あきない世傳 金と銀(六) 本流篇 (ハルキ文庫 た 19-21 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442336

作品紹介・あらすじ

大坂天満の呉服商「五鈴屋」は、天災や大不況など度重なる危機を乗り越え、江戸進出に向けて慎重に準備を進めていた。その最中、六代目店主の智蔵が病に倒れてしまう。女房の幸は、智蔵との約束を果たすべく立ち上がった。「女名前禁止」の掟のもと、幸は如何にして五鈴屋の暖簾を守り抜くのか。果たして、商習慣もひとの気質もまるで違う江戸で「買うての幸い、売っての幸せ」を根付かせたい、との願いは叶えられるのか。新たな展開とともに商いの本流に迫る、大人気シリーズ待望の第六弾!

感想・レビュー・書評

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  • いよいよ江戸へ進出する幸と五鈴屋
    なにが良いって大坂から自分の右腕として連れて行く人の人選がいいよね

    そりゃそうよ!幸の右腕になれるのはこの人しかおりません!

    そして「買うての幸い、売っての幸せ」を頑なに貫くことできっと江戸でもお客の信頼を得て行くんだろうなぁ

    今の世の中でも似たようなスローカーブを掲げる企業は多いけど、本当に心からそう思って実践している企業はいったいどれほどあるんだろう?って思ったりしました
    もちろん、創業者や社長はそう思っていたとしても、それを社員一人ひとりまで徹底させることてとてつもなく難しいことだと思いますが、五鈴屋の面々を見ているとそれってゴールじゃなくてスタートなんよってことがよく分かります

    商売をするものが当たり前に備えていることなんやなぁと

    お騒がせ企業の経営者たちよ
    幸と五鈴屋に学びなさい!

    • 1Q84O1さん
      この本ビッグモーターのバイブルになるかもw
      この本ビッグモーターのバイブルになるかもw
      2023/09/24
    • ひまわりめろんさん
      ビッグモーターなんかどうでもいいんですよ!
      まずスローカーブを突っ込みなさいよ!
      ビッグモーターなんかどうでもいいんですよ!
      まずスローカーブを突っ込みなさいよ!
      2023/09/24
    • 1Q84O1さん
      剛速球で掲げよう!
      剛速球で掲げよう!
      2023/09/25
  • 話は面白いんです。江戸時代にも興味が湧くし。
    江戸と大坂の違いも、今に通じるようで面白い。でもね...今更ですが、なんか主人公の幸に感情移入が出来ないのです。感情を表に出さない人だから?平穏をこよなく愛する私にとって、幸は商いの戦国武将だから...?うーーん、なんだろう違和感。

    それとも脇の方々が魅力ありすぎて、幸が霞んじゃうのかな?そう、脇キャラが多いし、濃い!

    やっぱりここで語るとすれば、私の第二の推し、お竹どんですね。半眼の仏像さんの時から素敵な方だと...。まだまだ可能性を秘めた方ですよ。そしてまさかの私より年上だったとは。

    きっと、この方があの方なのですね、ひま師匠!(強引な呼びかけ)

    • ひまわりめろんさん
      そうです!
      このシリーズの真の主役はお竹どんなのです!

      このあとも大活躍でおます
      そうです!
      このシリーズの真の主役はお竹どんなのです!

      このあとも大活躍でおます
      2024/01/17
    • へぶたんさん
      惣ぼんが出てくるのかと思ってましたよ(^^;)

      嬉しいですね〜お竹どん、まだまだ会えるのですね!ついていきますよ〜お竹どん!
      惣ぼんが出てくるのかと思ってましたよ(^^;)

      嬉しいですね〜お竹どん、まだまだ会えるのですね!ついていきますよ〜お竹どん!
      2024/01/17
  • 幸の仕事はCSR調達、エシカル消費、サステナブル経営に基づいている様に思う。けど、安く提供するのは良いことだけど、その日暮らしの人達に頑張れば買える絹織を提供するというのは、欲を喚起して、マーケットを開拓する経済活動の様に思え、ちと酷薄な資本主義にも感じる。

  • まだ半分ということは、同じだけ、いやそれ以上のワクワクが待っていると思うと、なんと幸せなことか…。しばらく本屋さんで「つぎはどれを読もう?」が不要。ま、それも楽しいんだけど、迷う必要がないのは嬉し過ぎます。

  • 人気シリーズの6作目。
    大坂天満の呉服商「五鈴屋」に奉公に出て、やがて若い主人に嫁いだ幸。
    3兄弟に次々に嫁ぐという数奇な運命をたどったが…

    商才に恵まれた幸は、理解ある夫の智蔵に支えられて、江戸進出を目指していました。
    大阪では「女名前禁止」という掟があり、女性が店の主となることはできなかったのです。
    智蔵は人当たりがよく、店の主人に必要な付き合いなどはうまくこなせていたのですが、商才は幸のほうがはるかにあると認めていました。

    智蔵が病に倒れ、さすがに呆然とする幸。
    だが智蔵と考えてきたことを無駄にはできない。
    大阪にいては、店を親族か番頭などの男性へ継がせるしかないのです。
    とはいえ、店で働く者たちはみな幸を頼りにしています。
    起死回生の手段はあるか…?

    足掛け3年だけの限定で、中継ぎの主となる道を切り開き、江戸に店を出すことにした幸。
    慎重に江戸の様子を調べ、喜んでもらう方法を考えて、満を持して開店する、その心意気がさわやかです。
    お侍が多い江戸の好みは、地味目だったんですね。
    でも、少しはおしゃれをしたい、特にわが子には綺麗なものを着せてやりたい、女心は同じ。

    女衆(家事をする女中のこと)の先輩だったお竹どんの才を見抜いて共に江戸に出て、店の仕事を担当してもらうことにします。
    近所の女性たちとの交流など、女同士のつながりができていくのが素敵ですね。
    楽しみなシリーズ☆

  • ようやく江戸進出
    それまでの苦労が報われましたね。これからもさらなる苦労が待ち受けているのでしょうが。
    江戸店開店最初の若い母親とのやり取りは五鈴屋の方向性を示すいいくだりでした

  • 夢中になって読んでしまった。電話もメールもないこの時代。情報の行き来にこんなにも時間がかかっていた、それが当たり前の時代。大坂・江戸間を歩く。もう2度と戻れないかもしれないという覚悟。すっかりこの時代を生きているような気になっちゃった(⌒▽⌒)

  • 最強の理解者であった智蔵の急逝
    幸には悲しみに暮れるまもなく、五鈴屋の跡目の難題がのしかかる
    とりあえず、3年の危険付きで女名前の中継ぎの許可を得る

    この3年の間に、女名前禁止の制約がない江戸進出を果たそうと奉公人一丸となって努め、ついに浅草町田原に太物(木綿)商いをしていた店舗を居抜きで手に入れる

    当時、歌舞伎やらで大人気だった「忠臣蔵」赤穂浪士の討ち入りの日、12月14日を開店日と決め、準備に奔走する幸

    「商いを覚悟たるものにし、暖簾を後世に伝えていくためには豪気と細心が肝要。時代が何を欲しているのか、何処へ向かおうとしているのか。高い位置から全体を見回し、世の中の動きを察知する。何が好まれるのか、そうした大きな流れを掴むことがとても大事だ。
    同時に地を這う蟻のように、身近なものをよく観察し、小さな機会も見逃さず、決して無駄にしない。優れた商人というのは、一見すれば相反するものを持ち合わせるものだ」
    という治兵衛の教えを噛み締め、自分の足で江戸の町を隅々まで
    見て回る

    その中で江戸と大坂の違いを感じていくその描写が何とも興味深く面白い
    今でもその違いは、漫才のネタになったりする
    言葉を笑いに包んで渡す大坂、強い言葉もそのまま伝え、あとはけろりと忘れてしまう乾いた風のような江戸

    古手商いの店が立ち並ぶ通りを歩いていく幸と一緒になって、江戸の町の賑わいを楽しんだ

    現代にも継がれている呉服の展示の方法や、無料で帯の結び方教室を開催するなど工夫の数々、圧倒されるばかりだ

    そして、満を持しての開店の日、私は泣かされた

    暖簾に吸い寄せられるように入ってきた乳飲み子を背負った生活にくたびれ疲れ切った若い母親
    「生まれて初めて、こんなに近くで絹織りを見ました。本当に綺麗で、華やかで・・・。いつか娘のためにあんな晴れ着を仕立ててやりたい。そんな夢は、夢だけは、見ていたいんです」
    幸は、居住まいを正して、畳に両手をつき言う
    「今日は私どもの開店の初日に何より嬉しいお言葉を頂戴しました。いずれ、きっとお迎えできる日を心待ちにして、私どもも精進させて頂きます」
    残る奉公人も、声を揃えて.一礼して言う
    「お待ち申しております」

    富久や治兵衛から教えられた商いの基本「買うての幸い、売っての幸せ」が形になった瞬間だった
    「売っての幸い、買うての幸せ」ではないのだ

    いつもは、ええっーどうなるの?とやきもきした気持ちで、巻を終えるのだが、この巻は、静かな感動で温かい幸せな気持ちで読み終えることができた


  • 第(六)巻 本流篇を読み終わった。 ついに艱難辛苦の末に江戸は浅草寺近くの居抜き店に五鈴屋 江戸店を開くまでの話。やんごと無い事情から七代目店主となった幸サチの知恵が随所に活きて、今風に言えばマーチャンダイジングとマーケティングに裏打ちされた戦略戦術を駆使した開店(笑) 今回もよく出来ていました♪

  • 高田郁さんの作品を読むのは、初。
    名前は、かおるさんで、1959年生まれの方で、兵庫県宝塚市出身、とのことです。
    したがって、この作品を書かれた時の年齢は、60歳位になります。

    ●2020年8月29日、読了。
    久々に時代小説を読んだ。
    7月は、鬱状態で小説を読む気がしなかったので、それを思うと、状態は良くなっているようだ。
    ただ、依然として、精神安定剤の服用は続いているので、薬の効果ともいえるが。

    で、今回読んだ作品は6巻(本流篇)だが、内容的に興味深いので、
    1巻から読んでみようと思う。

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著者プロフィール

髙田 郁(たかだ かおる)
1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

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