- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784759820324
作品紹介・あらすじ
生命にとって最も重要な元素である炭素の起源と進化を通じて,過去,現在,そして未来を地球科学者が語る.地球の歴史だけでなく,宇宙の成り立ちも含めて語られている.
★地球上で最も共鳴を起こし,最も必要とされる元素である炭素の魅力的な物語
炭素.あなたの髪の毛の繊維,壁の木材,食べ物,呼吸する空気にも含まれている.贅沢品としては数十億ドル,必需品としては5000億ドルの価値があるが,ダイヤモンドと石炭の両方になり得る元素については,まだ謎がたくさん残っている.どこから来たのか,何をするのか,そして何よりもなぜ生命がそれを必要とするのか?
詩的な語り口で,地球科学者ロバート・ヘイゼンは,生命の最も大事な元素の起源と進化を通して,わたしたちを世界的な旅へと誘う.この物語は土,大気,火,水の四つの楽章で構成され,140億年の宇宙の歴史を伝える.ハーバード大学のアーカイブからスコットランドの崖,ナミビアの貴重な鉱山に至るまで,地球上で最も重要な元素である炭素について書かれた壮大な年代記だといえよう.
この本の紙,わたしたちの体の血のなかでさえ,炭素があふれている.それは初めから終わりまで,赤ちゃんの服や棺にも使われている.わたしたちは炭素の惑星に住んでいる.そして,わたしたちは炭素生命体だ.わたしたちの幸せにとって,これほど重要な元素は他にない.少しでも欠けていたり,位置がずれていたりすると,炭素原子は病気や死さえも引き起こす可能性がある.不思議なことに,炭素は人類の最大の疑問に対する答えをもっている.地球はどこから来たのか? 最後はどうなるのか? 詩的な記述で,地球科学者ロバート・ヘイゼンは宇宙を探検し,生命にとって最も重要な元素である「炭素」の過去,現在,そして未来を見つけにいく.
カール・セーガンがよく語っていたように,わたしたちは「星から生まれた」だけでなく,「ビッグバンそのもの」でもある.ヘイゼンは,炭素の壮大な交響曲が創造の夜明けの直後に熱狂的な前奏曲で始まったことを明らかにする.ビッグバンから数分すると,激しく衝突する陽子と中性子が最初の炭素原子を形成する.本書では4楽章で構成され,土,空気,火,そして水の元素として,彼が炭素を探求するにつれ,さらに勢いづいていく.
ナポリ近郊の有名な火山噴火口,ソルファタラ・ディ・ポッツオーリ(Solfatara di Pozzuoli)を訪れたとき,吐き出される二酸化炭素と他の有害な煙霧が美しい結晶に変わっているのを見た.さらに,スコットランド高地では崖を登り,ナミビアの貴金属鉱山では地中深く掘り進む.未知なる炭素構造を求めて地球の神秘的な地球の核(コア)に向かって旅をするヘイゼンは,気候変動における炭素の役割とそれについてわたしたちができることをよく考えるように提案する.ダイヤモンドのように輝く散文は,炭素の物語だ.
感想・レビュー・書評
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詳細は、あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノートをご覧ください。
→ http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1490.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
欧米人の著作の翻訳物らしく、日本人には理解しにくいジョークやエピソードを織り交ぜながら、多岐なトピックスについて記載。読みにくい。
地学に関する内容には特に新しい内容はなかったが、鉱物のビッグデータの活用については興味深い。
読了60分 -
身の回りの至る所にあり、そして重要な役割を果たす元素である炭素。岩の成分であり、役立つ素材となり、エネルギー源ともなり、そしてなにより生命の重要なパーツでもある。深部炭素探索(DCO)という研究プロジェクトは、そんな炭素に着目し、分野横断的に解明することを目的としたプロジェクトで、本書はその取り組みを紹介している。
四元素になぞらえた土・空気・火・水の4章で構成されている。また、さまざまな分野が絡み合うさまを交響曲に見立てている。
興味深かったのは、地球の地下深くの高温高圧化では物質が我々の想像を超えた働きを示し、水が岩さえ溶かしてしまうということ。また、言語解析などでもちいられる「多数希少事象(LNRE)分布」の解析方法を、鉱物の分布に当てはめた話も面白かった。
ページにはところどころにQRコードが添えられていて、それを読み込むと鉱物の写真や出来事に関するニュース記事などにアクセスできる仕掛けがされている。画期的だと思った。
四元素になぞらえた章立てをしている割には、流れとしては概ね地球科学→材料科学・工学→生命科学というような様子で、分野横断的という感じをあまり受けなかった。
また、炭素とは直接関係ない、ニッチな話(原始生命の名前など)や比較的よく知られた話(細胞内共生説など)の紹介に紙幅が費やされており、本書の主題であるはずの炭素にまつわる話がやや抽象的に記載されていた感がある。多少専門的で難しくなってもいいから、炭素にまつわる点を重点的に詳しく紹介してほしかった。
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