対人関係療法マスターブック

著者 :
  • 金剛出版
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772410748

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  • ・F子はIPTの本を読み、「ほとんど全部自分に当てはまる治療法だと思ったけれども、一つだけ当てはまらないことがあると思いました。うつ病の人は自分の気持ちをストレートに表現できない病気だと書いてあったけれども、確かに私も昔はそうでした。でも今は違うんです。今は家族にも彼にもストレートに自分のことを表現したりぶつかっていったりするようになったけれども、度合いがうまくいかないんです。悪いとわかっていても、ストレートにならざるを得なくなって」と言った。
    そこで、「悪いとわかっていても」という部分も伝えて初めてストレートなコミュニケーションなのではないか、という点を指摘すると、F子は母親と顔を見合わせて驚いていた。

    ・思春期の患者に、系統立てて人間関係について説明させるのは難しい。したがって、思春期患者に対しては、「親しさサークル」を用いて記入させる、という方法がよくとられる。そこに記入された名前について、いろいろと詳しく聞いていく。
    このやり方をとっても、質問にうまく答えられない、あるいは答えたがらない患者も少なくない。そのようなときには、質問攻めにするのではなく、その相手とどんなことを一緒にやったことがあるか、相手との間にどんな記憶があるか、というようなことを聞いていくのが良い。これは思春期に限ったことではないが、感情について聞かれるよりも具体的な状況について聞かれた方が話しやすいものである。

    ・よく見られるコミュニケーションの問題
    「曖昧で間接的な非言語的コミュニケーション」
    ため息をつく、にらみつける、など。
    「不必要に間接的な言語的コミュニケーション」
    いやみを言う、婉曲な物言いをする、など
    「自分がコミュニケーションしたという間違った憶測」
    自分の言いたいことをはっきりさせなくても他人は自分の必要としているものや自分の気持ちがわかっていると憶測する
    「自分が理解したという間違った憶測」
    相手のメッセージが不明確な場合にそれを確認しない
    「沈黙」
    コミュニケーションの打ち切り

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著者プロフィール

水島広子【みずしま ひろこ】

慶應義塾大学医学部卒業・同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、2000年6月~2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本的改正などに取り組む。1997年に共訳『うつ病の対人関係療法』を出版して以来、日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。現在は対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)、対人関係療法研究会代表世話人、アティテューディナル・ヒーリング・ジャパン代表。主著に『自分でできる対人関係療法』『トラウマの現実に向き合う』(創元社)、『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』(紀伊國屋書店)、『怖れを手放す』(星和書店)、『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)、『自己肯定感、持っていますか?』(大和出版)、『「毒親」の正体』(新潮新書)などがある。

「2022年 『心がスーッとラクになる 世界の美しい文様ぬり絵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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