国債パニック ゲーム理論で破綻時期を警告!

著者 :
  • かんき出版
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761270292

作品紹介・あらすじ

日本国債が破綻に至る道筋と、あなたの資産を守る方法をお伝えします。

感想・レビュー・書評

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  • 日本国債の累積発行額はかなりの量になっていますが。トレーダーをやられていた岩本女史の本等を読んで破綻することはないと安心していた私が、国際警告本を読む気になったのは、ゲーム理論で以前読んで頭に残っていた逢沢氏の書かれた最新本だったからです。

    出版されたのは今年(2014)9月で、今年の秋が危ないと帯に書かれています。私が購入したのがつい最近で秋も終わっていてまだ破綻していないという状況ですが、その時期の是非に拘わらず、この本で書かれていた内容は衝撃的なものが多かったです。

    嬉しかったのは、この本を通して、日本において戦後なぜハイパーインフレが起きたかが分かりました。一言でいうと、新円切り替え時に等価交換をしないと発表したので、商店がその分を値上げせざるを得ない(p141)と、私は理解しました。

    また、現在(2014.12)でもロシアでルーブルが暴落して大変なことになっていますが、新生ロシアが落ち着くまで(1992-2000)に都合、280分の1にルーブルの価値が減価したことも初めて知りました。

    破綻した場合には、預貯金や資産はざっくり半分、場合によっては7割程度が使えなくなると覚悟しておいたほうが良いと認識を新たにしました。それがどのような形かは想像できませんが、この本に書いてあるように消費税の25%程度への増税が最も穏便な解決策(p38)のようですね。

    この本を読んで、余裕のあるうちに娘たちや自分への奪われることのない資産への投資が重要であると痛感しました。年末に差し掛かり記憶に残る一冊となりました。

    日本国債は破綻しない、と書いてくれた岩本女史は今休業中のようです。当然この本も読まれていると思うので、反論してくれる本の出版を心待ちにしています。

    また、この本で改めて気づいたポイントは、ハイパーインフレになった場合、住宅ローンは固定金利であっても引き上げられ、さらには担保追加、支払金の増額などの、引き剥がしが起きる可能性があり非常に危険であるということでした。このポイントは類書には見られないと、著者の逢沢氏が述べています。またこれが、この本を書く動機にもなったようです。

    以下は気になったポイントです。

    ・国債が破たんすれば、過去に発行されて償還が済んでいない国債も紙屑と化す、というのが真の意味である(p2)

    ・国債が格下げされると、社債・株式はもっと危ないとみなされて、そのため相対的に国債が安全とされて投資資金が国債購入・円買いに向かったりする(p27)

    ・IMF管理下に入った場合の8項目のプログラムによると、公務員の総数・給料3割カット、ボーナスなし、退職金なし、年金一律3割カット、国債利払い5-10年停止、消費税率20%に上げ、課税最低限を年収100万円から、資産税導入し公示価格の5%、債券も課税、預金ペイオフし、3割程度カット(p43)

    ・国債は国内のお金で買って、かつ国債の借金は国内で使っているのだから国民に戻っているのと同じである、という論理は1941年の文章と同じ、結果、当時の国債は戦後にハイパーインフレにより紙屑となった(p54、58)

    ・家計、企業、国の資産を差し引きすると、306兆円となる。毎年40兆円の新規発行をするとして、ざっと7年発行できることになる。これに国富を加えると家計の正味資産は、1262→2232兆円と増加する(p65)

    ・日銀が市中銀行を通じてお札を出すには、その裏付けとなる市中銀行から預かる必要がある、これは国民の金融資産の総額により制限を受けることになる(p66)

    ・年末から年度末が、政府の保有する資金量が少なく、投機集団側が国債売りを仕掛けやすいタイミングである(p87)

    ・国債の値下がり額は、金利差x満期までの残存年数、で概算できる(p95)

    ・日本国債は確かに92%が国内消化されているが、先物市場は4割以上が外国人(p98)

    ・新生ロシアは1992.1に1ドル=100ルーブルで開始したが、年末には415ルーブル、1993年にはインフレ率840%、1994.10.11には1ドル=3929ルーブル、1995年には公定歩合を200%にして、4640ルーブルとなった。1998.1には1000分の1デノミを実行。2000年にようやく1ドル=28ドルで落ち着いた。つまり、ルーブルの価値が280分の1に下がった(p117)

    ・新円切り替えは物価の沈静化どころか、ハイパーインフレの引き金を引いてしまった。(p135)

    ・もし旧札1000円を新札800円にしか交換してくれないなら、商店では旧札での販売価格を上げざるを得ない、突然2割以上のインフレが起きる(p141)

    ・日本において戦後と現在が異なるのは、戦後まもなくは敗戦で世の中にモノが殆ど無かったので、モノを作りさえすれば飛ぶように売れた。したがって戦後経済は成長した(p144)

    ・新円切り替えで1か月の交換限度額が夫婦子供で500円と設定されたが、総合卸売指数で考えると、200倍と考えられるので家族で10万円程度(p151)

    ・新円切り替え半年後には、3000円を超える預金の支払いが凍結、翌年11月には、10万円を超える個人資産には財産税法により課税(5%)、預金封鎖解除は1948.7であった(p151,152)

    ・マイナンバー制は2016.1からスタート、2015.10には国民全員に番号が配られる、地方自治体の対応は2017.7開始予定、投機するにはマイナンバーがスタートする以前がやりやすいだろう(p155)

    ・世の中が平和のうちに、旅行などの楽しみ、プチ贅沢品を買うのが、現在のおカネの価値を最高度に生かせる(p193)

    ・日本国債が破たんした場合、ドルやユーロで見た金の国際価格は、やがて値下がりするだろう。最安値圏からかなり上昇している(p198)

    ・預貯金の額がたいしてないのであれば、ドルや貴金属として金貨等を買うのもいいだろう(p201)

    ・2013年以降、5000万円を超える海外資産は税務署に申告する必要がある、年間所得が2000万を超える場合には、それ以下でも申告が必要(p205)

    ・ほとんどの投資家が大損する下げの状況下で、素人は儲けられない。目を見張るほどの上げ相場だから素人でも分け前がもらえる(p209)

    ・ロシアの場合、物価や為替レートが安定するのに、7-8年かかった。日本国債が破たんした場合、それが沈静化するのは2020年代だろう(p215)

    ・景気がいいとは、要するにおカネが世の中を活発に流れるということ、おカネが5倍まわれれば、GDPは5倍になる(p256)

    ・建設費が1基5000億円ほどの原発に対して、事故処理費にすでに7兆円使った、そして原発技術は高コストなものになった(p260)

    2014年12月23日作成

  • 最近の国債を巡る複数の論点がまとまっていて、よかった。

  • 書かれている内容は、様々な国債問題本と同じですが、まだその関連の本を読んでいない人は読んでみるといいですね。

  • ネバダ・レポート IMFに近い筋がまとめたといわれる怪文書 2001秋にでまわる

     公務員の総数と給料はいづれも30%カット ボーナス無し
     公務員の退職金は全額カット
     年金は一律30%カット
     国債利払は5-10年猶予
     消費税率を20%に引き上げ
     課税最低を引き上げ、年収100万円以上から課税
     資産税を導入し、不動産は公示価格の5%、債権社債は5-15%課税
     資産は一律ペイオフ、第2段階で預金を30-40%カット

    日本債務超過 477兆円
    消費税25%で、年50兆円の増税を達成して借金を返し続けるのが穏健策

    終戦後、我が国の大量の戦時国債が破綻。正確にはインフレにより紙くずになる

    2020年までは国債を発行できる 国内の金融資産が尽きれば、海外に頼るしかなくなる

    2015年度予算 プライマリーバランスに関して世界に向けた公約がある GDP比で3.3%以内の赤字

    ヘッジファンドに先んじて政府がわざと国債を破綻させるというシナリオもある

    国際破綻後 預貯金のほとんどを実質的に失う、住宅ローンは貸し剥がし

    ラインハート&ロゴフ 国家は破綻する 金融危機の800年

    直近の破綻ではロシアが先例
    ソ連崩壊後のロシアの男性の平均寿命は1994年に57.6歳

    1992年に比べて2000年代 ルーブル 280分の1になる

    第一次大戦後ドイツ 一兆倍のハイパーインフレ

    Xday 2014秋から2015年1月

    1946/2/16 幣原内閣 金融緊急措置例 預金封鎖と新円切り替え 

    マイナンバー制 2016/1開始

    住宅ローンや企業が融資を受けることは、国債破綻が近い場合、よほど慎重にしなくてはならない 貸し剥がし

    固定金利 大幅なインフレの場合ほごにされることあり

    住宅金融支援機構のフラット35 国が許すかという問題

    借金は銀行以外から

    勝ち組になれる銀行 物価スライド返済法

    預金口座を、決済用普通口座に変える 庶民のための預金口座としてはもっとも安全 利息はつかない 最大の利点は、もし銀行が破綻しても、恒久的に預金全額を保護できる

    郵便貯金口座 引き出し制限がおきたとき、引き出せる口座がひとつ多くなる

    預金は目減りがおこる 実物資産はおこらない

    不動産 金 外貨資産 株式
    金 バブル後 日本、ロシアが売ったので、価格が下がった
    金 5年を越える長期にわたって保有した場合、譲渡益の課税が半額になる利点がある 金価格が安定している場合、資産の3/4を守れる可能性がある

    ミニ防衛として少額のドル紙幣をもつ

    国内銀行の外貨預金保護されず


    海外口座 香港は避ける
    2013年以降 5000万円以上の海外資産は申告 国外財産調書

    国際破綻後 株価はいったん暴落 ハイパーインフレにともない暴騰 底値で買えば奇跡を起こす

    ロシア危機のあと、物価や為替レートが安定するのに7年かかった

    究極の選択 ほとんどの資産を失うか、消費税25%程度の増税をうけいれるか

  •  2016年、国の借金が1000兆円を越えた。国民一人にすると800数十万円の借金になるらしい。2016年の国家予算が96兆円でその半分を国債に依存しているのだとか、月の給料が30万しかない家庭で毎月60万使っているってあり得ない、空恐ろしい収支である。高金利の街金から借金したら命も取られかねないのに・・・

     国は国債のたたき売りは無いと踏んでいる。国債の95%は国内で消費される。国債をふんだんに抱え込んでいるところは、けっして国債を紙屑にはしないと国はみているのか、海外投資家が国債を大量に売っても、全力で各方面で支えるだろう、そうするとこの負のスパイラスは永遠につづくのか・・・いづれ超インフレになり紙幣価値を下げることで国の負債をチャラにするという恐ろしいことになりはしないか、ドル資金は必須な気がする今日この頃である。

  • 主なプレイヤーは、A日本政府と日銀、B投機集団、C国内金融機関。Cは異次元緩和によりゲームから降りた。Bが仕掛けるのは、Aに予算が少なくなった年度末(10月頃)、先物市場で売り浴びせる。長期金利急騰、ハイパーインフレ、新円切り換え。住宅ローン貸しはがし。

    ゲーム理論というからには、ルールやプレイヤー、シミュレーションパターンなどをもっときちんと示して欲しかった。

  • 他山の石

    国債の7割を日銀が持っているのだから、残りの3割をめぐって、
    ヘッジファンドが空売りを仕掛けたとしても、
    勝敗は火を見るより明らかなのではないだろうか?

    日銀が保有している分については、償還しなくても日銀は困らない。
    お金が返ってこなくても、正真正銘の輪転機を持っているのだから。

    格付け機関の格付けなど、日本の格付け順位の前後の国を見れば、
    ちゃんチャラおかしい基準を適用していることを
    著者ほどの人が気づかぬわけがない。
    ならばなぜ、煽っているのだろう?

    国債は「国の借金」などと(日本のケースにおいては、)実態とかけ離れているのに
    不安をあおり、ご商売にされている輩が言うのでああれば、理解は出来るのだが。


    ヒントは
    「経済学者からは、このような机上の空論が出てきやすいことがあるようです」 ー 222ページ
    「経済学者は机上でデータを後追いするが、実戦経験がきわめて乏しいようです。」 ー 253ページ

    これは著者自身のことでもあることに、自らは気づかないパラドックスであるが、
    経済学者から、相当コッピドクやられたのではないだろうか。
    第四章の「・・資産防衛・・」を見るとそれが理解できる。
    たぶん投資のご経験がないのであろう、その残念さときたら目も当てられない。
    むしろこの章はないほうが良い。
    投資において、頭の良い人は理路整然と損をする、ということをあらためて感じた。

    もっとも、投資において損をしない最良の方法は、投資をしないことなので、
    この辺はさすがゲーム理論の大家では、あるようだ。


    「名前の知られた有識者は、意外に不勉強なのです。」 ー 259ページ
    他山の石とされたし。

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著者プロフィール

国際情報学研究所理事長

「2018年 『大人のIQクイズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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