- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766420104
作品紹介・あらすじ
朝鮮戦争停戦から文革前夜へと至る、台湾問題をめぐる中国の政治外交史を、「一つの中国」原則の起源という視点から論じる。中国と台湾の史料を中心とするマルチ・アーカイブを駆使して、「台湾解放」から「一つの中国」へと移行する毛沢東外交のプラグマティックな側面を浮き彫りにした、注目の書。
感想・レビュー・書評
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1950年代半ば以降、台湾、より現実的には金門・馬祖の「解放」が長期的な課題として棚上げされていく一方で、国際社会では現実に立脚する「二つの中国」論が強まっていく(台湾海峡危機の停戦案を国連安保理で扱おうとする動きや五輪参加など)。当初は単に反論するだけだった中国だが、1960年代には「一つの中国」論が漸進的に形成されていく、との流れだ。積極的にこの論を展開することで国際社会から正統性や支持を勝ち取る狙いもあったとのこと。
そもそも第一次・第二次台湾海峡危機の時ですら、武力による解放は現実的ではなく、宣伝戦や国府の自主的撤退を期待していたようだ。また、中仏国交樹立の過程で、事前の国府との断交を求め切れなかったことは、「一つの中国」論が最初から固定的な原則でなかったことの証左か。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今日中国政府が主張する1つの中国原則は台湾に対する原則と国際社会に対する原則の2つから構成されている。台湾に対する1つの中国原則は、1.世界で中国はただ1つ、2.台湾は中国の領土の不可分の一部、3.中国と台湾は1つであり、すなわち中華人民共和国政府である。国際社会に対しては、3.中華人民共和国政府はすべての中国人民を代表する唯一の合法政府である。