたしの心をざわめかせます。

    この詩集は「あのときかもしれない」と
    「おおきな木」という2つの章から
    なりたっています。

    特に、はじまりの章である
    「あのときかもしれない」におさめられた
    9つの連作詩は、
    魂がゆさぶられる9つの詩が
    次から次へと押しよせ、
    深呼吸する間もないくらい引きこまれ、
    涙がこぼれます。

    あなたの心が血を流しているときにこそ、
    ぜひ手にして読んでほしい詩集です。

  • 「あのときかもしれない」はーきみはいつおとなになったんだろう。きみはいまはおとなで、子どもじゃない。子どもじゃないけれど、きみだって、もとは一人の子どもだったのだ。-の一文ではじまります。
    一から九の話の中で、私は九の時計屋さんがきみにしてくれた話を思いだした時がいちばん心に残りました。
    ーきみがきみの人生で、「こころが痛い」としかいえない痛みを、はじめて自分に知ったとき。ー

    戦争でこころが痛むのはもちろんだと思います。
    でも、今の戦争のない日本でも、ただのちっぽけな私でも、こころが痛む思いを何度か経験しています。

    「おおきな木」では「公園」は昔、日曜日に友だちとよく行った、井の頭公園そのものだと思いました。

    「山の道」ではやはり昔ですが、3回程登山した、奈良の山道を思い出しました。

  • 文庫になったので、持ち出す機会が増える気がする。。。

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    きみはいつおとなになったんだろう──繰り返す問いのなかに、子ども時代のきらめきを掬いあげる「あのときかもしれない」。さりげない日々の風景に、世界の豊かさと美しさを書きとめる「おおきな木」。人生のなかで深呼吸が必要になったときに、心に響いてくる言葉たち。散文詩二章三十三篇からなる、幸福な言葉の贈りもの。長田弘の代表詩集。(解説 小川洋子)
    http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=5906

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      【3月2日付編集日記】深呼吸の必要:編集日記:福島民友新聞社 みんゆうNet
      https://www.minyu-net.com/shas...
      【3月2日付編集日記】深呼吸の必要:編集日記:福島民友新聞社 みんゆうNet
      https://www.minyu-net.com/shasetsu/nikki/FM20230302-761282.php
      2023/03/02
  • 子どもの頃に置き忘れていた、大切な何かを思い起こさせてくれる詩集だった。"何か"としか形容できないそれは、読む人によってそれぞれ慈しむ、記憶や感情、思い出だったりするのだろう。解説の小川洋子さんも書いているように、詩のなかで何度も呼びかけられる「きみ」とはこの詩集を読んでいる私たちでもあり、著者本人でもあり、まだ名前さえ知らないあなたでもある。そしてもちろん、詩の登場人物として語られ消えていった人々も。
    長田弘の詩やエッセイは彼にしか書けない独特のエッセンスを含んでいた。もう長田さんの新たな作品や文章を読めないということが、とても寂しい。これからもゆっくり大切に、彼の遺した作品を読んでいこうと思う。

  • あのときかもしれない。
    気づかずに通り過ぎた瞬間。
    いつ僕らは大人になったんだろう?
    なにかを諦めたときなのか?
    まだ、大人になってないことを願う。

  • 日々の生活に疲れた時は、立ち止まって深呼吸をする様に、この本の言葉を辿って心を落ち着かせる。
    子供だった頃を思い出し肩の力を抜く。

    僕にとっての"あのとき"との連携は「公園」で感じられるみたい。ゆっくりすべき時に気がつけるように公園で深呼吸がいい。

  • 詩集というジャンルは久しぶり。
    「あのときかもしれない」「おおきな木」の二部構成。
    いつおとなになったんだろう、と思いながら
    「あのときかもしれない」を読んでいると
    私は確かに今紛れもなく大人になっていて
    それがとても切なく感じられるのだけど、
    子どもの頃の自分だって
    いなくなったわけじゃないんだよ、と教えてくれる。
    「おおきな木」は毎日の中で何度も読み返したい。
    一度読んで終わりには勿体なさすぎる本。

  • 読むほどに"忘れていたあの頃"のみていた光景や気持ちがありありと浮かんで胸がきゅっとなる。昼下がりのあたたかな縁側でゆっくり読みたい一冊。

  • 深呼吸。
    忙しい日々の中で、ゆっくり深呼吸をすることはなかなかありません。
    長田弘さんの詩を読みながら、心の深呼吸ができた気がします。
    童心に返り、あの頃の自分に向き合いました。
    思い出して楽しかったり、苦しかったり。
    今の私を見て、子どもの頃の私はどう思うのかなって、ふと考えました。

  • 散歩、星屑、贈りものが特に心に残った。

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著者プロフィール

長田弘(おさだ・ひろし)
1939年、福島県福島市生まれ。早稲田大学第一文学部独文専修卒業。詩人。65年、詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。98年『記憶のつくり方』で桑原武夫学芸賞、2009年『幸いなるかな本を読む人』で詩歌文学館賞、10年『世界はうつくしいと』で三好達治賞、14年『奇跡―ミラクル―』で毎日芸術賞をそれぞれ受賞。また、詩のみならずエッセイ、評論、翻訳、児童文学等の分野においても幅広く活躍し、1982年エッセイ集『私の二十世紀書店』で毎日出版文化賞、2000年『森の絵本』で講談社出版文化賞を受賞。15年5月3日、逝去。

「2022年 『すべてきみに宛てた手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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