力まない

著者 :
  • サンマーク出版
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763134196

作品紹介・あらすじ

政財界の要人が参禅する、全生庵の住職による「よりよく生きるための極意」。緊張をほぐして、最高の結果を出すために。

感想・レビュー・書評

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  • R2.12.13 読了。

     「全生庵は山岡鉄舟居士が徳川幕末・明治維新の際、国事に殉じた人々の菩提を弔うために明治十六年に建立した。…全生庵 H.Pより」。明治維新の際の幕府側の要人・山岡鉄舟氏は、剣・禅・書の達人と言われている。私の尊敬する人物です。
     本書は全生庵の平井正修住職が禅宗や仏教について、とても分かりやすく解説して下さっているので、読みやすかった。この本からの学びをゆっくり咀嚼して理解していきたい。

    ・「坐禅の目的は新しい何かを加えるのではなく、身につけていたよけいな何かを捨てることにあるといいました。私たちの人生もそうです。ムダな力を肩から抜く。ときには押すよりも引く力を優先させる。背伸びや気負い、こだわりやとらわれから自由になる。自然体で事に臨む。身の丈のまま素直にふるまう。そうしたことが可能になれば、それはそのまま人生を自在柔軟に生きることにもつながっていくはずです。」
    ・「勢いよく回っている独楽が止まって見えるように、あることに余念なく気を集中させていると、それ以外のよけいなものが心から消えて無に近い状態が現れます。その一心こそが、すなわち無心なのではないでしょうか。この『一心という無心』の達人が赤ん坊です。」
    ・「身の丈以上を望む力みを心から除いて、得意のときも失意のときも、あせらず、おごらず、あるがまま等身大の『ただの人』として生きていく。そのことを一心に心がけるとき、私たちは知らず知らずのうちに豊かな果実を手にしているのかもしれません。」
    ・「自分がやるべきことだから、人まかせにせず、自分がする。今やるべきことだから、先送りせず、今やる。禅の神髄も、人生の要諦も、結局のところ、たったそれだけのことにすぎないのかもしれません。しかし、そのそれだけのことが私たちにはなかなかできない。」
    ・「『思い』はしばしば『重い』に通じるもので、事を始めるまえにあれこれ考えることは停滞やよどみ、あるいは、不要な力みや緊張を生む原因になるものです。この弊を免れるためには、事前に思いをめぐらせず、やるべきことはすぐにやる。考えるいとまを自分に与えず、思い立ったら即行動に移すのが効果的です。」
    ・「坐禅がめざすのは、固定されて動かない心ではありません。動いてもまたすぐに戻ってこられる、柔軟でしなやかな心です。」
    ・「ほんとうに強い心とは、激しい感情に支えられた力み返った心のことでなく、平常さや平静さをすみやかに取り戻せる、復元力に富んだ『やわらかい心』のことをいう。」
    ・「『一無位真人(いちむいのしんにん)』という禅語があるように、人間は本来、生まれながら絶対的自由をもっている。それは『こうあるべし』と決めつけるほうが不自然であり、それは生き方の束縛であり執着でもあると考えるのです。」
    ・「素直さというのは、人間が伸びていくうえで、きわめて大事なファクターです。自分の型や枠へのこだわりを捨てて、周囲からの助言や忠告に耳を傾ける水のような素直さ、柔軟さをもてるかどうか。それが心の自由さや能力の伸長の大きなカギを握っています。」
    ・「何か事をなそうとするとき、『完璧にやろう』とは思わないことが大切。完璧をめざしたら、その思いが自分を縛り、結果的に『思いどおりにならない』という非力さに苦しめられることになる。そこは少し日本的に『いい加減』にとらえて、『やれるだけのことをやろう』と考えればいいのです。どんなことも自分の力の及ばない部分が必ずある。自分の今の力量で出来ることはここまでしかない。限界を心得て、しかし、その限界までは一生懸命にやろう。」
    ・「心が怒りや憎しみや不満や嫉妬などの『負』の色で充満したら、そこに即地獄が現出する。心が納得や平穏や安らぎや幸福などの『正』の色で満たされたら、それがそのまま極楽となる。この世を地獄と思うのも極楽と思うのも、みんな心しだいなのです。よい悪い、美しい醜い、明るい暗い、楽しい苦しい、それらを決めるのはみんな私たちの心であり、だからこそ、心のあり方や用い方が何よりも大切になってきます。できるだけ心のサイズを広くとって、何事に対してもやわらかく、ゆったりと構えるよう努めることが肝要です。」
    ・「雲が拭われて月が本来の明るい光を取り戻すように、心を曇らせていた煩悩のしがらみから解き放たれたとき、その開放のすがすがしさとともに悟りが訪れてくる。つまり悟りとは、何かを新しくつけ加えたときではなく、よけいなものをそぎ落としたときに訪れてくるものなのです。」
    ・「苦しみや痛みが迫ってきたとき、身を避けようとしたら、かえって痛苦を増幅させてしまうことになる。そのときのいちばんの解決法は、自分を捨てて苦の中に思い切って身を投じてしまうことなのです。すると、苦中に活路が開ける。」
    ・「取るに足りない小事であっても、なすべきことを黙々とこなす。その当りまえの反復が人を人にするのです。言い換えれば、凡事を徹底できる勇気と根気。それこそが物事の成就にもっとも必要な『才能』の正体であるといえます。

    • kuma0504さん
      こんにちは。
      なるほど、わたしはその境地には到底到達しそうにないですが、
      我が郷土の星、渋野日向子がいま!正にこの境地なんではないかと思いま...
      こんにちは。
      なるほど、わたしはその境地には到底到達しそうにないですが、
      我が郷土の星、渋野日向子がいま!正にこの境地なんではないかと思いました。あっという間に集中できるし、力まない。いつもポジティブ!メジャー2勝目に向けて、応援しています!
      2020/12/14
  • あるがまま、普段通りに、力の入れるところと抜くところのバランス。目の前のことに、喫茶喫飯。自分らしく。
    といった禅の教えをわかりやすく書いた本。



    目次
    はじめに 本質を究めると力は抜ける
    押す力には引く力で対応する「脱力の知恵」
    張り詰めているものはゆるめよ、固まっていたら溶かせ
    「岩のように堅固で、水のように自在な」ある武人の生涯
    力の入れどころと抜きどころを見分け、使い分ける(バランス)
    「あるがまま、ふだんどおり」が最良の禅的生き方
    第1章「今、このとき」に心を集める
    前後を断ち切り、ただ「今」に心を注ぐ
    飯を食うときには、飯を食うことに没頭する
    人は一瞬ごとに再生、一息ごとに新生できる
    いい思いも、悪い思いも後へ残さない
    心を磨くのに特別な場所や時間は必要ない
    思い立ったら、考えるヒマなく即行動
    「はい」と歯切れよく返事をすることが大切
    心を内面に向けて「自分」を見つめ直す
    揺れ動く心を止めて、足元に目を向ける
    目に見えず、形もない「心」を調える掃除の効果
    坐禅とは「姿勢を調えることを通じて心を調える」修行
    便利が心を置き去りにしていることに気づいているか
    第2章 「水のように」自在に生きる
    「自分はこういう人間である」と決めつけない
    世間のものさしで自分の背丈を測らない
    自分という器を一度こなごなに打ち砕いてしまえ
    素直、自在に形を変える「水」に生き方を学べ
    ときには「流れ」に身をまかせる
    ストレスも受け流す「やわらかい心」を養う
    「白か黒か」の対立的思考から解き放たれよ
    完全を求めて苦しくなるより、心に余白をもとう
    ことばで考えるよりも、五感を開いて感じてみる
    地獄も極楽も、すべて心がつくり出す
    部分に集中しながら、全体も把握できる自在な働き
    生きていること、そのすべてが坐禅
    第3章 手放せば、満ち足りる生き方
    「得る」よりも、「捨てる」ことに真理がある
    坐禅とは心の殻をはがして裸の自分に帰ること
    「足りない」のではなく、よけいなものが多いのだ
    手放すことで得られる心の豊かさに気づけ
    人間はしょせんひとり、その孤独が心の栄養になる
    ひとりになれ、ひとりになって「個の力」を養え
    大いに死んで、大いに生きる覚悟を決める
    痛苦から逃げるな、その中に身を投げ入れよ
    答えのない問いを考え抜く苦しみも成長の節目
    「限界だ」と思う、その先へもう一歩足を踏み出せ
    心しだいで苦が楽になり、憎しみも愛に変わる
    どんな道を歩いても「自力の灯り」を照らすべし
    第4章 日々、平凡をいつくしむ
    「ふつう」がいちばんむずかしいー「平常無事」を日々努めよ
    平凡に安んじ、幸福のハードルを上げすぎない
    当たりまえを積み重ねて、やがて非凡に達する
    ふつうの人の心の中に「仏」は住んでいる
    「飾らず、隠さず、あるがまま」に生きる
    一度は型にはまってみよ、しかるのち型から出よ
    「長幼の序」は人間関係の節度として守られるベき
    「生き方」をまるごと見せるのが最良の教育
    親しい家族のあいだにこそ守るべき礼儀がある
    凡俗に生きる喜び、安らぎはどこにあるか
    誰もが悲しみを受け入れ、やがて安らぎに達する
    死を遠ざけない、死について思いすぎない
    人生に意味はなくても価値はある
    おわりに

  • 今日のなるほど

    プール帰りだったこともあり、
    水のように自在に生きる。水に生き方を学べ
    水のように素直さ、柔軟さを持て。それが、心の自由さや能力の伸長の大きなカギを握っている。
    ときには流れに素直に身をまかせる。
    本当の強さはやわらかさを含んでいる。

  • 恐れや執着を捨てるマインドを与えてくれる。

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著者プロフィール

平井正修(ひらいしょうしゅう)
臨済宗国泰寺派全生庵住職。学習院大学法学部政治学科卒業。一九九〇年静岡県三島市龍澤寺専門道場入山。二〇〇一年同道場下山。二〇〇二年より中曽根元首相や安倍元首相などが参禅する全生庵の第七世住職に就任。全生庵にて坐禅会、写経会を開催。二〇一六年より日本大学危機管理学部客員教授。二〇一八年より大学院大学至善館特任教授。臨済宗国泰寺派教学部長。『心がみるみる晴れる 坐禅のすすめ』『花のように、生きる。』『「見えないもの」を大切に生きる。』『老いて、自由になる。』(以上すべて幻冬舎)、『山岡鉄舟修養訓』(致知出版社)、『忘れる力』(三笠書房)、『お坊さんにならう こころが調う 朝・昼・夜の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『三つの毒を捨てなさい』(KADOKAWA)など著書多数。

「2023年 『悩むことは生きること 大人のための仏教塾』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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