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- Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
- / ISBN・EAN: 9784773892130
作品紹介・あらすじ
電話帳で同姓同名の人を探し出すという、ふとした遊びが、現実と関わりをもち始めたとき、植民者エレディア一族の汚辱に満ちた来歴が明らかになる、完璧な小説。
感想・レビュー・書評
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主にフランス、ときにメキシコが舞台の幻想ホラー。フエンテスのほかの長編より汗臭くなくてさらっとしているし、その都度だれが話しているのかもだいたいわかる中編なので、『アウラ・純な魂』がよかったけれど『脱皮』は意味不明!という人にもお勧め。
主人公の老人は個人的な動機を抱えつつ、礼儀正しく「成り行き上」のダンスを踊っているうちに物語の大渦に巻き込まれていく。繰り返されるイメージはだれの幻想とも記憶ともつかず、歴史の流れや個人の境界が崩れていくさまはうっとりするほど幻惑的。
最後に「私」が超現実的なものを目撃する以降のくだりは圧巻で、読んでいる自分自身が巻き込まれていく感覚を堪能できた。本を閉じて、ひとつの物語を読み終わった満足感と同時に、まだ何かがうごめいている感じが続いている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(小説)「開かれた結末、終わりのないストーリー、言ってみれば責任を、その本来の場所に、すなわち読者一人一人の良心と想像力に突き戻し」ながら、新旧両大陸の人間のアイデンティティの問題に迫る。
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