- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784774142739
作品紹介・あらすじ
心の病については数々の情報が公開され始めた。そして、周囲の理解や対応が深まる一方で、歪みも生じている。際限ない「自称患者」にどう対応するべきか?治療や司法のための「レッテル貼り」は排除や差別にならないか?社会に蔓延(バブル化)する心の病をとりまく現象に、精神科医が一石を投じる。
感想・レビュー・書評
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南蒼斗さん(所属:総合科学部社会総合科学科心身健康コース)推薦
なぜこれほど「うつ病」が増加したのか。精神科医である著者が、自らの臨床経験も振り返りつつ精神科医療についての問題提起を行う。扱われるテーマはうつ病、ASD、アルコール依存症、PTSDだ。
精神疾患についての情報が広まったことは、どのような影響をもたらしたのか。抗うつ薬とメンタルクリニックの増強は、うつ病への対策になっているのか。診断は どのような意味をもつのか。障害は個性なのか。
さまざまな観点から、心の病を取り巻く現状と、サイコバブル社会の帰結が述べられている。
心の病に関心を持つ人に推薦できる一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うつ病、アスペルガー障害、アルコール依存症、PTSDという近年で社会での位置づけや印象が大きく変換した心の病を取り上げ「サイコバブル社会」について論じる。サイコバブル(PSYCHOBABBLE)によってサイコバブル(PSYCHOBUBBLE)が加速しているというのが著者の主張で、あいまいな知識に基づいた知識(PSYCHOBABBLE)によって世間に心の病への関心が泡がぶくぶくと広がっており、心の病に関する様々なもの・人・システムが膨張を続けていること(PSYCHOBUBBLE(著者の造語))である。そのようないい加減で不正確な言葉によって心の病が語られるようになったことで、何が本当の心の病かがわからなくなって、病と病でないものの境界があいまいになり、心の病と呼ばれるものがどんどん膨張している。
個人的な感想としては、人生を思い返すと、90年代まで心の病は暗くてダーティーで肩身の狭いものであった。そして心の病はもっと重篤な症状を抱えているものであった。現在では人前で明るくポップなものになった。語られるメンタルヘルスの内容もごくごく軽い落ち込みですらメンタル不調として語られるようになったという実感がある。この変化は一体なんだろうという思いもあり、著者がいうサイコバブルによるサイコバブル化は個人的な経験では合点がいくように感じられる。 -
難しい問題。
光が当たるようになったことで、
前よりも精神科、心療内科に通いやすくなった。
しかしそのことによる弊害を作者は指摘する。
本書ではうつ、アスペルガー、アルコール依存症、
PTSDについて述べられている。
アスペルガーについては判断が難しいと思った。
どこまでが個性でどこからがアスペルガーなのだろうか。
もう少し詳しく見て行きたい。 -
現代の精神医療はバブル化しているのだろうか?患者によりそう医師に対し、裁判所の判断は厳しい。
人々に広く知られることによって早期治療を可能にし、病気と上手く付き合うことが出来る可能性をも高めるのは、内科も精神科も等しいようである。 -
現代社会に蔓延するうつ病や、認知度が高まりつつあるアスペルガー、アルコール依存症、PTSDなどを例に、サイコバブルを極めつつある社会に警鐘を鳴らしています。大変分かり易く解説されていて、サクッと読めます。やはり、新型うつ病を病気と捉えていては、社会が破綻するよなと再確認。
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この人の文章は、わかりやすい言い回しで、読みやすくて心地よくて、とても好きです。