萩の餅 花暦 居酒屋ぜんや (ハルキ文庫 さ 19-14)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758444729

作品紹介・あらすじ

早い出世を同僚に妬まれている熊吉。養い子故に色々なことを我慢してしまうお花。
二人を襲う、様々な試練。それでも、若い二人は温かい料理と人情に励まされ、必死に前を向いて歩きます。
粒餡たっぷりのおはぎ、平茸、初茸、占地、栗茸、松露に網茸と山の幸ふんだんの茸汁、赤貝の漬け込み飯、蒟蒻と鰤のアラ煮──
心をほっと温め、そっと背中を押してくれるような、江戸の色とりどりの料理たちと健気な二人の奮闘に心満たされる人情時代小説、第二弾!

感想・レビュー・書評

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  • 新シリーズ 2

    恋焦がれたお妙と夫婦になった只次郎。
    お花を養女として早数年。

    新シリーズでは、幼かったお花と熊吉が、中心となって書かれている。

    居酒屋「ぜんや」の常連である、薬問屋「俵屋」に奉公した熊吉。
    実の母親から虐待を受け、心に傷を持っていたお花も、お妙と只次郎の養女となり、初めは、遠慮ばかりだったけど、最近は、少し自分の意見も言えるようになってきている。

    《荒れもよう》
    熊吉は、早い出世を、同僚から妬まれ、事件が起きる。
    首謀者は「友」と思っていた、長吉。
    それがバレて、長吉は、出奔する。


    《花より団子》
    お花は、仲良しのおかやと仲違い。
    一緒におはぎ作りをする事で、仲直り。
    長吉を探して、やつれが酷い熊吉にも、おはぎを食べさせて、励ます。

    《茸汁》
    長吉が江戸を出たと知れ、ようやく探す事を諦めた熊吉は、商いに精を出そうと決心する。

    《身二つ》
    お花が、大人の女性となった印を見た。
    受け入れられないお花。
    同じ日に、妹が生まれた千寿。
    廻りの皆んなが、妹を見て、自分の居場所が無いと悩む千寿。
    二人は、お銀の家に家出する。

    《人の縁》
    お妙の亡き父親が作っていた薬「龍気補養丹」を若旦那と共に、商って行く熊吉。

    俵屋の旦那や「ぜんや」に集まる人々、そして、只次郎。
    全員が心温かく、読後は頗る気持ちが良い。

    若旦那と上方行きが決まった熊吉。
    若い女性が苦手な若旦那の恋の行方。
    次作が待ち遠しい。

  •  今回は熊ちゃん苦難の巻でしたね。

     仕事を頑張る熊吉ちゃんを妬んだ仲間に嫌がらせをされて、胃痛の薬が手放せないというのが可哀そう。

     挙句、手籠めにあった女中のおたえと閉じ込められたり(◎_◎;)

     そんな熊吉を癒してくれるのはお妙さんとお花ちゃんが作る料理。お花ちゃんも大人になり、二人の成長に目が離せないですね。

     そして、坂井先生の愛猫の萩やんの名前がタイトルというのもほほえましい一冊でした。

  • 「居酒屋ぜんや」の新シリーズ、“花暦 ”・第二弾。

    旧シリーズでは、只次郎とお妙の視点で構成されていましたが、新シリーズではお花と熊吉の視点で展開するようですね。
    この巻では、お花が徐々に自分を出せるようになってきていて、精神的にも“身体”の面でも成長が見受けられます。特にお妙の料理を手伝うお花が楽しそうで、彼女の嗅覚の良さも活かせそうなのも何よりです。
    一方、熊吉は奉公先での妬みによる嫌がらせの影に、友の裏切りが発覚し、ちょっと辛い展開になりました。
    ですが、新薬(お妙の父が売っていた薬を復刻した物)の販売を若旦那とコンビで任されるようになるなど、仕事面で能力を試される機会を与えられているので、そちらの方でゆるぎない結果を出してほしいです。
    それにしても、熊吉の奉公先の<俵屋>は、旦那様も若旦那さんも良い人なのに、奉公人達がイマイチなのが謎ですね。
    ラストは上方に販売拠点を置く流れになって、軌道に乗せることができるのか、続きが気になるところです。

  • 居酒屋ぜんやの新シリーズ第2弾。

    今回は、いよいよお花と熊吉がダブル主人公として舞台に独り立ちした感がある。
    お花はまだちょっと頼りないけれど、熊吉はずいぶん仕事のできる男だったのだなあ〜

    お妙はすっかり母親役が板についたような気がする。
    只次郎は、今回は鶯のことよりも経営コンサルタントである。
    主人公を若手に引き継いだのだから、出番が減るのは仕方ないですね!(笑)
    前のシリーズは、常に暗い影がチラついていたけれど、「花暦」は若くて前向きなパワーが感じられます。
    どうかすると厄介者だったお銀婆さんが意外とね、人をよく観る人生の先達者みたいになっていた。

    『荒れもよう』
    寛政十一年文月
    若くして手代になった熊吉は先輩や同僚に妬まれて嫌がらせを受けていた。
    薬箱の中身を入れ替えるなど、お客さまにも迷惑のかかる事件も発生し、熊吉は犯人を突き止めようとしていた。
    江戸に大雹が降った夜、熊吉の奉公する俵屋で事件が起きる。

    『花より団子』
    中秋の名月も終わった葉月。
    千寿が来た時にお花が呼んでくれなかった、とおかやが怒り、母親同士も巻き込む大喧嘩に。
    熊吉は仕事の合間に、休憩も食事も取らずに友を探している。
    憔悴していく熊吉を、きちんと食べなくてはダメ!と叱るお花であった。

    『茸汁(きのこじる)』
    神田祭も終わった長月。
    茸売りの老人から意外な情報が入る。
    遥かな友の行手を案じながら、自分の仕事を頑張ろうと熊吉は決心する。

    『身二つ』
    神無月。
    升川屋のお志乃に第二子の女の子が産まれた日、お花もひとつおとめの階段を上る。
    思春期の少女の悩みと恥じらい。
    そして、優等生だった千寿が見せる意外な弱さ。

    『人の縁』
    新薬の営業に苦心する、俵屋の若旦那と熊吉。
    商いの基本は、なんと言っても人の縁である。
    熊吉、新しい船出か?

  • 居酒屋ぜんやの新世代シリーズ花暦篇の2巻目。出世のはやい熊吉が妬まれる話を中心に日常と事件とを上手く融合させてほのぼの描かれている。熊吉のまっすぐなところが心地よい。それにしても、やっぱり只次郎のホワンとした感じが前のシリーズと共通していて、とても良い。このシリーズの肝ではないか。自己否定感の強いお花が内にこもっていくのが少し心配ではあるが、このような養親をもって、どう成長していくか、ますます楽しみ。

  • 熊吉とお花の若い2人が直向きに一緒懸命頑張って成長していく様子が微笑ましい。
    それを見守る周りの温かい支援も心地良い。
    只治郎さんの器の大きさにグッとくる。
    血は繋がらないけれど、ふわっと結ばれている絆がとても良い。

  • 人見知りで自分の感情を伝えることが苦手なお花ちゃんが、少しずつ成長している…!
    只次郎やお妙さんがメインの話がなくて少し寂しいけど、周りの人たちの変化が感じられて面白かった。

  • 早く続きが読みたいです。
    只次郎と熊吉の関係が微笑ましい。

  • 熊吉とお花の若い二人は、温かい料理と人情に励まされ、試練を乗り越えていきます。
    おはぎや茸汁、赤貝の漬け込み飯、蒟蒻と鰤のアラ煮など、今回も居酒屋ぜんやのおいしそうな料理が並びます。
    江戸の料理と、二人の奮闘に心満たされる時代小説第二弾です。
    次回作も楽しみです。

  • 早い出世を同僚に妬まれている熊吉。養い子故に
    色々なことを我慢してしまうお花。様々な試練が
    2人を襲うが、それでも、温かい料理と人情に
    励まされ、必死に前を向いて歩き…。

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著者プロフィール

1977年、和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部卒業。2008年、「虫のいどころ」(「男と女の腹の蟲」を改題)でオール讀物新人賞を受賞。17年、『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』(ハルキ文庫)で髙田郁賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞。著書に、『小説 品川心中』(二見書房)、『花は散っても』(中央公論新社)、『愛と追憶の泥濘』(幻冬舎)、『雨の日は、一回休み』(PHP研究所)など。

「2023年 『セクシャル・ルールズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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