契り橋 あきない世傳 金と銀 特別巻(上) (ハルキ文庫 た 19-31)

著者 :
  • 角川春樹事務所
4.34
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感想 : 137
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758445894

感想・レビュー・書評

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  • 一度読んでから、余韻を味わうためにもう一度読んだ。幾つかの場面で涙が溢れてくる。
    四話構成。一話は惣次の過去の話し。惣次が大阪の店を出奔してから、江戸での突然の出会い。本編では語られなかった本両替商への転身が詳細に記載される。心を入れ替えて幸たちの手助けをしたのかどうか疑問だったが、払拭された。幸と真反対の娘の夫として養子に入ったようだが、大変な逆境を乗り越えて今があるよう。
    後の3話は本編以降の話し。59才となった支配人の佐助。若い頃、結婚を誓った相手が失踪し、その後、その面影が忘れられず未婚を通していたが···。佐助の純愛に涙する。
    小頭役のお竹も喜寿の歳となり、体が不自由になってきた。医者に掛かることになるが、付いてきた手代の大七に違う道が開ける。大七の五十鈴屋からの転身に胸が熱くなる。同時にお竹の決意も。
    最後は、既定路線の9代目へ賢輔が就くかどうかの葛藤のなかで、賢輔が決意する。「ご寮さんは金、私は銀。何もかも、ふたり一緒やったら乗越えられます。大阪で、ともに商いの橋を架けとおます」。元々のタイトルの「金と銀」、今作のタイトル「契り橋」がここに繋がるんですね。
    次作で最後となるが、二人とも大阪に行くのだろうか、江戸の店はどうなるのだろうか、早く読みたくなる。

  • 高田郁『契り橋 あきない世傳 金と銀 特別巻 上』ハルキ文庫。

    シリーズに登場した4人の人物を主役に据えた4編から成る短編集。巻末付録に『治兵衛のあきない講座』も収録。

    五鈴屋で働く人びとの人生の断片が温かい筆致で描かれる。本編と違い、誰かに不幸が訪れることも無く、安心して読める。

    『第一話 風を抱く』。本編を読んだ限りでは、惣治という男は幸の商才を妬み、幸を裏切るかのように大坂から江戸に逃げた情けない男という印象を抱いていた。しかし、この短編を読むと惣治の苦悩にも頷ける。幸を裏切った結も惣治と同じ気持ちだったのか。五鈴屋を出奔した惣次が、如何にして井筒屋三代目保晴となったのかが描かれる。

    『第二話 はた結び』。実直に生きることの難しさ。報われぬことの方が多いというのが世の常。五鈴屋江戸本店の支配人である佐助の恋にまつわる不思議な縁。

    『第三話 百代の過客』。誰もが歳を取り、老いていく。老いた時にどう振る舞うのか、どう生きていくべきか、大いに悩むところなのだが、大切なのは若い頃からの精進であろう。目の衰えから老いを自覚し、久助の誘いで大坂に帰郷するかどうか、この先どう生きるか悩むお竹だったが、手代の大七の人生の転機を見て、ある決意をする。

    『第四話 契り橋』。タイトルの『契り橋』から結末は容易に想像出来る。いよいよ賢輔が五鈴屋の九代目を継ぐ日が近く。幸に対する長きに亘る想いを告白する賢輔。賢輔の想いは成就するのか。

    本体価格700円
    ★★★★

  • ありがとうございます
    ありがとうございます
    ありがとうございます

    神様仏様高田郁様

    私のような不心得者に
    『契り橋 あきない世傳金と銀 特別巻(上)』をお与えくださり誠にありがとうございます

    全て良かったです
    全て私の望んでおりました結末となっております
    幸せな結末ばかりでございました
    特に最終短編『契り橋』にいたりましてはお礼の言葉もありません
    『みをつくし料理帖』との繋がりを感じさせるお話しもあり
    こちらについてもお礼を述べさせていただきます
    ありがとうございます

    幸せにあふれた特別巻でございました
    特別巻(下)の方もよろしくお願いいたします

    ありがとうございました
    どうぞお気を付けてお帰り下さい

    • 1Q84O1さん
      あー!あれですかw
      んがんっぐぐも聞いたことあると思いますが、うふふふふの方が馴染みがありますね!
      あー!あれですかw
      んがんっぐぐも聞いたことあると思いますが、うふふふふの方が馴染みがありますね!
      2023/12/14
    • みんみんさん
      ジェネレーションギャップだ
      ジェネレーションギャップだ
      2023/12/14
    • ひまわりめろんさん
      山口百恵だ!
      山口百恵だ!
      2023/12/14
  • もう〜〜♡これって恋愛編じゃないの〜♡

    江戸時代で「お別れ」っていうと、冗談じゃなくもう一生会えないという意味も含まれる。江戸と大坂なら尚更、歩いて行くから距離もあり、天災も多々あり、本当今生の別れにもなりうる。SNSですぐ連絡を取れる現代との落差を思い、この時代の方々の「相手への想い」にしばし悶える。

    お竹どんのもう〜♡を読んだ後、この巻が恋愛編と気付き「次の巻っていつ出るんだっけ?」とつい検索してしまった...のが昨夜の最大の失敗。

    最後の大トリの賢輔どんの...賢輔どんの結末を、本の紹介文を読んで知ってしまった!この本1番のいいところだっただろうに!あああああああぁぁぁぁ...。読む人は気をつけて。ここ1番いいところだから。...まあ、知ってても逆にワクワクして、とても面白かったのです〜。

    • ひまわりめろんさん
      ( ̄ー ̄)ニヤリ( ̄ー ̄)ニヤリ( ̄ー ̄)ニヤリ( ̄ー ̄)ニヤリ( ̄ー ̄)ニヤリ
      ( ̄ー ̄)ニヤリ( ̄ー ̄)ニヤリ( ̄ー ̄)ニヤリ( ̄ー ̄)ニヤリ( ̄ー ̄)ニヤリ
      2024/02/26
    • へぶたんさん
      ワーン。゚(゚´Д`゚)゚。ワーン。゚(゚´Д`゚)゚。ワーン(゚´Д`゚)゚。

      ...これ、ホラーになってませんか?
      ワーン。゚(゚´Д`゚)゚。ワーン。゚(゚´Д`゚)゚。ワーン(゚´Д`゚)゚。

      ...これ、ホラーになってませんか?
      2024/02/26
  • シリーズに登場する味のある人物四人をそれぞれ主役に据えた短編集。

    出奔した惣次が江戸の井筒屋として現れた詳しい話はシリーズ中語られる事がなかった。
    隠れ惣次ファンとしては嬉しい短編(●︎´艸`)スッキリ♪

    佐助の恋話、お竹の老いと決意、賢輔と幸の今後…
    どれも感涙だす(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)


    早く下巻を……



  • ただ金銀が町人の氏系図になるぞかしー——

    江戸は浅草田原町に五鈴屋江戸本店を開いた幸の活躍を支えた人達の物語です。

    此度は、五鈴屋を出奔した惣次が如何にして井筒屋三代目保晴となったのかを描いた「風を抱く」。生真面目な佐助の、恋の今昔に纏わる「はた結び」。幸の片腕として江戸本店をささえているお竹を描いた「百代の過客」。忍ぶ恋という言葉がぴったりの賢輔の幸への一途な恋を描いた「契り橋」。「あきない世傳金と銀」シリーズの主要な登場人物4人を各編の主役にした短編集です。

    【風を抱く】
    五鈴屋を出奔した惣次は、己の才で井筒屋三代目保晴(やすはる)となる。
    惣次は、五鈴屋を出奔して江戸へ出てきて2年、名前を新六と改めた惣次は、江戸は伏見町にある小さな銭両替商の婿に望まれる。家付き娘の雪乃は、五鈴屋の幸とは真逆のやせて、顔は醜く、愚鈍である。惣次は、幸とは真逆の雪乃を好む。そして、惣次は、己の商才で小さな銭両替商から大きな本両替商へと店を大きくする物語です。➡謎であった部分が分かったという感じがします。

    【はた結び】
    恋など一生縁がないと思っていた五鈴屋江戸本店の番頭、佐助が、店で働く奥向きの女中を探しに口入屋に行くと。二十年ほど前に恋焦がれたが、結ばれなかった女性(さよ)と瓜二つの女性に会う。心に想っていた女性が二十年前に突然佐助の前から消えた。そのさよの消息をさよの妹(ちか)から・・・。事情があって十年前に幸せに亡くなったと聞く。五鈴屋でちかと一緒に働いていると、さよと重なっていく佐助であった。想いをぶつけると相思相愛であった。➡こんなことがあるんですね。不器用な男が、一生に一度恋をした相手の女性の妹と巡り合い一緒になるなんて。

    【百代の過客】
    月日は百代の過客にして、行き交ふ年もまた旅人なり———
    針に糸をとうすことが困難になったお竹は、来年には喜寿(77才)になる。お竹は、幸に乞われて江戸店開業のために大阪から江戸へ出てきて18年、一度も大阪に帰らず幸をささえてきた。このままでは、幸の負担になることを考えたお竹は、何度もお暇をと申し出るが幸から許しが出ない。そんなお竹に、大阪へ行く話が舞い込んできた。そして江戸へ帰らず大阪で残ることも・・・。お竹の心がゆる。➡お竹の心が揺れに揺れる。が、お竹は幸のもとに残る決心をする。この物語は、心が温まります。

    【契り橋】
    「五鈴屋の要石」と呼ばれた治兵衛の一人息子である賢輔は、小さい頃から幸に憧れ、信じ、想い、ひたすら幸の傍を離れず生きて来ました。歳も40になるが独り身です。その賢輔に、とうとう大阪にある五鈴屋の九代目店主を継がせることになりました。賢輔は、幸の傍を離れて大阪に行く決心がつきません。➡賢輔が、幸が迷いつつ大きな決断をして上巻が終わります。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    あきない世傳 金と銀シリーズ一覧
    14.特別巻上 2024.03.05読了
    13.大海篇  2022.10.08読了
    12.出帆篇  2022.10.07読了
    11.風待ち篇 2021.09.19読了
    10.合流篇  2021.04.03読了
    09.淵泉篇  2020.10.26読了
    08.瀑布篇  2020.03.19読了
    07.碧流篇  2019.09.14読了
    06.本流篇  ブクロク登録前
    05.転流篇  ブクロク登録前
    04.貫流篇  ブクロク登録前
    03.奔流篇  ブクロク登録前
    02.早瀬篇  ブクロク登録前
    01.源流篇  ブクロク登録前
    ※第1話~第6話までは、ブクロク登録前に読んだため登録していません。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~
    「図書館」
    特別巻(上) ー あきない世傳 金と銀シリーズ14作目《文庫本》
    2023.08発行。字の大きさは…小。2024.02.29~03.05読了。★★★★☆
    風を抱く、はた結び、百代の過客、契り橋、の四話からなる短編。
    図書館から借りてくる。

  • 大好きなシリーズのスピンオフ作品。
    五鈴屋を出奔した幸の前夫・惣次、五鈴屋江戸本店の支配人・佐助、幸の片腕・お竹、そして幸とのその後が気になる賢輔。何れもシリーズになくてはならない4人を主役にした短編集。

    本編では幸に対する言動に何度もムカついたり、本心をなかなか明かそうとしないため敵か味方か判断の付きにくかった惣次。あの惣次にこんな幸せなひと時があったことが嬉しかった。けれど…切ない。髙田先生、なぜ惣次だけこんなラストにしたのか…。かなりショックをうけた。色々あったけれど惣次も今度こそ幸せになってほしい。

    あとシリーズの第一巻から毎回登場し、いつも幸をサポートしているお竹の悩みにとても共感した。「五鈴屋にはお竹どんが必要です」これは幸だけでなく読者全員の総意に違いない。
    「幸せの形はそれぞれ異なる」
    「ひとの一生には限りがあります」
    「限りある一生を、自分はどう終えたいのか」
    どれも心にストンと落ちるセリフ。
    「与えられた生を、力一杯、生ききりたい」
    お竹の見出した答えには頷くばかり。

    そして幸と賢輔がようやくたどり着いた答えの、その先は特別巻下までのお楽しみなんですよね、髙田先生?
    しかしあの賢輔がもう40歳だなんて、そして幸が47歳だなんて…今作の中で一番の衝撃だった。

    帯にドラマ化決定の文字が。幸が小芝風花さん。他の人は誰がなるのか、今からとっても楽しみ。

  • 「あきない世傳金と銀」の特別篇です!
    本編では書かれなかった、でも気になっていた(私だけではないはず!)あの人たちの物語です。
    どれも本篇をより深いものにする素敵な作品でした。
    長い長い賢輔の秘めた想いの行方を描いた「契り橋」もよかったですが、惣次の消息を絶っていた間の人生をたどった「風を抱く」が好きです。幸への想い、新たなる出会いによる心の変化…。「あ、そういうことだったんだ」と、色々繋がって、しんみりしてしまいました。

  • 浩太さんのおススメ
    大急ぎでアマゾンに((笑)

    地元ご出身の高田郁さん
    デビュー作からずっと追っかけております

    読みやすくハラハラもじんわりも届けてくださいます

    今回は「あきない正傳金と銀」の特別巻上

    気にかかっていた四人のことがつぶさに
    うむうむ
    やっぱいいわあ

    下巻が待ち遠しいです

    ≪ 契り橋 金を生み出す 銀となる ≫

    • 浩太さん
      評価5を頂きありがとうございます。

      高田さんは年に2作、2月と8月がメインですが、他の作品が間に入ると半年ずれるという作家ですので、続...
      評価5を頂きありがとうございます。

      高田さんは年に2作、2月と8月がメインですが、他の作品が間に入ると半年ずれるという作家ですので、続きが本当に待ち遠しいです。
      「みをつくし」の特別号は1作だけでしたが、2作もあると喜ぶべきなんでしょうね。
      2023/09/13
    • はまだかよこさん
      浩太さん
      高田郁さんの本は、いつもすぐ購入しますのに今回はうっかり
      浩太さんの本棚で「おー!」と
      ほんと、次が楽しみですね
      コメント...
      浩太さん
      高田郁さんの本は、いつもすぐ購入しますのに今回はうっかり
      浩太さんの本棚で「おー!」と
      ほんと、次が楽しみですね
      コメントありがとうございました
      2023/09/13
  • あきない世傳 一年前に終了した全13巻の特別編
    上巻なので、下巻も有るのだろう。

    今まで本編では書けきれなかった主要人物たちの、
    実はこうだった…とか、本編後こう納まりましたよ!という幸せなお知らせ編。

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著者プロフィール

髙田 郁(たかだ かおる)
1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

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