- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758445948
作品紹介・あらすじ
鷹島珊瑚は両親を看取り、帯広でのんびり暮らしていた。そんな折、東京の神田神保町で小さな古書店を営んでいた兄の滋郎が急逝。珊瑚がそのお店とビルを相続することになり、単身上京した。一方、珊瑚の親戚で国文科の大学院生・美希喜は、生前滋郎の元に通っていたことから、素人の珊瑚の手伝いをすることに・・・・・・。カレー、中華など神保町の美味しい食と思いやり溢れる人々、奥深い本の魅力が一杯詰まった幸福な物語、早くも文庫化。(巻末特別対談・片桐はいり×原田ひ香)
感想・レビュー・書評
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あなたは、自分が読みたい本のイメージを書店員さんに伝えたことはあるでしょうか?
今、この長〜いレビューを読んでくださっているあなたは間違いなく本好きでいらっしゃると思います。そんなあなたが本を読む起点はどこにあるでしょうか?もちろん、私のこの長〜いレビューが起点となることは嬉しことですが、漠然とこういった本が読みたいという思いが先立つこともあると思います。そんな時、書店員さんにこんな問いかけをすることもあるかもしれません。
『あの…お弁当の作り方の本をずっと探しているんです。私、うまくできなくて』
まあ、『私、うまくできなくて』と自身のことをここまで話すのは余程のことだと思いますが、探している本を聞くことはあると思います。しかし、具体的な本の名前ではなくこんな漠然とした聞き方をされた場合、そこには数多の答えが存在するはずです。一方で、本好きなあなたには別の興味が湧くかもしれません。そんな質問をしている様を第三者的に知った場合、聞かれた相手がどのような本を推薦してくるのか。それは、本好きだからこその少し意地の悪い楽しみ方かもしれません。
さてここに、さまざまなお客様さんが訪れる神保町にある『古書店』を舞台にした物語があります。そんな古書店を訪れる客にさまざまな本が紹介されていくこの作品。登場した本が読みたくなってもくるこの作品。そしてそれは、そんな本がまさかのリアル世界に刊行されている本の紹介でもあることを知る物語です。
『よくわからない、古書店のことなんて』と、『九時に店を開けて、一時間ほど座っていたけど、誰も来ない』と思うのは主人公の鷹島珊瑚(たかしま さんご)。『本当に、東京に行っちゃうんだね』と帯広空港で見送られた時のことを思い出す珊瑚は、『郊外の、芽室に近い一軒家に』『兄、統一郎や滋郎』と暮らしていました。『本当は三人目も男の子が欲しかった親』は生まれてきたのが女の子だったことに失望し、『名前なんて三番目の女の子だから「三子」でいい、と言った』ことに対し、『兄、滋郎が「それはあまりにもかわいそうである」と主張し』てくれたことで名づけられました。そんなところに『「こんにちは」と言う声がし』、『隣で「ブックエンドカフェ」という名前の喫茶店を経営している』田村美波さんが入ってきます。『お早いのね』、『ランチの仕込みがありますから』と会話する二人。そんな中、『ねえ、ちょっとお聞きしていいかしら』と珊瑚は『思い切って尋ね』ます。『はい、なんでしょ』と返す田村に『あたしね、今、シャッター開けて掃除して、文庫本の箱を出して…他にすることってあるかしら。実はお店とかしたことがなくてね。何をしたらいいのか』と訊く珊瑚。それに田村は『おつりの用意とか必要じゃないでしょうか』等アドバイスをくれます。『小銭といくらかの札が入ったまま』のレジを調べる珊瑚を見て『滋郎さん、店の中で倒れたから、現金を出す暇もなかったんですね』と『声をつまらせ』る美波。
場面は変わり、『叔母さんの書店、今日、開店するらしいから、美希喜、ちょっと見てきてよ』と母親に言われたのはもう一人の主人公・鷹島美希喜(たかしま みきき)。『神保町で小さな古書店をやっていた大叔父の鷹島滋郎が独身のまま、昨年、亡くなった』という先に、相続の話が持ち上がりました。美希喜の父の光太郎は、滋郎の兄である統一郎の一人息子ですが、統一郎はすでに他界している一方で妹の珊瑚は両親の面倒を最後まで見た後『帯広市内に一人で暮らして』いました。そんな珊瑚に『財産のほとんどを』残したという滋郎に、美希喜の両親も異論なく同意します。そして、そんな珊瑚が滋郎の残した店を開けるのが今日という日に『大学の帰りに、お店の様子を見てきてよ。いえ、できたら行ける時はこれから毎日見てきて』と言う母親。『今通っている大学は、神保町の近くにある、O女子大という美希喜は、滋郎の『生前も何度か古書店に行』っていました。『自分は何になりたいのだろう』と将来何になりたいかよくわからないという美希喜は、『東大の文学部の国文学研究室にいた』という滋郎のことを思い、『あの人なら、私の疑問に答えてくれるのではないか』という思いの先に神歩町通いを続けました。しかし、結局、『大叔父が「何になりたかったのか」』を聞きそびれてしまったという美希喜。そして、美希喜は店に行き珊瑚と親しげに会話します。そんなところに、『あの…お弁当の作り方の本をずっと探しているんです。私、うまくできなくて』と語る一人の女性客が入ってきました。滋郎の残した古書店を舞台に本と美味しい料理の物語が紡がれていきます。
“鷹島珊瑚は両親を看取り、帯広でのんびり暮らしていた。そんな折、東京の神田神保町で小さな古書店を営んでいた兄の滋郎が急逝。珊瑚が、そのお店とビルを相続することになり、単身上京した。一方、珊瑚の親戚で国文科の学生・美希喜は、生前滋郎の元に通っていたことから、素人の珊瑚の手伝いをすることに…”と、内容紹介にうたわれるこの作品。『古書店』を思わせる表紙のイラストと書名、しかし、そこには何故か『食堂』という文字が踊る「古本食堂」という摩訶不思議な書名が興味を掻き立てます。そんなこの作品は、”カレー、中華など神保町の美味しい食と思いやり溢れる人々、奥深い本の魅力が一杯詰まった幸福な物語”とも説明される通り、”本 × 食”という本来組み合わされることのないものがタッグを組むという先に生まれたグルメで本好きなあなたにはたまらない一冊になっています。
“本 × 食”と言ってもなかなかピンとくるものではありませんが、この作品を手に取り目次を開いた読者はどことなくそのイメージが湧いてきます。この作品は六つの短編が連作短編を構成していますが、まずは、そんな短編に付けられたタイトルを以下に書き出してみましょう。
・〈第一話『お弁当づくり ハッと驚く秘訣集』小林カツ代著と三百年前のお寿司〉
・〈第二話『極限の民族』本多勝一著と日本一のビーフカレー〉
・〈第三話『十七歳の地図』橋口譲二著と揚げたてピロシキ〉
・〈第四話『お伽草子』とあつあつカレーパン〉
・〈第五話『馬車が買いたい!』鹿島茂著と池波正太郎が愛した焼きそば〉
・〈最終話『輝く日の宮』丸谷才一著と文豪たちが愛したビール〉
はい、いかがでしょうか。とても特徴のある短編タイトルだと思います。そこには、リアル世界に実在する本の名前に続いて料理の名前が記されていることに気づきます。例えば〈第一話〉の場合、小林カツ代さんの書かれた「お弁当づくり ハッと驚く秘訣集」という主婦と生活社から1984年10月15日に刊行された料理本の話題が登場します。そんな本はこんな形で登場します。『あの…お弁当の作り方の本をずっと探しているんです。私、うまくできなくて』と現れた女性は『写真がたくさんでていてきれいなお弁当の本はたくさん持っている』、でも『使いこなせない』と訴えます。そんな訴えに珊瑚が取り出したのが今から40年近く前に刊行されたこの料理本でした。
『小林カツ代さん、知ってる?』、『もう亡くなられたけどね…この本の特徴はね、写真がないの』
そんな風にこの本を紹介する珊瑚は、
『かぼちゃのスピード煮とか、とり肉とかぼちゃの煮ものとか、簡単にできて味がよくしみる、お弁当に入れるのにぴったりな煮物の作り方がたくさんでてるのよ…』
そんな風に説明を続けます。私はこの本自体は全く存在さえ知りませんし、読んだこともありません。しかし、リアル世界に実在する本ということで実際にどんな本なんだろうと、一旦読書を中断してAmazonのレビューを見てビックリしました。まるで、この作品に記述されているイメージそのままのレビューがそこに記されていたからです。当然のことながら、作者の原田ひ香さんはこの本を読まれた上でここに取り上げられているのだと思いますが、空想の産物ではなく、リアル世界に刊行されている本を小説の中に織り込んでいくというこの作品の試み。おすすめ本を紹介した作品というものがありますが、この作品はその考え方を小説に一体化してしまった!というとても画期的な作品だと思いました。
そして、空想とリアルの融合を見せるこの作品は”本”だけでなくて”食”においても空想とリアルが融合した世界を見せてくれます。今度は〈第二話〉を見てみたいと思いますが、そこに登場するのが『この近くにカレーのボンディがあった』と美希喜が訪れるリアル世界に実在するカレー店です。
『ボンディのビーフカレーは大きな肉がごろごろ入っている』。
そんな風にいきなり読者の視覚を通じて食欲を刺激する原田さん。
『ご飯にはぱらぱらとチーズがかかっていて、別にジャガイモが二個とバターが付け合わせだ。濃い褐色の香り高いルーを、ソースポットからレードルですくい取り、ご飯にかける時のどきどき感はなんとも言えない』。
思わず頭の中にイメージを浮かべてしまうリアルな”食”の描写。
『口当たりはまろやかで柔らかく、まるでビーフシチューか何かのようなのに、それはすぐに裏切られる。実はその底にしっかりしたスパイスの辛さがひそんでいるのだ』。
そんな風に見事な食レポを見せてくださいます。
『おいしいー!と心の中で叫んでいた』
美希喜の心からの喜びが伝わってくるその鮮やかな食の描写は原田さんならではです。原田さんと言えば代表作の一つに「ランチ酒」があります。あの作品では実在のお店を取り上げるも店名は明かさないままにたまらない”食”の描写で読者の食欲を刺激されました。この作品では、ついに店名をハッキリと記述してしまうという一歩進んだ描写を見せてくださいます。これはもう、リアルなお店に行くしかないですね!これだけ味覚が視覚によって刺激されきってしまうと行かずには済まなくなってきます。”原田ひ香さん × 食”の相性の良さを決定づける作品だと思いました。
さて、そんなこの作品は、珊瑚と美希喜という特徴のありすぎる名前の女性二人が主人公を務めます。作品中では、二人に交互に視点が切り替わって展開していきますが、珊瑚視点 = 『あたし』、美希喜視点 = 『私』という使い分けなど細かい工夫がなされているため、どちらの視点?とこんがらがることはありません。そんな二人の関係性は、鷹島三兄弟(統一郎、滋郎、珊瑚)において長男・統一郎の孫が美希喜になります。本文中では美希喜から見た珊瑚のことを『大叔母』という表記で表してもいます、そんな二人が急死した滋郎の残した『鷹島古書店』を切り盛りしていく日常が描かれていきますが、そこには物語を一本貫くかのようにふたりが抱える悩みの存在が並行して描かれていきます。
美希喜『自分は何になりたいのだろう』
珊瑚『東山さん、今頃、何をしている』
それは〈第一話〉でうっすらと匂わされていたものが各短編でどんどん色濃くなって短編間の結びつきを強くしてもいきます。一方で”本 × 食”の魅惑的な描写に酔わせてくれるこの作品はそれだけでなく、二人の女性のそれぞれの生き方を見せてくれるものでもあったのだと思います。
『神保町で小さな古書店をやっていた大叔父の鷹島滋郎が独身のまま、昨年、亡くなった』
『鷹島古書店』を滋郎に代わって営む珊瑚と大学院に通いながら大叔母でもある珊瑚を手伝う美希喜の日常がある意味淡々と描かれていくこの作品。そこには、”本 × 食”を絶妙にコンビネーションしたからこそ納得できる『古書があふれていて、おいしいものがあふれていて』という書名の意味に感じ入る優しさに溢れた物語が描かれていました。リアル世界に刊行されている本がそのまま紹介されるこの作品。美味しそうな”食”の描写に食欲が刺激されるこの作品。
“本”が大好きで、”食”も大好きで…というそんなあなたにぜひご賞味いただきたい、そんな作品でした。 -
珊瑚が兄の所有する不動産とそのビルの1階で営んでいた古書店の経営権を相続することになり単身上京。国文科の大学院生の美希喜(みきき)は大叔母にあたる珊瑚を母より監視するように言われて毎日顔をみせるうちに古書店の手伝いをするようになる。
原田ひ香さんの作品にでてくるキャラはサバサバしてて抜け目ない感じの人が多いように思えてしまう。
美希喜の親からすれば珊瑚は叔母で3親等にあたりひょっとすると代襲相続できる可能性を見込んで独身の珊瑚(子を産める年齢は過ぎていそう)の身辺に男の噂がないかスパイとして娘の美希喜を送り込んだ様子だ。
一方、兄の財産を相続した珊瑚は内縁関係の妻とか非嫡出子が名乗り出てくるのではないかと怯え古書店を続けながら近隣に聞き込み調査してたりとゆう図式。
また、美希喜は古書店の経営権を密かに狙っている感じも見え隠れして、じりじりと信頼関係を築き距離感を詰めてゆく様が女の策略に感じてしまう。
本に関わるマニアックな話がなければ生臭く感じられる状況をオブラートに包みながら昇華していくところも抜け目なく感じてしまいました。
珊瑚と美希喜の二人の視点が入れ替わりながら構成させているのですが、続きが気になる場面で視点が替わるのがクールダウンしちゃうし、焦らされてるように感じて私には残念におもえました。
1話ででてくる小林カツ代さんのレシピ本「お弁当づくり ハッと驚く秘訣集」なんですけどちょっとしたエッセイなんかも書いてあって私も持ってます。料理つくるとき毎回参考にしてたからボロボロで、すっかり茶色に変色してしまい表紙も裏表紙もとれちゃって中身だけある状態なんですけど背表紙に全く同じタイトルがあり興奮しました。21世紀ブックスってとこから刊行した本みたいなんですけど。できれば保存状態の良い同じ本を探しに古書店めぐってみたく思いました。-
Macomi55さん、こちらこそいつもありがとうございます!
あの本は使い込み過ぎてボロボロでブックオフの難からも逃れて手元にあります...Macomi55さん、こちらこそいつもありがとうございます!
あの本は使い込み過ぎてボロボロでブックオフの難からも逃れて手元にあります。息子のケンタロウさん本も何冊か持ってますよ。2023/11/28 -
しじみさん、おはようございます!
しじみさん、小林カツ代さんの本、持っているんですねっ!
私も、作中で紹介された本で読みたいなぁ~と思っ...しじみさん、おはようございます!
しじみさん、小林カツ代さんの本、持っているんですねっ!
私も、作中で紹介された本で読みたいなぁ~と思ったのが
この本で、図書館にはあるようなので
いつか読んでみようと思ってます(^^)
だけど、復刻版が文庫で出ているみたいですよ。
「ハッと驚くお弁当づくり」 (ハルキ文庫)
去年4月に発売されているようです。2023/11/29 -
かなさん、おはようございます。
小林カツ代さんの本は4冊ぐらい持ってます。
情報ありがとうございます。復刻版でてるんですね!
この...かなさん、おはようございます。
小林カツ代さんの本は4冊ぐらい持ってます。
情報ありがとうございます。復刻版でてるんですね!
この本は母の代から受け継いでとゆうか、拝借したまま私物化したものですww
早速購入したく思いました ( `ー´)ノ
ケンタロウさんも何冊か持ってますが随分前にひどい交通事故で車いす生活になってしまわれた様子でしたが、いまどうしてみえるのか気になってしまいました。
2023/11/29
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急逝した次兄がやっていた古本屋を引き受けるために帯広から東京に出てきた珊瑚さん。その長兄の孫で母に言われて珊瑚さんの様子を見に来た美希喜ちゃん。二人の交互語りで進むお話。
最近の本なのに登場人物の印象も相まってなんだかレトロな印象だが、その雰囲気がなかなか好い。
6つの話に区切られていて、それぞれの話の締めに出てくる本のチョイスが渋い。お客さんの困りごとにさっと本が出てくる珊瑚さん、結構ひねりが利いている。
国文科の院生の美希喜ちゃんが店番の傍らに読む本にも惹かれる。古文を読み下していく「讃岐典侍日記」や序文に思わず笑いがこみあげる「国文学全史」などまったく読まないジャンルなので、その面白みが新鮮。思わぬ感性を示す美希喜ちゃんもかわいらしい。
神保町の古本屋街で出てくる食べ物も美味しそう。お店で食べたりテイクアウトしてくる、けぬきすし、ビーフカレーにハヤシライス、ピロシキにカレーパン、焼きそばにメンチカツ…。
東京に住んでいたことがあるが、神保町にはほとんど行ったことがなく、古本だけでなくグルメに溢れている風情を読むと今更ながらに惜しい心持ち(まあ、その頃は仕事も忙しく出張の車中でも本を読む習慣がなく、今から思えば残念な時間の使い方をしていたなあ)。
北海道から出てきて、東京の人を「しっかりしている」「目端が利く」「要領がいい」「現実的だ」「少し見栄っ張りだ」とか、いろんなことをひっくるめて「東京の人だ」と思っている珊瑚さんが、それでも『東京は一人を優しく包んでくれる街だ』と馴染んでいく姿にもほっこり。
美希喜ちゃんが悩む卒業後の進路、珊瑚さんが揺れる老いらくの恋の行く末、独身のまま逝った次兄の恋の正体など、気になることがたくさんあった話もすべてうまくまとめられていい感じ。
『私たちも、自分をゆるしてやってもいいんじゃないでしょうか』という東山さんの言葉が泣かせる。 -
タイトルだけで、これはもう読むしかないと手に取った。
予想通り古本と神保町界隈の雰囲気に包まれて、青春がプレイバックした。
学生時代、神保町と早稲田通りの古本屋さんに通った。掘り出し物を見つけてにんまりしながら。私が住んでいたアパートの最寄駅にも古本屋さんがあって幸せだった。
この本で紹介されている本も魅力的だ。本多勝一さんのエスキモーの話も紹介されていてビックリ!
この本のストーリーもいいが、喫茶店やレストランもいいスパイスになっている。学生時代、友達とロシア料理の店で食べたボルシチがふと思い出された。
本が好きで、神保町、中央線沿線にゆかりのある人にはおすすめ。 -
楽しい情報量が多すぎて消化しきれないです。
物語は亡くなった兄から古書店を引き継いだ妹とその親戚の大学院生の二人が中心となり進みます。お客さんと本との出会いを通して付き合いが始まります。最後は意外な結末でした。
まずは物語に出てくる本に興味が持て、主人公達が食事をするお店が実際にあると分かり舞台となっている神保町へ行ってみたくなります。どれも美味しそうで素敵なお店です。
神保町は今まさに古本まつりが行なわれいてますます行ってみたくなりました。
最後に片桐はいりさんとの対談ページがありそれも楽しく読めました。
片桐はいりさんの著書も面白かったですが対談を読んでやっぱり楽しい人だなと。
とても楽しめた読書時間でした。
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兄である古書店主滋郎が亡くなり、妹の珊瑚さんが
神保町に有る三階建てのビルごと相続する
親戚で国文科大学院へ通う美希喜さんの2人が主人公
この、本大好きなふたりが交互に話し手となり進んでゆく
話し手が変わる時、3冊の開いた本のマークがかわいらしくて、わかりやすい
一章ごとに、古本屋ならではの魅力的な本の紹介と、美味しそうな食べ物が登場!
神保町の古本屋街には行ったことは無いし、雰囲気も想像でしか無いけれど、なんとも魅力的な街だわぁー!
古本の個人店主が集める本はそれぞれ特徴があるらしい
ちなみに珊瑚さんの店の隣は鉄道関係の本ばかり とか!
作中にでてくる本が多彩で、そのエピソードが楽しい
巻末にある、片桐はいりさんとの対談も興味深くて、
その文中の話に、原田ひ香さんは神保町に住んでいたことがあると!
どうりで、細かな地理や建物の構造や美味しい食べ物店に詳しいのかなぁ
全編通して 登場人物が魅力的な人々で 幸せ感満載の癒し系の本でした♪
続編も執筆中との事で、とても楽しみです -
紙の本と美味しい食べ物があって、併せて誰かと共有すれば、とても人生が豊かになると思う。さらに、その共有する人が本好きであれば完璧である。その環境が整っているのが神保町ということになる。
この本に登場する、古本屋店主・国文学者・出版社従業員たちは、決して名声や金銭が欲しいわけではなく、故人が残した思いや珠玉の言葉を後世に受け継いでいく「鎖」、その輪っかの一部になりたいと考えているのかもしれない。鎖の一部になることが、名誉なことなのだろう。なんだか、人間らしい重要な部分(知的文化)を受けついでいく、尊い仕事なんじゃないかと思った。
そして、その人類のミッションの重要性を、言葉にせずともお互いに理解し合う関係でいるのが、古書に携わる職業の人達であり、神保町の独特の雰囲気を形成しているのではないだろうか。作中に「古本が醸し出すウイルスに感染する病」という妄想が語られている。古本に取りつかれた人たち同士が繋がる病であれば、大歓迎である。
私も本が好き、そして本を読む人が好きだが、そのような素敵な人達が集まるユートピアが神保町であり、秋のお出かけ先としておススメである。 -
私自身本が好き、喫茶店が好きという理由で神保町にはちょこちょこ足を運んでいました。
なので神保町の中で繰り広げられるこの一冊はとても楽しくて!!食べてみたいグルメもたくさんでお腹が空いてくる...
店舗が良くて続編も気になります!!!
出てくる登場人物がみんな良い!!
自称内縁の妻と、湊人くんのクセは強かったな、、!!笑-
2023/12/16
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Tomoyukiさん
確かにおっしゃる通りです!!
時間を忘れてしまうほど、心落ち着く素敵な所ですよね!Tomoyukiさん
確かにおっしゃる通りです!!
時間を忘れてしまうほど、心落ち着く素敵な所ですよね!2023/12/19
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読むと神保町に住みたくなる。本好きなら特に。
もともと神保町は好きな街のひとつだったけど、用事があるときに立ち寄ったり、さぼうるが有名だから行ったことがあったりするくらいだったから、次に行くときはもっとじっくり堪能したいな。
カレーや中華も食べたい。本を読みながらのんびりしたい。 -
夫と一緒に本屋さんに行くと、装丁と裏表紙を見て、わたしが好きそうな本をよく勧めてくれます。古本食堂もそのうちの一冊でした。
原田ひ香さんの作品は初めましてでしたが、面白くて一気に読み進めました。慈郎さんのファンになりました。
続編も出るようなので楽しみです。
ちょうど、友人から食べ物系で良い本ないかと聞かれておりまして、レビューを拝見してこちらを薦める事に決めま...
ちょうど、友人から食べ物系で良い本ないかと聞かれておりまして、レビューを拝見してこちらを薦める事に決めました!
内容もとても友人が好きそうです。
もうさてさてさんの素晴らしいレビューを見せるだけで買うことを決めると思います。
古から食と本は意外と相性が良いのですね。
食べ物系で一冊、ちょうどタイミング良くお役に立てて何よりです。
食を扱った作品は多々ありますが、...
食べ物系で一冊、ちょうどタイミング良くお役に立てて何よりです。
食を扱った作品は多々ありますが、原田ひ香さんは絶対的な安心感があります。食の表現もそうですが、そんな雰囲気感をぶち壊さないストーリー展開と読後感、悪くないと思います。
神田神保町を良くご存知の方にはその視点からも読みどころの多い作品だと思いました。食と本、面白いですね!