リベラルな多文化主義 (叢書21COE-CCC多文化世界における市民意識の動態 29)

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  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766414516

作品紹介・あらすじ

ロールズを継承し、反差別と国家中立性を掲げる現代リベラリズムは、多文化主義の理論と実践にいかに応答しうるのか。現代政治理論の難問に正面から取り組んだ意欲作。

感想・レビュー・書評

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  • 従来相反すると見られてきたリベラリズムと多文化主義を両立させようとする政治理論に着目しつつ、その両立可能性と妥当性を検討する研究。第一部では両立可能性が検討されるが、結論として、リベラリズムは文化の差異を考慮して文化保護政策を正当化できるし、その際に文化の内在的価値に訴えることなく正当化できるという点で国家中立性の要求も満たすことができるとされる。第二部ではそのような「リベラルな多文化主義」の論証の妥当性が検討される。従来の論証において機能してきた根拠を「自律」、「公正」、「自尊心」に区別したうえで、自尊心に依拠した論証が最も妥当だとされる。ロールズ、ドゥオーキンといった人々によって洗練されてきたリベラリズムに依拠しつつ、その中では無視されているように見えがちな文化の問題をその枠内にうまく取り込み、正当化の論理を組み立てていると思われる。少数派の文化保護という政策目標の重要性が失われることは今後も無いと思われる点を踏まえると、政策的議論の叩き台として格好の研究ではないかと思われる。

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著者プロフィール

松元 雅和(マツモト マサカズ)[第4章]
1978年生。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。日本大学法学部教授。主要業績:『公共の利益とは何か──公と私をつなぐ政治学』(日本経済評論社、2021年)、『人口問題の正義論』(共編著、世界思想社、2019年)、『正義論』(共著、法律文化社、2019年)。

「2024年 『普遍主義の可能性/不可能性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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