社会学と哲学

  • 恒星社厚生閣
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784769905417

感想・レビュー・書評

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  • 社会学にしては思弁的だが、「社会学的方法の規準」の副読本として読むと、デュルケームの方法論的集合主義の理解が深まる。
    細胞と表象と同様の関係が個人と社会だという。だから社会も個人に外在的・拘束的に実在する。それゆえ「集合表象」「集合的感情」「集合的理想」なども実在する。確かに、個々人の価値観を吸い上げて逆に個々人を形作るような超個人的なメカニズムは存在する。いわば天上の鏡として社会は実在すると思う。その意味で、最終的には個人の次元で説明可能であっても、最初からは個人に還元できないことに注意するために、方法論的集合主義も妥当だろう。
    しかし、デュルケームは、比喩ではなく実際に「社会が考える」といった表現をする。このような点には引っかかってしまう。また、「集合表象」を明示的に定義していないため、どの次元の表象を指すのかいまいち不明瞭である。
    道徳的価値の源泉が「社会」でしかありえないという議論は頷ける反面、諸個人と社会の質的な断絶は突き詰めると難問である。個人の人格が重視されるのも社会による道徳の結果であって、個人と社会の対立として捉えるべきではない、という主張も重要だ。

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著者プロフィール

1858-1917年。フランスの社会学者。マックス・ウェーバーと並ぶ社会学の創始者。代表作は、本書(1895年)のほか、『自殺論』(1897年)、『宗教生活の基本形態』(1912年)など。

「2018年 『社会学的方法の規準』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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