夏王朝は幻ではなかった: 1200年遡った中国文明史の起源

著者 : 岳南 朱建栄 加藤優子

• 柏書房 (2005年5月1日発売)

作品紹介・あらすじ

夏・商(殷)・周三代の歴史や文化は広く語られてきたが、紀元前八四一年以前についてはあいまいな年代しかわからなかった。しかし一九九五年、国家科学技術委員会主任(現・中日友好協会会長)の宗健が歴史学、考古学から天文学、放射線物理学におよぶ第一線の研究者二〇〇名を集めて調査研究プロジェクトを発足、ようやく二〇〇〇年に三代の年代を確定させることに成功した。本書は、この国家プロジェクトのすべての会議に同席を許された唯一の作家が、検証過程の一部始終を再現しながら二〇〇〇年来の懸案だった「夏・商・周年表」の誕生までをまとめたドキュメントである。

感想・レビュー・書評

[osawatさんの感想 · 2021年2月27日]

ふむ

[koochannさんの感想 · 2013年8月20日]

中学の頃から殷（最近では「商」）の前に夏があった！？ということは参考書に伝説の世界のように書かれていたことが思い出されるのですが、考古学、文献学、天文学そして物理学（炭素14による年代測定）などの成果により、文献に夏と所在地として書かれている場所の夏王朝と思われる時代の遺跡が中国の開発ブームとともに掘り起こされてきている！？前1953年の５惑星の集合、及び夏代と思われる時代に４回あった皆既日食から夏の時代をほぼ紀元前2070～1600年だと割り出したり、周の武王が殷の王を滅ぼした年を木星の位置から前1046年とほぼ断定するところには、感動のあまり胸が躍る思いがします。夏殷周の３代の暦年を確定していくというドキュメントが、単なる古代史のロマンとしてではなく、中国という国が世界でも最も古い歴史を持つということ、最高水準の文化科学の粋を結集することができるということ、に国の威信を賭けているということが良く伝わってくるものがありました。（プロジェクトに従事する人達の紹介において）