焼肉で勝負! 食堂のおばちゃん(10) (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758444231

作品紹介・あらすじ

焼き魚定食、冷やし茄子うどん、串カツ、茄子と胡瓜の糠漬け、ウニ載せ煮玉子、マグロの漬け丼──
姑の一子、嫁の二三、若頭の万里、三人で営む佃の「はじめ食堂」は、昼は定食屋、夜は居酒屋。
メニューが豊富で、なんでも美味しく、財布にも、疲れた心と身体にも優しい。
だが、常連のはなの姿が最近見えない。どうやらストーカーされているらしいと万里に相談があり……。
続々重版の大人気シリーズ、第十弾。文庫オリジナル。

感想・レビュー・書評

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  • こんなに長く続いてるシリーズで 常にどこか新鮮で 常に前作を超えてくるって ほんと奇跡的と思う。
    ストーリーだけじゃなく 新作メニューもね 笑。
    新作が出るスピードもどんどん上がってるし どんどん今のご時世が反映されていくのが新鮮さの秘訣なのかな?
    ますます筆が冴える山口恵以子おそるべし。
    そして このところこのシリーズはいち早く坂口文庫に収納され 素早くまわしてくれる坂口さんに感謝。

  • 食堂のおばちゃんシリーズ10冊目。
    姑の一子と嫁の二三が切り盛りする、はじめ食堂。
    季節が味わえる美味しい料理と温かい雰囲気。
    隠し味は人と人との縁。今日も店内には笑顔が溢れている。
    第一話 食育は豆腐ハンバーグ・・・夏の始まりに依頼されたのは、
     発達障害児と家族向けの料理教室。食の大切さを改めて知る。
    第二話 空き家とタコライス・・・亡き後藤の家に空き巣が!
        しかもアポ電強盗にも関連?空き家をどうするか。   
    第三話 おにぎり、ふしぎ・・・料理教室の本番は、はじめ食堂の
      メンバーの心遣いが際立つ。特に、一子の言葉が心に響く。
    第四話 焼肉で勝負!・・・はなが来れなかった理由はストーカー。
       まさに天網恢恢疎にして漏らさず。その犯人とは?
    第五話 運命のスコッチエッグ・・・はじめ食堂に雑誌の取材が。
       瑠美の過去との再会は、完全にその人を見限ることに。
     そう、瑠美にはスコッチエッグのようなあの人が似合うもの。
    <巻末>食堂のおばちゃんのワンポイントアドバイス・・・レシピ。
       最後に一言・・・読者への気遣いと著者からの抱負。

    優しい心遣いが味付けになる大衆食堂での、人情話短編集。
    6月から10月の季節に寄り添う中での物語は、
    発達障害児と食育、空き巣、ストーカー、そして再会。
    40数年ぶりに帰国した二三の友は、また登場するかも。
    一子の着眼の鋭さとその言葉の適切さ、二三と万里の
    日々情報を仕入れて新しいメニューに取り組む姿勢も良い。
    10巻にもなるのに、登場する季節を感じさせる料理は、
    変わらずに美味しそうな描写で、食欲を駆り立ててくれます。
    文中の絶対に失敗しないホワイトソースの作り方は、
    思わずメモしちゃいました。これは是非作ってみようっと。

  • 食堂のおばちゃんが食育?今回はこの食育の教室の話とはなちゃんのストーカー、後藤さん宅に入った空き巣のお話。タコライスって沖縄料理だったか。最近仕入れているスパークリングワインがとてもおいしそう。
    二三さんの同級生で、アメリカの大学教授の京子さんがいい感じの役周り。

  • 「食堂のおばちゃん」シリーズ第10弾。
    前回は、コロナによるパンデミック真っ只中での、なんとはなしに落ち着かない気分で読んだ。
    作品中にも、僅かに翳りが見えていた気がする。

    今回は、すっかり元のパワーを取り戻した感じ。
    季節も秋から冬へのエピソードを扱い、特に美味しいものがたくさん。
    「はじめ食堂」は、メインはもちろん、副菜も、ワンコインの麺類も、季節感たっぷりでとても美味しそうだ。
    日常のしあわせを感じる。

    今回は、「食べられないものが多くて悩む子供とその親」
    「一人暮らしの老親が無くなった後の空き家の問題」
    「外面ばかり見栄をはり、心根の卑しい男たち」
    などが問題として取り上げられる。

    無理強いや型にはめることで人は幸せにならない。
    力を抜いて、一息入れて。
    他人が決めた最高級の基準しか認められない人は、幸せを味わえる瞬間がごくまれで毎日を不満の中で暮らす。お気の毒なことだ。

    個人的に、焼肉よりもスコッチエッグが印象に残った。
    ひき肉だんごだけでも美味しいのに、メンチカツはさらにきつね色の衣に包まれている。
    そして中心には、お日様のような半熟卵のオレンジ色。
    温かい心を秘めた食べ物である。
    人もこうありたい。

    第一話 食育は豆腐ハンバーグ
    第二話 空き家とタコライス
    第三話 おにぎり、ふしぎ
    第四話 焼肉で勝負!
    第五話 運命のスコッチエッグ

  • こんな食堂が近くに欲しい。

  • このシリーズ、大好きです。
    そして山口先生、本を出版されるスピードが速いですね。気づいたら、もう次が出ています。
    近くにこんな食堂があったらなぁ。
    もしくは、自分がこんな料理を作れたらなぁ。

  • 食育のストーリーが興味深かった。
    今回は発達障害の子供達がクローズアップされていたけど、食べられない物があるのはそういった子供だけではない。自分も、牛乳が苦手で毎回まずその牛乳を一気飲みしてから給食を食べていたのを思い出した。ちなみに今も苦手。それを無理強いするのではなく、食べられるものを食べ、興味を持ってもらうように導くのが重要なんだと知った。
    まだコロナ禍の食堂だけど元気がもらえる。

  • 発達障害の子を持つ親から頼まれて、親子料理教室を開く子供になった、一子とニ三。子供の食事と言うだけでも大変なのに、偏食となると本当に大変そうでした。

     ラストの「運命のスコッチエッグ」の瑠美と片桐のやり取りは、いつまでも華やかな世界に居たい片桐と、穏やかな時を共有できる康平とでは180度違い、今の瑠美にとっては勿論後者の訳で。しかも、いつまでも自分に気があると思っている片桐が滑稽でした。

  • 相変わらずの安定感。
    美味しそうっぷりもますますアップ。

    個人的には、食べることに苦痛を感じることもある発達障害の子どもたちが登場したことに拍手。
    うちの子は「定食系ビジュアル(お皿がたくさん並ぶパターン)」がダメで、なんでもいいからワンプレート、もしくは丼ものにしないとどんどん痩せる、と言う時期があった。
    知り合いには、みそ汁の具が3種類以上になると口の中が混乱する子、どんなに細かく刻んでも人参を検知する子、空腹が自覚できない子など、食が楽しみからほど遠い場所に存在する現実がある。

    そんな子たち自身の思い、親の苦労、とりわけ父親と母親の温度差が描かれていることが嬉しかった。

  • はなちゃんのストーカー事件、瑠美先生の元彼?の話、後藤さんちの泥棒騒ぎ。
    いつものメンバーの、いつもじゃない事件の数々。そして美味しいご飯はみんなをつなげて温かい絆になりました。

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著者プロフィール

1958年、東京都江戸川区生まれ。早稲田大学文学部卒業。松竹シナリオ研究所で学び、脚本家を目指し、プロットライターとして活動。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務しながら、小説の執筆に取り組む。2007年、『邪剣始末』で作家デビュー。2013年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。その他の著書に「婚活食堂」「食堂のおばちゃん」「ゆうれい居酒屋」シリーズや、『風待心中』『ゆうれい居酒屋』『恋形見』『いつでも母と』、共著に『猿と猿回し』などがある。

「2023年 『婚活食堂9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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