北海道の商人大名

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  • グラフ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766212358

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  • 前身の蠣崎氏から松前藩の成立、幕末までの通史が概観できた。商人大名、というが、配下の民、アイヌ、商人にとっては、辛い君主だったのではないだろうか、と思った。蠣崎氏時代に、自ら領地を削ってアイヌの自治に任せた時期があったけれども、その後は、当たり前のように騙し討ち、商いの信義も守られず。商人からは、薩摩藩でもやってたと例はあがるが、踏み倒す前提での御用金の強要など。初期の英邁な君主、慶広、公広の後は、幼少病弱な君主の時期も多く、国力と実力に見合わない気宇壮大な夢を見た道広、幕末の多難な時期に外交面で活躍を見せた矩広あたりが印象に残るところか。蠣崎波響は出番がなかったような。幕臣旗本へ一族を送り込んで一家を建てさせたことは、アイヌ反乱鎮圧時や家督継承時にいきたこと。商業に比重を置くも、生産、流通の増大を税収増に取り込めなかったところは経済センスも疑問符。ただ、臣下や城下町は20万石の賑わいと表現されたことも。国防のために領地を取り上げられそうになった危機を救ったのは、ロシアの南下の軟化、その背景にはナポレオン・ボナパルトがいた、と海の向こうの事情にも直結していた最前線の国。普通の大名にはない興味深いケースの藩としては面白く読めた。

  • 北海道の近世史(主に松前藩政に関して)がわかりやすく書かれていて良かった。
    すぐ読めます。

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著者プロフィール

高知県生まれ。中央大学商学部卒。文献・史料を渉猟し、歴史に埋もれた人物・逸話を蒐集、歴史読み物から小説まで多くの著作を発表している。『実録江戸の悪党』(学研新書)、『徳川将軍家の真実』『家康の家臣団天下を取った戦国最強軍団』(学研M文庫)、『大名の家計簿』(角川SSC新書)、『謎だらけ日本の神様仏様』(新人物往来社文庫)

「2016年 『殿様の食卓 将軍の献立から饗応料理まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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