- Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
- / ISBN・EAN: 9784760825981
作品紹介・あらすじ
士気阻喪、疲労、そして絶望の表現に対して、セラピストは気がついてみると人生における職業選択を振り返ったり、自分たちがいかにして、そしてなぜそもそもカウンセリング/セラピーの専門家として一歩踏み出したのかという問いに直面しはじめる。ナラティヴ・セラピーの第一人者が提供するセラピスト・心理臨床家のための「人生」指針。
感想・レビュー・書評
-
ナラティブセラピーの創始者ホワイトによるセラピスト自身の問題についての本。
セラピストでもなく、ましてやナラティブ・セラピストでもないのだが、コーチやファシリテーターとして人に関わるときの参考になるかなと思い、読んでみた。
また、ナラティブ・セラピーの事例は、子どもや家族関係などの「問題」が多いので、いろいろ悩みはありつつも、一応、社会生活を営んでいる大人を対象とした本はヒントになるかも、というのもあった。
主としてナラティブ・セラピストを対象とした本なので、難易度は結構高い部分も多く、一部、ほとんどわからなかったところもあった。
一方、事例の紹介も多く、しかも「大人」の課題が多いので、自分にも「あるある」がたくさんあって、面白かった。
わたしにとって、なんといってもよかったのは、第11章の「ナラティブ・セラピーとポスト構造主義」のところ。
難解なホワイトが「この議論が必ずしも読みやすくはない」と書くぐらいだから、どんだけ難しいんだ〜、と思って読んだが、ほんと一つひとつの文章がクリアに伝わってきて、ずっと「そうだ、そうだ」とアグリーしながら読んだ。
ここ数年、コーチングやファシリテーションとかをやっていて、その基盤となる人間観みたいなのがなんか変だな〜と思うことがあって、「自己実現」系から、ユングとかの「全体性」系に自分の人間観の重心を移したんだけど、それでも、なんか納得できないものがあった。
この11章を読んで、数年間モヤモヤしていたのは、まさに「真実への意志」「抑圧仮説」「解放物語」の3点セットだったんだな〜と納得した。
自分のコーチングとか、ファシリテーションの基礎となる思想として始めて納得できるものを発見したという喜びがある。
この章は今後もしばしば読み直すことになりそうだな。詳細をみるコメント0件をすべて表示