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- Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766408843
作品紹介・あらすじ
維新から十余年、一国の独立維持と経済発展を図るための内政と外交のプログラムを綴った渾身の力作『時事小言』。西洋列強に蝕まれつつある清国、属領意識をぬぐえない朝鮮など、東アジア諸国との葛藤を脱するまでの曲折と、安政条約の改正に関する時事論を収録する。
感想・レビュー・書評
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「通俗外交論」
本文献は福澤が治外法権を主題として述べた外交論である。本文献における福澤の主張はこうだ。当時の政府が治外法権を結んだことは仕方のないことだった。それは当時の政府である江戸幕府では封建制度のひとつで他藩の人が犯罪を起こした場合はその罪人を罪人の所属する藩に送り、その藩で処罰を決める制度があった。これは罪人の所属する藩が「藩の交際上に於て不相済とて、殊更に厳重に」罰する慣例があったためである。これは治外法権でも当時の制度と同様に成立すると政府が考えるのも無理はないことだ。しかし、西洋同士の外交では治外法権のような制度はなく、日本が外国に治外法権を結ばされたのは日本が西洋諸国に同列として扱われていなかったことを示している。福澤は条約締結時と三十年後のいまを比較し、治外法権の不利益を知ったいまなら日本人が正しく治外法権を理解できるとする。福澤は結論として「日本の外交交際を新にして、西洋各国の例に倣い毛頭相違なきものに」なり、日本の国権を確立すべきだと述べた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2009/
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