芥川龍之介・菊池寛共訳 完全版 アリス物語

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766135978

作品紹介・あらすじ

もし『不思議の国のアリス』を日本の文豪が翻訳したら?
そんな夢のような構想が現実となったのが、1927年刊行の『アリス物語』。
芥川龍之介と菊池寛による訳文は、アリスや不思議の国の登場人物たちがいきいきとユーモラスに描かれ、今なお色あせない魅力にあふれています。本書は、原書にあったいくつかの不足な点を補い、注釈や解説を付加して甦らせた『完全版 アリス物語』。アリスや芥川・菊池ファンの方はもちろん、『不思議の国のアリス』をはじめて読む方にもおすすめできる一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 芥川龍之介・菊池寛による『不思議の国のアリス』幻の名訳が、約100年の時を超えて「完全版」として復刊!|株式会社グラフィック社のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000192.000084584.html

    イラストレーター | せきぐちよしみ
    https://ysm9dn443.wixsite.com/neko-no-kimagure

    芥川龍之介・菊池寛共訳 完全版 アリス物語 ルイス・キャロル(著/文) - グラフィック社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784766135978

  • 『不思議の国のアリス』を芥川龍之介と菊池寛が翻訳したバージョン。正確に言うと芥川の死後に、残った部分を菊池が引き継いで翻訳したものだそう。誤訳や脱落箇所を澤西祐典さんが補い「完全版」としている。
    この時代の翻訳の特徴と言えるかもしれないが、「タルト」が「お饅頭」だったり、「ティーカップ」は「茶呑み茶碗」だったり、当時の日本の子供達に馴染みのあるものに置き換えられて訳されているのが面白い。登場人物の口調が時々定まらなくなるのも、この頃の翻訳っぽいなと思った。
    とは言え「すごく古臭い」と感じるようなことは無く、読んでいるうちにこれが1927年に訳されたものだとは忘れてしまうような感覚があった。澤西さんの訳補も、芥川・菊池訳の部分と上手く溶け合っていて、時代を超えた3者(あるいは解説にあるように、1927年出版当時に下訳を行ったと思われる人々も加えた複数人)の共同作業が生んだ一冊だなと感じる。
    マーガレット・タラントの挿絵もフルカラーでたくさん収録されており、物語の内容と更に生き生きと目の前に示してくれる。表紙は画用紙のような手触り、扉は透ける素材の紙にイラストが印刷され、その紙の奥にタイトルが見える面白い仕様。注釈の部分は紙色が違ったり、帯も透ける紙+エンボス加工のもの。著作権の関係があるにしても、これが2000円切ってるのは結構安いなと感じる。子供達だけでなく、手に取る全ての人が楽しめるようにと言うこだわりを感じる一冊だった。

  • 芥川龍之介と菊池寛がアリスの翻訳をしていたなんて、全く知らなかったよ、とびっくり。
    途中までを芥川が、そして途中からを菊池寛が訳しているのだけど、出版を見ることなく芥川がこの世を去ったこととか、当時の日本にないさまざまなモノやコトをどうやって訳すかの工夫などとにかく読みどころの多い一冊。
    たくさんの注釈を読むだけでも満足してしまいそうになる。

  • 橙の砂糖漬けはオレンジマーマレード、桜饅頭はチェリータルト、フラミンゴが紅鶴。ガラス瓶は甕に、ティーカップは茶呑茶碗。装丁がいい。空想の不思議の世界を支えるカラーで掲載された1900年代前半に活躍した英国の挿絵画家、マーガレット・タラントの挿絵。隅々まで楽しめる。日本の文豪による不思議の国のアリス。上品でリズミカル、オノマトペも楽しい。アリスや不思議の国の登場人物たちがいきいきとユーモラスに描かれている。『アリス物語』の原書に不足な点を小説家で芥川研究者の澤西祐典氏が補ったため完全版となっているとのこと。

  • 芥川龍之介と菊池寛という2人の文豪が、児童文学を翻訳していることが興味深かったので、手に取った。
    現在出版されている訳と比較すると、文章が洗練され、所々日本らしい表現に翻訳されていた。
    また、菊池と芥川のエピソードやアリスの解説を読みながらの進行だったので、分かりやすくかつ、楽しみながら読破出来た。

  • 小学生の時に読んだきりの「不思議の国のアリス」の世界。
    大人になって読むとまた違った読後感。
    まして、文豪が訳したとなれば、なんとも風情があった。
    自分がその時代の子供になっているような気分になった。
    それにしても、アリスは理屈っぽい子供w

  • 難しかった
    芥川龍之介の生涯についても知れた

  • 装丁が素敵と思ったら、芥川龍之介と菊池寛が手掛けていたものだったと分かり、思わず手に取った。

    考えてみると、「不思議の国のアリス」なんて昔むかし読んだきり。内容は、映画やアニメを見た事によりある程度把握していたけれど、知らないエピソードがあったり、所々日本風に置き換えられていて面白かった。

  • タルトが饅頭に訳されるなど日本読者のことを考えた物語。注釈は物語の注釈だけに在らず。訳に驚嘆し、訳者の逸話を披露し、誤訳の意味を推測し、訳の意図に思いを馳せる。不思議の国は現実に通ず。

  • 芥川龍之介と菊池寛による共訳、不思議の国のアリス
    1927年刊行と、凡そ100年前の作品
    タルトを饅頭と訳すなど時代的背景を窺える部分はチラホラ見られるが、原作の性質も相まって時代の隔たりを感じない
    訳者の当然とも言える文章力で理解不明な原作のやり取りが表現されている
    当作は夢の世界を文章化したと受取れるが、現実の世界も文字に起こせば理の無い音のやり取りだ示唆しているとも受取れる
    解釈の余地を数多に残して、物語として成立して見える、ということはどの様な構成原理なのか分析し切れていない
    多分、分析した論文はあるのだろう…

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著者プロフィール

ルイス・キャロル (Lewis Carroll, 1832-98)
イギリスの作家。本名Charles Lutwidge Dodgson(チャールズ・ラトウィッジ・ドッドソン)。チェシャー州の牧師の家に生まれ、オックスフォード大学クライスト チャーチ学寮に学び、卒業後、同大学の数学講師となる。『不思議の国のアリス』(1865)、『鏡の国のアリス』(1872)の作者として最もよく知られているが、本来の数学者・論理学者としての、また最初期のアマチュア写真家としての功績も高く評価されている。

「2021年 『鏡の国のアリス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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