子どもに語るトルコの昔話

著者 :
  • こぐま社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772190336

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  • 最近気になるトルコについて
    知りたくて読んでみた。

    子どもに語る昔話が何話も収録されている。
    荒唐無稽なものもある。
    日本の古事記とかみたいに
    それで何が言いたいの?となるような話も。
    だけど、それこそが土地に住む人たちが
    語り継いだ生の伝承なのだなとも思う。

    おもしろかったのが、大女の描写。
    「ハエが大女の口から入って尻から出ていたら、
    大女はねむっている。
    尻から入って口から出ていれば、
    目をさましている。」
    というもの。なんそれ!?

    あとは、残酷なものもある。
    3人娘の長女と次女が欲のために
    末娘を井戸に落としたりする。
    その罪が発覚した時
    罰として迫られるのも独特だ。
    「おまえたちは四十の肉きり包丁と、
    四十頭のラバと、どちらをえらぶか」
    と問われる。
    前者を選べば、切り刻まれ、
    後者を選べば、引き摺りまわされる。

    四十という数字も好きなのか、
    「四十日四十夜」などの表現も出てくる。

    最後には、日本で言うところの
    とんち話の彦一さんのような
    「ホジャ」さんの笑い話が
    いくつも収録されている。
    どれもウィットに富んでいて面白い。

    お国柄の表現があったり、
    日本とも共通の感覚のものがあったり、
    昔話ならではの楽しみがある。


  • ストーリーテーリングのテキストとして借りた一冊。
    9つの民話とホジャの笑い話が6話収められている。
    私の好きなアイルランドの昔話のように、幻想的で美しいものは一切姿を消し、現実的で力強く人生訓にあふれたお話が多い。
    その反面、ナンセンスな笑いを振りまくお話もある。
    島国と大陸の違いだろうか。
    トルコって、東西の多種多様な民族と文化が行きかう国だものね。
    それだけ人々も知恵で生き抜く必要があったのかもしれない、などと考える。

    「ホジャの笑い話」はどことなく一休さんや吉四六さんに似ていて、日本のナンセンス落語にも通じる笑い。
    何しろどんな困難にもへこたれず、頓知と屁理屈で乗り切ってしまうのだ。
    読んだ後で何度も、うっふっふ・・とこみ上げるものがある。
    ひょっとしてシルクロードを通って日本に伝播したのかな?
    あちらの国では、たくさんあるホジャの笑い話を、大の大人も「小話」として楽しむらしい。

    「三枚のお札」によく似た話もあり、聖地メッカに巡礼に行く狐の話まである。
    神話の香りはなく、どれも素朴な民話であり、大人でもじゅうぶん楽しめる一冊。
    私はやはりホジャの笑い話が面白かった。でもこの笑いが分かるのは中学生くらいかな。

  • 4-7721-9033-3
    C8098¥1600E.

    子どもに語る 
    トルコの昔話

    2000/11/10. 第1刷発行

    編訳者:小島満子(こじま みつこ)
    編集協力:山本真基子(やまもと まきこ)

    発行所:株式会社こぐま社
    NDC:929.中国を除く東洋文学


    -----------------
    はじめに
    ・カラスととげ
    ・金の糸のまり
    ・聖地メッカへ行けなかったキツネ
    ・がまんの石と刀
    ・ケローランと鬼の大女
    ・羊飼いの娘と王さま
    ・豪傑ナザル
    ・シカのお告げ
    ・チャンクシュ チョルクシュ
    ・ナスレッディン・ホジャのわらい話
     ・わかっている人は わからない人に
     ・まねかれたのは上着
     ・イチジクで幸い
     ・九百九十九枚の金貨
     ・だんまりくらべ
     ・わしは死んじまった
    あとがき
    --------------
    それぞれのお話についての短いコメント(子どもたちに話すときのコツなど)と参考にした原書が記載されていました。

    「子どもたちは身近な人からお話を聞くのが大好きです。どうぞ愛をこめて語ってください。」

    -手にした理由-
    「昔話」を読みたくなりまして、手にしました。
    表紙はきれいな青色のタイルの模様で、トルコっぽい雰囲気の贅沢な作りです。
    はるか昔から交易で栄えたところにはどんなお話があるのだろうと興味を持ちました。---

    日本にも似ているお話がありましたし、ヨーロッパのお話にも似ているものがある気がします。
    ナスラッディン・ホジャ は人の名前 職業はイスラムの教えを人々に話すこと 小さなお話がいくつかありましたが、一休さんのようなお話、吉四六さんのようなお話もあり、楽しみました。

    あとがきに書かれていた「サズ」という楽器が気になりました。吟遊詩人がこれを奏でながらお話をするのだそうです。古いゲームの中で見た吟遊詩人は小さな竪琴のようなものを抱えていた記憶がありますが、サズはギターのように抱えて演奏する弦楽器でした。弦は7本でネックは細く長く、美しい形をしていました。今はすぐに調べることができていいですね。

  • 『豪傑ナザル』
    『金の糸のまり』小4読み聞かせに◎

  • カラスととげ/金の糸のまり/聖地メッカへ行けなかったキツネ/がまんの石と刀/ケローランと鬼の大女/羊飼いの娘と王さま/豪傑ナザル/シカのお告げ/チャンクシュ チョルクシュ/ナスレッディン・ホジャのわらい話(わかっている人は わからない人に/まねかれたのは上着/イチジクで幸い/九百九十九まいの金貨/だんまりくらべ/わしは死んじまった)
    全15話収録

  • 足に刺さったちっぽけな“とげ”から始まり、ランプ、め牛、お嫁さん(人間です)、笛…と、次々により欲しいものへと交換していくカラス。
    意地悪な姉たちに井戸に突き落とされ、通りかかった旅人が水を汲もうとおろしたかぼちゃの楽器に身を潜めて助けを呼ぶ末娘……。

    アジアとヨーロッパに跨り、多種多様な民族と文化に彩られたトルコの昔話では、キツネだってお供を連れて聖地メッカに巡礼に行っちゃいます。
    どんな困難でも洒落と屁理屈で乗り切るナスレッディン・ホジャのお話は、まるで日本の昔話に登場するとんち者・吉四六さんそのもの。
    他に、ヨーロッパや中国など、どこかで聞いたような昔話が、少しずつ違った形でたくさんあります。
    物話も人と共にシルクロードを旅して西から東へと伝わったのでしょうね。
    ぜひ、読み比べてみてください。

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