グロタンディーク巡礼 数学思想の未来史

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  • 現代数学社
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  • Amazon.co.jp ・本 (732ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784768704448

感想・レビュー・書評

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  • 700ページを超える大作。しかし、内容は繰り返されているところもあり、もっと圧縮できたのではないかと思った。しかし、雑誌に連載されていたとしたらやむを得ないとは思う。

    アスペルガー研究のために、二十世紀最大の数学者グロタンディークを題材にしている。グロタンディークをアスペルガーだと思っている著者自身もアスペルガーというのが独特な味を出している。

    まず最初にグロタンディーク狂人説が広まっていることに対して反論を試みている。そのとき、統合失調症が狂人であるというような表現があり、統合失調症である私はかなり傷ついた。だが、後半にいくと、アスペルガーを含む自閉症スペクトラムもその他の精神疾患も同じ脳の炎症が原因であることも書いており、軟化路線に進んだと思う。

    よって数学者としてのグロタンディークだけでなく、彼の生育歴や隠遁時代のグロタンディークを重視していると思う。さらに言えば、グロタンディーク以外のアスペルガーにも言及している。特にリーマンや岡潔がその例だろうか。

    無意識自動運転ということも言っている。孤独になることでより思考力をあげているかもしれない。ペレルマンがキノコ取りに行ったのも孤独になることで思考が自動化されているのかもしれない。

    グロタンディークに限れば、弟子との対立だけで山に籠ろうとは思わないと考える。山での生活。孤独の生活。これは何にもかえがたい理想の生活かもしれない。

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