気狂いモハ、賢人モハ (シリーズ越境の文学/文学の越境)

  • 現代企画室
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784773896060

作品紹介・あらすじ

虐げられた者の視線を体現する、聖人=賢者=愚者=としてのモハ。彼の口を通して語られる魅力あふれる愛と死の物語が、マグレブの現在を浮き彫りにする。

感想・レビュー・書評

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  • 詩的な散文、散文的な詩。筋立てを楽しむ書ではないことは序盤に理解できる。解説を読んで理解できたのだが、アラビア語的表現をフランス語で表現する等々、技巧的なアレコレが施されているとのことだが、浅学のためさっぱり楽しめず。

    その他にも、体制批判が隠喩として装填されていたり、音楽的であったりと、「詩」の部分がスッと入ってくる相性に恵まれていればと思うのだが、愉しみそこなった印象。

    非常に緻密で豊かな作品だなということは分かる。

  • 一文一文は長くないのに、読むのが容易ではない本。
    解説が長い!笑

  • 風刺的作品だ。
    この本の素晴らしさは、風刺色が強いという事だけではなく、文章も詩的でとげとげしく、美しいという事だと思う。
    モハは賢いが故に道化と化し、様々な弱者の叫びを代弁する。真実を語る者はいつだって多数の嘘つきの前では、ただのピエロだ。
    あとがきに「言葉を射精する」とあったが、まさしくその通り。
    排出された無数の文字がこの本の至る所に散らばっていた。

  • 新作を出すにつれ、だんだん質が落ちているような気がしてならないベン・ジェルーンですが、比較的初期に書かれたこの一作は本当に傑作だと思います。フランス在住のモロッコ人という特殊なバックボーンから、この作家の作品世界を本当に理解し、共感するのはなかなか難しいことだと思います。実際、政治的な問題に絡んでくると、無条件に賛同することはできません。でも私はこの作家を愛しています。

    モハと呼ばれる語り部=預言者=狂人=賢者の口を通じて語られる、名もなき人々の無数の意識。
    それは声なき声でありながら、紛うことなく言葉=言の葉であるところが、日本人の私にもヴィヴィッドに来る部分なのかもしれません。力強く、繊細な詩のような言葉の奔流には、溜め息をつくばかりです。
    原書(フランス語)で読めたらよかったのに、と、本気で口惜しく思った一冊。

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