- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758443005
作品紹介・あらすじ
広く金の価値を知らしめるべく、あえて賄賂を推奨する田沼意次。
目通りを願う列は、日に日に延びていく。そんななか、両替商分銅屋の用心棒・諫山左馬介は、煩悶していた。
一度はもみ消したはずの御家人殺しを執拗に嗅ぎまわる元南町奉行所同心・佐藤猪之助に業を煮やし、
自らの所業と認めてしまったことへの自責である。
明らかに意次の改革の障りとなる行為に、雇い主の分銅屋仁左衛門は、左馬介を咎めながらも隠蔽に努める。
一方、左馬介の鉄扇術からその出自を疑った武士は、財政の逼迫する会津松平家の重臣で──
物語が大きく動き出す、大人気シリーズ第八作。
感想・レビュー・書評
-
金の悪夢 ― 日雇い浪人生活録シリーズの8作目
2019.11発行。字の大きさは…小。
親の代からの浪人・諫山左馬介を通して江戸時代後期の「お金」について書いた物語です。
此度は、左馬介を見かけた会津藩留守居役・高橋外記が、左馬介が用心棒をしている両替商・分銅屋から、左馬介の父が会津藩に居た事と、左馬介が人殺しだと脅して無利子、無返済で1万か、2万両を借りようとしたが分銅屋仁左衛門ににべもなく断られる。
次に、9代将軍徳川家重の寵臣・御側御用取次の田沼意次の用人・井上に、田沼家が取引している分銅屋の左馬介が、人殺しだと脅すがどうなるか。
【読後】
武家が、お金を卑しいものとして正面から取り組んでこなかったために、旗本、大名家は、ほとんどが借金で首が回らない状態で、如何に金策するかが話の中にてできます。
収入以上に使わなければ、いいのですが、現代でもサラ金、クレジット会社、銀行が業績を伸ばしていることを考えると、ある意味、昔も、今も、人は変わっていないのではないですか。
お金の話の中に、公儀お庭番の紅一点・村垣伊勢(人気の美人芸者・加壽美)と分銅屋の美人年増女中・お喜代と左馬介の絡みが面白いです。
2021.01.09読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
目付の一部から田沼もろとも潰そうとされている分銅屋。
付け加えて、左馬介の父親が放逐された会津藩が、田沼と取引がある分銅屋に雇われている左馬介を利用して借財をしようと。
次から次へと絡んでくる武家の金問題!!
平穏無事な暮らしだけが願いの左馬介は、こうした命の危険もある状態がストレス。
読んでいても、ハラハラしてくる。。。 -
並行して読んでいる佐伯泰英の「吉原裏同心」と時代も舞台も似通ってきた。時代は裏同心が30年ほど後だが、違いは田沼意次の評価。裏同心では悪で日雇い浪人では善だ。舞台がどちらも吉原近郊なので「居眠り磐音」の江戸地図を追いかけながら読み進めることができる。
-
騙し騙されもみ消され、なんだか気の毒な最期だな。