- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784764106321
作品紹介・あらすじ
日常に兆すかすかな気配を感じて、作家は歩き、かんがえつづける。突然の大地震と大津波、眼にしたことがないそら恐ろしい光景。それは結末ではなく、新たなはじまりなのか。ことばから見はなされた現代世界を根源から省察する珠玉の作品群。
感想・レビュー・書評
-
新聞を広げて縦にすると、
活字がサラサラと砂粒でも落ちていく様に見えてしまう。
政治、経済、事件、事故…
昨日の新聞を今日のものだと言われても、きっと私は気付かない。
「もっとNEWSに関心を持たなきゃダメだ…。」
そう言われるから開くけど
こぼれる活字は止まらない。
でも、その中で必死に紙面にしがみついてた記事が
辺見さんの『もの食う人々』であった。
あのコラムだけは
ピンピンと跳ね回っている言葉を追うのが楽しくて
夢中で読んだものだった。
あれから数年、
病によって少し体が不自由になってしまった著者。
その言葉にかつての様な激しい躍動は見られぬものの、
沈黙の自己内部からふかりふかりと浮かび上がってくる、透明な思念にもまた、力強く打つ鼓動を感じた。
それは、辺見さんのかつての言葉が、私の脳や記憶に対して新鮮な刺激を与えてくれたとするなら、
本書では
心の奥底へと静かに沈殿しつつある言葉の様な。
どちらにしろ<生きた言葉>であることに疑いの余地は無い。
私の心にしっかりしがみつき、逃げていかない所を見ると。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日常からすくいとられた断片が深遠な世界に到達する、上質の作品。
-
ルポライターがエッセイストになられると読むほうがつらい。
病気のことは別にして。 -
高校時代に
もの食う人々て受けた衝撃を、またじわりと味わいたい。 -
日常を切り取る言葉の凄味に呆然としてしまいました。
-
なぜ予約したのか?で読んだ。
初対面の作家で 作者の背景も知らず 読み 言葉の深さにおそるおそる読み進んだ。完読できなかったけど面白かった -
思考すること
今、一度自分の中に
取り込んで
思考すること
今だからこそ
足を地につけて
思考すること
腹をくくって
今日からを
生きるために
今のこの時代に
辺見庸という思想家が存在するのは
現代の 一条の光 かもしれない -
「ハトにさえおびえる小さな黒い犬」が出てくると、安らぐ。
一編一編が重い。