SNSカウンセリング入門: LINEによるいじめ・自殺予防相談の実際

  • 北大路書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784762830211

作品紹介・あらすじ

相談してくれてありがとう!
この言葉からはじまる 新時代のカウンセリング
SNS相談の実際を伝え,今後の展望を開く!

中・高生の身近なコミュニケーションツールであるSNSは,自殺やいじめ等に悩む若年層の支援で活用が期待されている。その一方で支援者は新たなツールに戸惑うことも多い。本書では,行政初のLINE相談事業の取り組みを示し,その経験知を伝える。短い言葉の交互やり取りによる支援の実際と課題も論じ,今後の展望を開く。

■本書を推薦します!
 LINE株式会社 執行役員・公共政策室長 江口清貴氏
 一般財団法人全国SNSカウンセリング協議会
 一般社団法人全国心理業連合会
 認定特定非営利活動法人育て上げネット
 公益財団法人関西カウンセリングセンター

■コラム
アカデミック・アドバイザーのコラム:
 LINE 相談と変化のステージ……杉原保史(京都大学学生総合支援センター)
相談員のコラム1:
 相談初日に飛び込んできた子どもたちからの問い……河越頌子(公益財団法人関西カウンセリングセンター)
相談員のコラム2:
 LINE 相談の経験から学んだこと……古賀和香子(認定特定非営利活動法人 育て上げネット)
相談員のコラム3:
 重たい相談への対応の工夫……上野大照(オフィス・コミュニケーションズ/日本ブリーフセラピー協会)
相談員のコラム4:
 SNS を相談ツールに……伊藤吉美(公益財団法人関西カウンセリングセンター)
相談員のコラム5:
 扉をたたく勇気に応えたい……乙倉恵子(公益財団法人関西カウンセリングセンター)
相談員のコラム6:
 LINE 相談室の中……高間量子(公益財団法人関西カウンセリングセンター)

感想・レビュー・書評

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  • T図書館本

    LINE相談は電話などよりアクセシビリティ高い。動機づけが固まってない。
    逆に電話や対面は、動機づけ固まってる。
    変化のステージでいうところの、前熟考期 熟考期で、問題に気づいてなかったり、気づいていても行動に移そうとの決意はない。
    具体的アドバイスより、傷ついていたり劣等感あったりという気持ちをよく聞き、潜在的自尊心の傷を手当てしていくスタンス。そこに、変化に繋ぐようなアプローチできればよい。

    なんて、書くはたやすいけど、実際は本にあったようにやり取りできるのか?
    できるのがプロなんだろうな。ふむふむ。

  • SNSカウンセリング入門と題名がついていますが、確立されたハウツーを初心者に紹介するというよりは、筆者達が行ったLINEによる中高生へのカウンセリングの実際を、統計解析・方法説明・検証や考察を交えて未来へのたたき台とするために情報共有する目的で書かれた本でした。

    そのため一般人がSNSカウンセリングについて知りたいと思って読むと少し温度差があります。
    SNSカウンセリングは対面や電話相談とは勝手が違う為、実際行う場合はどのような点に注意すべきか?といった具体的な疑問がある人にとってはとても良い参考書になると思います。

    そもそものSNSカウンセリングの意義は、「若年層のための悩み相談は、若年層が最も親しんでいるコミュニケーションツールを用いて行うべきだ」というところに根ざしています。
    敷居が低い分相談者は相談に対する準備ができていない場合もあり、専門家同士でもSNSによるカウンセリングは軽視(もしくは毛嫌い)されているようです。しかしそれはカウンセリングを提供する側の問題であることも多く(最大限のカウンセリングが出来ない等)、確かにデメリットもありますが、SNSカウンセリングはホームドクターのような初期段階での中高生の心のケアに非常に適しています。実際「LINE相談室だから相談できた」という相談も多くあったようです。

    この本を読んで、提供側の「サービスの提供しやすさ」が重要なのではなく、よりサービスに親しんでもらう・活用してもらう為に、どこにニーズがあり、そのニーズに寄り添うにはどのアプローチが最適か?を考えることが大切で、サービスの有効性の最大化も大切ですが、実際にサービスを使う側に立った物の考え方が重要だと思いました。

  • 借りたもの。
    SNSのひとつ、LINEを使ったカウンセリングの試験結果を基に、その可能性と今後の課題を提唱した一冊。
    現在進行形で模索しているものなので、ハウツーというよりは統計と検証が中心。
    「若者の利用者が多く、身近なツールであるLINEを使ったカウンセリングに効果があるのか?」
    2017年に行われたLINE相談窓口「ひとりで悩まないで@長野」の結果報告書のようなもの。(※1)

    既存のカウンセリング方法に囚われるカウンセラーへの苦言を呈しつつ、LINEによるカウンセリングのメリット、デメリットを挙げてゆく。

    緊急性のある事案か、それを判断する基準、その際はどうするべきか……
    やりとりのタイミングについても。

    スキマ時間で相談してくるという、「“ながら”カウンセリング」になるという指摘は衝撃的。
    自分の問題と向き合う集中した時間、というカウンセリングとは異なることになる。

    問題としては、スキルの確立が模索中であること、PCスキルやSNSのノウハウも必要になること、短い文章でどれだけ相互理解に繋がるか、さらにはカウンセリングに見合ったLINEスタンプが無いという問題提起も。

    人員やスキルの不足の問題(※2)は今後の課題だろう。

    ※1
    『LINEと長野県による、LINEを利用したいじめ・自殺相談事業の中間報告資料を公開』
    https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2017/1940 ( 2019/8/28確認 )

    ※2
    『「もう、疲れました」「さようなら」 “夜回り先生”水谷修の嘆きに心配の声、数日前には「一番怖い1カ月が始まります」』
    https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1908/22/news123.html ( 2019/8/28確認 )

  • 2022年5月・6月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00540249

  • SNSカウンセリングを始めた2自治体の具体例をもとに書かれたもの。本書に「若年層の悩み相談は、若年層が最も親しんでいるコミュニケーションツールを用いて行うべき」とあり、深く同意する。
    どんなサービスも作ることや内容もさることながら、ターゲット層に届く必要がある。その点公共サービスには改善点が多くあると思われ、このような取り組みは高く評価されるべき。
    従来の対面カウンセリングより明示的な関わり方が必要とされる点は、カウンセラーにとっても変化を求められるものだったと思う。より動機付け面接のテクニックが必要となるように思われた。

  • 日常的な悩みへのていねいな対応が後のより深刻な内容の相談を促進する

    LINEで相談乗る
    対面なら受動的な姿勢で聞くけどLINEだと非言語情報を伝えることができないから、積極的関与が必要、はっきり言葉にして伝える必要がある。

    推測される感情を積極的に表現する、私も同じ状況だったらそうしていたと思います、当然だと思う、という自己開示をする
    SNSならオウム返しでなく対話をリードする質問をする積極的な姿勢で状況について質問する。

    否定的な自己感情を伴う相談者の思いを相談員の自己開示によってノーマライズする→介入によって安心する

  •  
     2017年に実施された行政によるSNS相談(日本初)の担当者たちが記した体験記に基づくSNS相談の入門書です。

     なぜSNS相談が必要なのかが熱く語られ,実際の相談体験から得られた統計データや事例が検討され,具体的な相談体制・方法についても触れられています。

     本書のもととなった行政によるSNS相談の一つ「ひとりで悩まないで@長野」は現在も継続して実施されていることから,本書のような取り組みがいかに意義深いものであったのかがわかります。

     文字だけのカウンセリング(相談)というと,抵抗感がある場合もあるかと思いますが(本書に示されたSNS相談事例を見る限り,相談員の対応という点に私はかなり課題を感じました),それ以上に恩恵もあると本書を読んで感じました。

     本書にも明確に記されていますが,今後どうやってSNS相談をより意義あるものとして位置づけていけるのか,それを考えるきっかけになる本だと思いました。

     ちなみに,本書に触発されて「恋愛カフェ@オンライン」というLINEのオープンチャットをはじめました。カウンセリングはできませんが,雑談・相談であればできますので,ご興味のある方はご参加ください。
     

  • データは少なめ。ふつうのカウンセリングと何が違うのか分かったのでよかった。事例もあるから実際どんな感じなのかイメージできた

  • 対面での相談では、相談員に求められるのは受動的傾聴であるが、
    SNS相談では非言語的情報を伝えることができないため、それらをはっきりと言葉にして伝える必要がある。
    気軽に相談できるがために、相談への動機付けが低かったり、相談する環境が整っていない状況で相談してくる相談者が多い=時間的・空間的・心理的に相談に専心できない状況(帰宅途中の電車の中、友達とゲームをしながら、など)→相談内容をよく考えしっかりと話す姿勢が乏しいため、受動的に聞いているだけだと話が展開しない
    対面の相談以上に、相談者のリソース(がんばっているところ、大事にしているところなど)を見出し、積極的に言葉にしてフィードバックすることが大切

  • 電話相談ではなくLINEによるカウンセリングの研究について実践例を元に解説している。実際に文字にして相談をすることで、オウム返しや傾聴が通用しない。また、途中で途切れてしまうこともある。どうしても相談時間が長くなることも多いようだ。

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著者プロフィール

京都大学学生総合支援センターセンター長・教授
[主著・論文]『統合的アプローチによる心理援助』金剛出版/『12 人のカウンセラーが語る12 の物語』(共編著)ミネルヴァ書房/『技芸( アート) としてのカウンセリング入門』創元社/『プロカウンセラーの共感の技術』創元社/『キャリアコンサルタントのためのカウンセリング入門』北大路書房/『心理カウンセラーと考えるハラスメントの予防と相談 』北大路書房 ほか多数

「2018年 『SNSカウンセリング入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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