英国の幽霊城ミステリー

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784767831367

作品紹介・あらすじ

今なお 城をさ迷う幽霊たちの物語の中に、
英国の歴史を読み解く鍵がある

英国においては、言ってみれば先住者である幽霊たちを追い出すという発想は一般的ではないようだ。日本のように、視たら祟られる、呪われる、というような話はほとんどなく、英国の幽霊はほとんどの場合、ただそこにいるだけだ。悪さをするわけでもないなら共存しよう、というのが英国人の考えらしい。むしろ、歴史を体現する存在である幽霊に親しみを感じ、価値を見出す向きすらある。(中略)
幽霊を恐れながらも尊重しようという英国人の姿勢からは、幽霊は歴史的事実に基づく存在であり、民衆の共感、同情、尊敬の念によってこの世にとどめられているものであるとする、彼らの幽霊に対する意識が見てとれる。
――「CASE1 ウィンザー城と25人の幽霊」より抜粋

幽霊は英国の歴史を背負って現れる。

ハットフィールド・ハウスではエリザベス1世が少女の姿で現れる。
彼女が25歳で英国女王に即位する前の日々を過ごした、穏やかな記憶が残る場所だからだ。
エリザベス1世の母アン・ブーリンは、ロンドン塔を首のない姿で徘徊する。
ヘンリー8世がアンと離婚したいがために、彼女に姦淫罪を着せてロンドン塔で斬首したのだ。
男児欲しさに六回結婚し、妻を二度処刑したヘンリー8世は、埋葬されたウィンザー城内で足を引きずりながら歩き回っている。
晩年の彼は足の腫瘍に苦しみ、肥満した身体を引きずって移動したのだ。

幽霊を恐れず、追い出さず、寄り添う民衆の意識が彼らを城にとどめている。
幽霊を幽霊たらしめている背景をひも解くことで、英国の歴史が見えてくる。

ロンドン生まれの小説家・織守きょうや氏が英国の幽霊と城にまつわる歴史と、そこに隠された秘密を紐解いていく。
数多の英国の住宅を訪問し、その魅力を描いてきた山田佳世子氏がイラストで幽霊城を物語る。
英国の歴史の扉を開ける鍵となる一冊。

建築史家の中島智章氏による幽霊城の解説つき。

感想・レビュー・書評

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  • 英国の城と、その城にまつわる歴史、特に幽霊にまつわる歴史を知ることができるという一粒で二度三度おいしい本。ブクログのタイムライン上に流れてこなければ、出会うことはなかったであろう一冊。

    読み物としても十分にボリューミーで、かつ山田佳世子さんの美しい挿画が想像力を掻き立てる。とはいえ、やはり現物も見たくなり、ネットで写真を検索しつつ読み終えた。私のGoogleマップには今、行きたい場所として、英国のお城にいくつもチェックが入っている。

  • 読み始めて衝撃。
    タイトルの「ミステリー」とは、最近の小説の分類でいうところのミステリーではなく、純粋に「不思議な物事」という意味だった…。

    イギリスのお城には幽霊がつきものらしい。
    その幽霊譚をお城ごとに紹介してくれるのがこの本!
    とりあえず幽霊が実在するのはイギリスの大前提。
    その幽霊たちの姿や行動が、どんな歴史に基づいているのかを考察する。
    首なしとか叫び声とかこわすぎ…。
    山田佳世子さんの美しい絵にひかれて原稿を頂いたけど、まさか、いつもなら絶対手を出さない幽霊モノだったとは。
    まあタイトルそのままなんだけど…。
    幽霊が大丈夫な人なら、イギリス王室の歴史や暮らしぶりが一人の人間として身近に感じられておもしろいと思う!

  • 英国国内のお城で目撃された幽霊をたどる。あっちにも、こっちにも出没する王家の幽霊たち。そもそも幽霊だから、何か現世に未練があったと思われる。英国王室の歴史は深い。そして、やっぱりヘンリー八世は、問題ありすぎで、すごすぎる。

  • 歴代の王族たちの歴史背景や処刑や惨殺の歴史を読んだら、幽霊もでるだろうなぁ

  • ヘンリー8世、6回結婚したのは知ってたけど
    読んでて自己中の糞だな…と思ったよ。
    処刑された妻もすんなり離婚に応じえいれば、
    とも思うけど歴史の教科書を読んでる感覚で面白かった。
    ただ本当は残虐な内容なんだけどね。
    これが日本人なら
    怨霊になって末代祟りそうなんだけど、
    英国の幽霊はただ出るだけ。
    その場に記憶(思い?念?)が残るのかな?とも思った。
    英国の幽霊はただ出る。
    そこにいるだけなので共存できるみたい。
    出ると知りつつそこで暮らしてる。

    「幽霊を恐れず寄り添う」。

    英国のお城にあらわれる幽霊譚、イラスト付き。

  • 英国の城は見た目が格好良くて好き。そんな理由で手に取った本。

    この本を読むまでほとんど知識がなかったけど、歴史的事実を知ると幽霊となるのも解る気がする。
    宗教的に離婚が難しい時代だったかもしれないけど、ヘンリー8世がちょっと…。

    写真じゃなくてイラストだったところが、苦手な幽霊ものでも、怖くなく読めた理由かもしれない。
    それに未練はあっても怨念って感じがしなかったのも、その理由かも。

  • 建築物にそこまで深い関心は無かったのだが、幽霊にとことん惹かれるたちなので一目見てすぐに購入。
    小説家の方が書かれているだけあって、とても読みやすく歴史に詳しくなくても相関図や説明を交えて解説されているので楽しく最後まで読むことが出来た。
    行ってみたい場所がまた増えた。

  • 英国のお城と、そこに出る幽霊たちが紹介されている。これが建築雑誌で連載されてたというのが面白い。イラストが綺麗で楽しかった!

  • 日本のおどろおどろした恐ろしい感じとちょっと違うのかな、ハリー・ポッターとか、ホーンテッドマンションでイメージが変わったお城の幽霊たち、イギリスの歴史と幽霊を一緒に知ることができます。首なしも出てきていました。

  • イギリスの城を幽霊、怪談的視点から紹介した本。

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著者プロフィール

1980年イギリス・ロンドン生まれ。2013年、第14回講談社BOX新人賞Powersを受賞した『霊感検定』でデビュー。15年、第22回日本ホラー小説大賞読者賞を受賞した『記憶屋』は、シリーズ累計35万部を超えるベストセラーとなる。その他の著作に『SHELTER/CAGE』『黒野葉月は鳥籠で眠らない』『301号室の聖者』『世界の終わりと始まりの不完全な処遇』『ただし、無音に限り』『響野怪談』がある。

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