- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784760151509
作品紹介・あらすじ
引きこもっていたのに働かされるアマテラスオオミカミ、妊娠したら男に「俺の子?」と疑われるコノハナノサクヤヒメ、恋人と引き離されて石化する松浦佐用(まつらさよ)姫。見知らぬ男にさらわれる絵姿女房。日本の昔話や神話に登場する、理不尽な目に遭う「女の子」たち。
──でも、みんな本当に平気だったのでしょうか。怒っていなかったのでしょうか。
著者は、怒りや悲しみをスルーされてきた昔話の女の子たちの素顔と本心に向き合い、彼女たちがどんなふうに「抵抗」してきたのかとことん語り合う。時に痛切で、時に痛快な、命を懸けた多種多様の異議申し立ては、現代の私たちにきっと力を与えてくれる。
優しくて、パワフルで、軽やかなイマジネーションが、千年前の女の子たちとあなたを自由にする新感覚エッセイ「日本のヤバい女の子」第2弾。女の子たちがわいわい語り合う4コマ漫画も収録。
感想・レビュー・書評
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昔話の女性たちに思い入れて書いたエッセイ。
昔話は当然男目線で書かれているものが多いので、今の女性の感覚からするとおかしな、不条理な話が多い。
筆者は「はじめに」で語る
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物語はなぜか、彼女たちの悲しみや苦悩をなんとなくスルーしたまま進んでいきます。
ーーそういう話だから。そういう風に決まっているから。
でも、みんな、本当に平気だったのでしょうか。怒っていなかったのでしょうか。
怒っていいんだよ、と言われる、言える時代になってしばらく経ちました。いやだと思ったら声を出せる。運命だと受け入れず、拒否したり、怒りをあらわにできる。
それでも、怒るのは難しいことです。始めるのも持続させるのも体力を消耗します。「また?」と面倒な顔をされたり、その瞬間の表情を切り取って感情的だと言われたり、すぐに十分な手ごたえをかんじられない場合もあります。怒りが薄れていく毎日に罪悪感を抱くこともあります。
(中略)
これは昔話の女の子たちと「ああでもない、こうでもない」と文句を言いあったり、悲しみを打ち明けあったり、ひそかに励ましあったりして、一緒に生きていくための本です。
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筆者の昔話の発掘力、昔話の女性と周囲のおかしな登場人物たちの動きにたするツッコミがかなり面白い。
そのツッコミと、女性たちの共感と、なぜそういう風になっているのかの想像力はそのまま、文学の深い鑑賞につながるものだと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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Kouseiさん
フォロー頂き、ありがとうございます!この本、今、読み返し中なのですが、なかなか感想が、書けないでいました。
見事なレビュー...Kouseiさん
フォロー頂き、ありがとうございます!この本、今、読み返し中なのですが、なかなか感想が、書けないでいました。
見事なレビューです!私には難しいのです。こんな私ですが、どうぞよろしくお願いいたします。 りまの2021/02/05
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伝説、伝承に登場する女の子たち。
「鬼女、紅葉」は本当に悪女だったのかと思う。
好きでもない男と無理やり結婚させられそうになった、嫌だから身代わりを送り込んだ、好いた男の子供を孕み、正妻に邪魔されて田舎へ移り住み、村人を手助けして崇められる……。
人には二面性がある。
則天武后も、西太后も悪女と言われたが、一方で繁栄や、それまで虐げられてきた人々の地位向上なども行った。
一方では確かに悪い面もあるが、一方では素晴らしい功績も残す。
なんだってそうだ。
ものの見方で人は変わる。
ただ、女性だと、悪い方に描かれがちだ。
それは為政者が多くは男だったせいか、それとも、本当に女の方が悪いのか。
「尾張国の女」などはまさにそれ。
単に力が強いというだけで、夫には離縁され、商人には絡まれ、現代と変わらないなあという気がする。
女性アスリートは、やれ可愛いとか可愛くないとか言われ、化粧すれば調子乗ってる、競技に集中しろよ、なんて言われる。
「お前らにカンケーねーだろ!」「私は私のやりたいようにやってるだけだ!」と、思っているかもしれない。
かくいう私も本人ではないので、本人たちは大して気にしていないかもしれない。
罵倒も同情も、所詮外野の声だ。
「とりかへばや物語」も学校の古典で登場するが、これもまた現代と変わらないところに、もやつく。
180ページ「『一見フェアなトレードっぽい理不尽な交換条件』は今も私たちを取り囲んでいる」は全くそうだ。
「女/男の単純な二分化は、生殖のシステムという巨大な後ろ盾に守られた、最も思考停止しやすい分類」に首がちぎれそうになるくらい肯く。
この国は変わる気がないのか。
5年後、10年後には変われると良いな。
生まれ育った国が、バカな国だなんて思いたくない。 -
ごめんなさい、途中でやめてしまいました。
わたしには合わなかったなぁ。 -
古典文学や民話などの女性たちと向き合い直す。
第二弾だったことを読み始めてから知ったのだけど、こちらからでも問題なし。
語り直しは、語り直す人の感情や主張に引っ張られることがよくあると思うのだけど、著者は信条をしっかり持ちつつも、引っ張られ過ぎないように向き合っているように感じられて良かった。
山姥の友情の話が一番好きだったな。
関係に自分で名前をつける。 -
昔のお話を知れるのは勉強になった。
4コマ漫画が可愛い!
鬼を拝んだおばあさん
尾張の国の女 怪力
アマテラスオオミカミ
絵姿女房が印象に残ってます。 -
初っ端の「鬼を拝んだおばあさん」で泣いてしまった…。推しがいる人はわかる、わかりみ、わかりすぎる…ってなると思うの…。
あいも変わらず出てくる男のろくでなし度、ぼんくら度が高い。「結婚相手の連れ子の器量が悪いから殺した」「駆け落ち相手が病に伏せって足手まといになったから殺した」スサノオノミコトはお姉さんのアマテラスのところで好き放題してほんとクソだし、コノハナサクヤヒメの夫も…。その中で、女たちがどんな抵抗をしたか怒りを表したか。あーー!今作も面白かったです。
特に好きだったのが先述した「鬼を拝んだおばあさん」
「磯良(雨月物語)」
「尾張の国の女(今昔物語)」
「北山の狗の妻」
「アマテラスオオミカミ」
「松浦佐用姫」
「ちょうふく山の山姥」
「山姥と百万山姥」
北山の狗の妻の話は異類婚姻譚が好きなので、ロマンチックな解釈をしたい。ちょうふく山の山姥や、百万山姥は表題の怒りや抵抗とはちょっと違うかもだけれど、お話に出てくる二人の関係がとても興味深くて心に残る。
たまにこじつけというか、話の繋がりが飛んでいるように感じて「ん?」ってなるところもあったけれど、楽しく読めました。
筆者の文体がほんと好き。
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かつて存在していたかもしれない、昔々の女の子たちを深い敬意で「生き直す」。通り過ぎていった彼女たちの痛みや悲しみ、怒りに足を止める。怒り続けることは疲れること、それすら肯定してくれる。はらださんの解釈に、私も生きてていいんだと少し体が軽くなる。
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ずっと気になっていてやっと読めた。
フィクションでも昔のお話でも、「女らしさ」とか「普通」の規範から外れた女性たちが強く逞しく生きていたんだって思うだけで元気付けられるものがある。
八百屋お七とか、恋に恋して情熱的でガチで強いし、とりかえばや物語の双子とか、生きてるだけで抵抗、感あった。
古典自力で探すのは怠いけど面白い話いっぱい詰まってるなあ……というかこの作者の語り上手いなあとか思った。