転移分析-理論と技法

  • 金剛出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772409155

作品紹介・あらすじ

本書は、Gillの主著であり、転移に関する文献として必ず引用される現代の古典である。精神分析の優れた臨床家であったGillは、フロイトをはじめとして、Strachey、Glover、Stone、Klein、Segal、Rosenfeld、Zetzel、等、多くの分析家の文献を引用しながら、転移分析の実際を情熱的且つ論理的に説いていく。人と人とが結びつく豊穣な世界であり、精神分析技法の核である転移分析についての詳細な臨床研究である。

感想・レビュー・書評

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  • 転移の理解を基軸に、いまここの解釈と発生論的解釈を介入として記述し、転移解釈と転移外解釈を論じる。すべての素材が転移をコミュケートするという想定のもとに、転移を扱っていくのだが、この本だけでは、明瞭に理解はできないだろう。第2巻の未翻訳の逐語録を併読してこそ、臨床的な読みができる。本翻訳のみの理解は錯覚に近い。
    転移に気づくことへの抵抗、転移に入ることへの抵抗、転移を解消することへの抵抗を、それぞれ解釈していくのだが、この点でクライン派と軌を一にする。しかし、クライン派の転移解釈は、実際は幼児期にまつわる無意識的幻想の再構成であると喝破し、自身の論との差異化を図る章が、本巻のハイライトであろう。自我心理学の伝統を纏いつつも、対人関係論の次元に接近したギルの技法書として、名高い本書だが、残念なことに翻訳がいまいち。是非原著を合わせて読むことをすすめる。また、ラカン派のフィンクが、本書を批判しているので、興味があれば、そちらも読むと理解が深まるだろう。

  •  表題の通り「転移分析」に焦点を絞り、徹底的に論及している。全体的にラディカルな言い回しで、読んでいて子気味いい。本書では、転移に関する様々な論文を引用しているが、フロイトの理論についての再考は、とても興味が惹かれた。中でも、精神分析の技法は、フロイトの初期の著作から変化はしておらず、変化しているのは理論であり、それらは区別すべきだという論考には唸らされた。
     精神分析は様々な理論で溢れているが、本書はそういった理論の(つまりは臨床の)原点に立ち返る意味でも重要な著作といえるのではないだろうか。

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