怒りをコントロールできない子の理解と援助―教師と親のかかわり

著者 :
  • 金子書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760821617

作品紹介・あらすじ

友だちとのトラブルで暴力をふるう。授業を乱す。叱られると暴言を吐く。突然「きれて」怒りに支配されてしまう小学生を、どう理解し、援助するか。子どもの心理療法の専門家が、新しい視点と具体的な実践例を豊富に提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 心の階段を、のぼっているところ。
    いやなことあったんだね、
    身体どきどきしちゃってるね
    覚えてないこともよくあるんだよ
    覚えてなくても大丈夫だよ
    どこまで、覚えるか教えてくれる
    よく話してくれたね
    すごく、腹が立つ
    かなしかったんだよね
    身体の中がどうなってるか教えて
    おなかの当たりが、ムカムカしたり、イライラしたり、ぎゅーってなったりとかわかる?
    苦しいよね、
    10だったら今どのくらい?
    他にもある、
    いくつくらいになると、大丈夫かな?

  • 子どもたちのいざこざに、「子どもの発言のどこに焦点をあてて反応するかということで、対話の文脈と質が決まる」と、この点を常に意識したいと思いました。自分の思考の瞬発力が試されるので身が引き締まる思いです。日常的な兄弟ゲンカなどにも通じることなので参考になりました。
    私は保護者の立場ですが、担任の先生の立場も踏まえて視野が広くなるので勉強になりました。
    更に読みたい本を見付けることもできました。

  • これは素晴らしい本!
    自分の至らなさも痛感するけど、きちんと励ましのメッセージもあって勇気づけられる本です!

  • 大河原先生の2冊目。怒りをコントロール出来ない子は傷付いている子だ、と理解する事。小4の子もロールプレイは面白いみたいで一緒に読んだ。こういう先生だったらいいな、と言っていたのが印象的。

  • ネガティブな感情をきちんとだすこと、出してもいいんだと思ってもらえることが、健康な育ちには大事。そして、一人一人を大事に思って伝える言葉や眼差しが、本当に大事だと思いました。

  • 「怒りをコントロールできない子供」の起こる仕組みと、その対処法を、適時わかりやすいイラスト(概念図)を使いながら解説してくれる解説書。

    前半は「なぜ切れてしまうのか?」という仕組みの解説。「ネガティブな感情の社会化」が行われていない環境にいる子供が、そんな感情を言語的領域では押し殺した結果、「解離状態」になって非言語的領域でネガティブな感情を表現してしまう、という仕組みは、実際のキレる子供を見ていて感じていた違和感や仮説をうまくまとめてくれるものだった。

    中盤は、そういう「成長発達システム」を経て今に至っている子にどう対処するかの解説。対処するにあたって、その生い立ちや本人の持つ障害ではなく、学校に「問題増幅システム」がないか?という観点で対処法を考えているのが興味深い。

    終盤は具体的な事例を使った対応策の紹介。東京学芸大の大学院で使われたという「キレた子がいる設定のロールプレイ」を紹介して、いい対処法と悪い対処法、そして「自分ならこうするかな?」的な議論を含めて、読み手にいろんなことを考えさせてくれる。

    キレる子はぶっちゃけた話「どうしてこうなるのかわからないし、どうしたらいいのかもわからない存在」。それに一定の筋道を立ててくれる、というだけでもありがたい。
    どうしてもキレた子に気を取られがちですが、「キレてない子も話を聞いてほしい」点も想起させてくれるのはありがたい。

    専門家がその知識を実際の問題に直面している人に合わせて提供してくれている、という印象。問題に直面している人には一読を勧めたい一冊。

  • ネガティブな感情の社会化、がポイント。
    悔しい、悲しい、怖い、怒り、嫉妬、などなどの感情を認め、外に出させてあげること。

  • 援助の仕方が分かり易く、具体的に示されていた。
    とにかく、援助者は子どもであれ、大人であれ、対象者を受容する事が大切。そうする事で全てが落ち着きを取り戻す。

  • ①発達において個人の基本的感情喜怒哀楽が社会化されるのがまず第一段階である。他者に対する感情(たとえば「思いやり」)とはそのうえで発達する二段階めのものなので一段階目が獲得されないと二段階めは構築されていかない。
    子供にとってことにネガティブな感情を共感的にくみ取ってもらい承認してもらい感情を言語化してもらうことは重要なのである。
    ②子供が真の意味で良い子に育つことを願うことと
    他者から見て良い子であることを願う(言語的には愛していないというメッセージ)あるいは親に対して良い子であることを願う(非言語的には愛していないというメッセージ)、ということは”両立しない”。
    ③対話の文脈と質は相手の発言のどこに焦点をあてて反応するかで決まる。

    特に①と②の仮説にはうなづかされた。

  • 学校での子どもとの関係を、怒りという負の感情も共感して受け止めてあげる方法や、グループの中の負の感情をどう扱うかについてわかりやすく書いてある。対保護者に対しての関わりも具体例があり、心理学がベースにしっかりとあり、納得させられる。何回も手に取りたい本。

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著者プロフィール

2021年4月より「大河原美以心理療法研究室」室長(https://mii-sensei.com)。臨床心理士・公認心理師、博士(教育学)。1982年東北大学文学部哲学科卒業。児童福祉施設の児童指導員として勤務ののち、1993年筑波大学大学院修士課程教育研究科修了。精神科思春期外来、教育センターなどの非常勤相談員を経て、1997年より東京学芸大学助教授、2007年より2021年3月まで教授。専門は、親子の心理療法・家族療法。
著書に『怒りをコントロールできない子の理解と援助―教師と親のかかわり』(金子書房、2004年)、『ちゃんと泣ける子に育てよう―親には子どもの感情を育てる義務がある』(河出書房新社、2006年)、『子どもたちの感情を育てる教師のかかわり―見えない「いじめ」とある教室の物語』(明治図書、2007年)、『子どもの「いや」に困ったとき読む本』(大和書房、2016年)、『子どもの感情コントロールと心理臨床』(日本評論社、2015年)『子育てに苦しむ母との心理臨床―EMDR療法による複雑性トラウマからの解放』(同、2019年)などがある。

「2021年 『いやな気持ちは大事な気持ち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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