殿さま浪人: 超痛快!時代小説 (コスミック・時代文庫 や 2-1)

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  • コスミック出版
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (846ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774723037

感想・レビュー・書評

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  •  850ページ(!)近くある、辞書みたいなサイコロ本(゚д゚)!
     なのにスラッスラ読めるから、ぜんぜん長いと感じなかった( ´ ▽ ` )ノ
     懐かしのテレビ時代劇(桃太郎侍、遠山の金さん)、その元になった映画黄金期のチャンバラ(大河内傳次郎、阪東妻三郎)、さらにその元ネタである講談・落語・絵草紙……脈々と続く日本「大衆娯楽」の伝統、その真髄ここにあり、ってとこだ( ´ ▽ ` )ノ
     前半が一大長編・後半がその続編にあたる連作短編集といった趣だけど、ラスト2編の胸アツ度ときたらさ!……いやー、時代劇って本ッ当にいいもんですねえ!( ´ ▽ ` )ノ


     古い(調べたら初刊行1968年)作品だから、もちろんアラ・欠点は山ほどある……(´ε`;)ウーン…

     1.ご都合主義
     2.テンプレキャラ
     3.いってこい

     1.はもう、全エピソードの9割がそれに当てはまる(>_<)
     待ち人は向こうより来たる、探し人は道端に佇んでいる、疑問が湧いた次の瞬間にはもう答えが提示される……箱庭みたいに狭い狭い江戸の街、世の中みんな親類みたいな人間関係、石ころみたいにそこらに転がってる偶然とハプニング……(>_<)
     ――が、ここまで徹底してご都合主義を連発されると、やがて噴飯も白々しさもギャグも遥かに超えて、虹色に輝く快感が見えてくる( ´ ▽ ` )ノ
     小難しさも深みもけっこう、だけどそればっかりじゃ息が詰まる……たまにはこういう、おとぎ話みたいなお気楽・お手軽な読み物がないと( ´ ▽ ` )ノ
     時代劇というお江戸ファンタジーゆえにこそ許される、優しく和む世界観( ´ ▽ ` )ノ

     2.も、そう( ´ ▽ ` )ノ
     正直、本作に登場するキャラクターのうち誰一人としてリアリティ・現実味をかけらでも持っている者はいなかった(>_<)
     なんというか、主人公の修平(こいつもまあそうとう人間離れしてるんだけど)以外は、いいやつも悪いやつもみんな人間というより「犬」に近い……裏も表もなし、理性より本能、知性より感情……(>_<)
     が、だからこそ愛おしい( ´ ▽ ` )ノ
     お江戸ファンタジーのクリーチャーズ( ´ ▽ ` )ノ
     みんな、アニメキャラみたいなもんだ( ´ ▽ ` )ノ
     お冬なんか、修平の前でシッポぷるんぷるん振ってる様が目に浮かぶよう(「理系が恋に落ちたので証明してみた」の菖蒲ちゃんのポニテみたく)( ´ ▽ ` )ノ
     実際どうだったのか知らないけど、同棲と結婚がほぼ同義(即日即決、式も結納もなし)という当時の婚姻関係もシンプルでいいや( ´ ▽ ` )ノ

     3.については……これはちょっと擁護できないな(>_<)
    (ググっても自分の認識していた意味が出てこないので付記しておくと、ここでいう「いってこい」とは例えば、旦那が小僧に「越後屋さんに行って『明日どこそこで町内の会合があるからなになにを持って何時まで来るよう言ってこい』と命じた場面があったとして、その次のシーンで越後屋さんの前にかしこまった小僧に『うちの旦那が明日どこそこで町内の会合があるからなになにを持って云々』という、読者にとっては「さっき聞いたばっかだよ」というセリフを繰り返して言わせること。すなわち安易な枚数稼ぎ。物語の流れが停滞する)(どっかで某脚本家がそう書いてたんだけどなあ……あの先生個人の専門用語だったんだろうか?)
     本作には、この説明セリフの繰り返しが冗談にならないほど頻出する(>_<)
     昔の小説だから、じゃ済まないレベル(>_<)
     これを整理しただけで、たぶん200ページくらいは削れたろうな……(´ε`;)ウーン…



     ……まあいろいろ書いてはみたけど、要は頭カラッポ型娯楽小説の傑作ってことだ( ´ ▽ ` )ノ
     リアリティも深刻なテーマもない、しかし義理人情と仁義と夢・感動は山盛り( ´ ▽ ` )ノ
     マンガやアニメみたいな心づもりで楽しもう( ´ ▽ ` )ノ

     ……ちなみに本書、長い分だけ誤植も多い(>_<)
    「おみかさん(おかみさん)」「おくふろ(おふくろ)」「かめも(かもめ)」……特にひらがなで目立ってた(>_<)

    2020/01/26

  • なぜか子供の頃から知っている時代小説家の著書。勧善懲悪のパターンで安心して読める。

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著者プロフィール

明治三十二年(一八九九)栃木県生まれ。本名井口長次。明治中学卒業。博文館の編集者だった昭和八年「サンデー毎日」の大衆文芸賞で佳作となり、これ以来山手樹一郎を名乗る。昭和十四年、博文館を退社、長谷川伸の門下に。翌年にかけ新聞に連載した『桃太郎侍』が成功を収める。以後、大衆の求める健全な娯楽作品を次々書き、貸本屋で第一位の人気を得た。昭和五十三年(一九七八)没。他作品に『遠山の金さん』『崋山と長英』(野間文芸奨励賞)など多数。

「2022年 『夢介千両みやげ 完全版(上)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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