- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784776210269
作品紹介・あらすじ
炎上、不謹慎狩り、不倫叩き、ハラスメント…
世の中に渦巻く「許せない」感情の暴走は、
脳の構造が引き起こしていた!
人の脳は、裏切り者や社会のルールから外れた人など、わかりやすい攻撃対象を見つけ、
罰することに快感を覚えるようにできています。
この快楽にはまってしまうと、簡単には抜け出せなくなり、罰する対象を常に探し求め、
決して人を許せないようになってしまいます。
著者は、この状態を正義に溺れてしまった中毒状態、「正義中毒」と呼んでいます。
これは、脳に備わっている仕組みであるため、誰しもが陥ってしまう可能性があるのです。
他人の過ちを糾弾し、ひとときの快楽を得られたとしても、日々誰かの言動にイライラし、必要以上の怒りや憎しみを感じながら生きるのは、苦しいことです。
本書では、「人を許せない」という感情がどのように生まれるのか、その発露の仕組みを脳科学の観点から解き明かしていきます。
「なぜ私は、私の脳は、許せないと思ってしまうのか」を知ることにより、自分や自分と異なる他者を理解し、心穏やかに生きるヒントを探っていきます。
感想・レビュー・書評
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Audible利用(4h 5m)
人の脳はわかりやすい攻撃対象を見つけ、罰することに快感を覚えるようにできている。この快楽にはまってしまうと、簡単には抜け出せなくなってしまい、罰する対象を常に探し求め、決して人を許せないようになる。この状態を、著者の中野信子さんは「正義中毒」と呼ぶ。
"自分は違う"とどこか他人事で読み始めたのだけど、読み進めるにつれ考えを改めた。脳のはたらきとして備わっている以上、私もいつでも「正義中毒」になる可能性がある。中野さんが挙げる例の中には「私も気を付けなくてはいけないな」と思うものもあった。ついレッテル貼りやラベリングで他人(他国、他民族)を判断してしまうこと。赤の他人をおおっぴらに批判したくなる気持ち。これらを全くゼロにはできないかもしれない。まずはそんな自分を俯瞰する力を養うことが大事らしい。
★「正義中毒」に陥らないために★
実践できそうなこと・実践したいこと
①日常生活の中で自分を振り返る余裕を持つ
こうしてブクログに自分の感想を書く時間は本当に貴重だと思う。
②あえて不安定で過酷な環境に身を置いてみる
この5年間、一子一役ルールだとか持ち回りだとか言われ、毎年PTAと自治会の役員をしないといけなかった。かなりの負担だった反面、思いもよらない新しい経験をしたり自分とは全然違うタイプの人と親しく付き合うきっかけになった。地域の安全のため尽力している人たちの存在を知り、価値観が変わったところもあった。
来年度はやっと役員関連は一旦お休み。楽になるけどボケそうだな、と内心思っていたところなので、中野さんのこの提言は響いた。
新しく何か始めなきゃ!と焦るつもりはないけれど、ちょっとした面倒事の機会はそのうちやって来ると思うので、その時は躊躇せず飛び込みたい。
③絶対に読まない本、関心のない本を手に取る
すぐにできることのはずなのに、めちゃくちゃ難しそう。私だったら、自然科学?マネー?ビジネス?政治とか恋愛小説とか……。
④自分にも他人にも一貫性を求めない
これは本当によくわかるのに、肝心なときに忘れてしまいがち。相手との距離感によっては一貫性のなさに振り回されてしまい、寛容でいることが難しい時もある。
「人間は不完全なものであり、結局永遠に完成しない」、「結論の出ない問題を考えつづければよい」と、中野さんは言う。自分も他人もブレるし、変わる。変化や曖昧さをサラッと受け入れ、流したり楽しめたりする自分でありたいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
〈他人に「正義の制裁」を加えると、
脳の快楽中枢が刺激され
快楽物質であるドーパミンが放出されます。〉
人の脳はわかりやすい攻撃対象をみつけ
罰することに快感を覚えるようにできている。
この快楽にはまってしまうと、
簡単には抜け出せず
罰する対象を探し求め
決して人を許せないようになる!
〈こうした状態を、私(中野信子さん)は
正義に溺れてしまった中毒状態
いわば「正義中毒」と呼ぼうと思います〉
私たちの脳はこういう仕組みになっているのですから、
自分が今この状態であるということを把握することが大事。
そして大事な「脳の前頭前野」。
成熟のピークは30歳前後。
だからその前は「若気の至り」をしてしまうし
加齢によって委縮してしまうのです。
この前頭前野を鍛えるための方法が
この本に書かれています。
必見。 -
会社やプライベート、ネット社会でも存在する正義中毒。
生きづらさを感じる世の中が、なぜ形成されるのか?
その人たちはどんな理由で正義中毒に陥るのかを心理学、脳科学的なメカニズムから解説されています。 -
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なぜ芸能人の不倫報道は人気コンテンツなのか…人を攻撃するほど快感が増す「正義中毒」という脳の闇 他人の言動にイライラしやすくなっている | ...なぜ芸能人の不倫報道は人気コンテンツなのか…人を攻撃するほど快感が増す「正義中毒」という脳の闇 他人の言動にイライラしやすくなっている | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
https://president.jp/articles/-/670602023/03/08
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人を許せない、と思ったときは
自分が正義中毒になっていないか振り返る。
なるほど。
○○するべきでしょ!
会社としてこうしないと!
なんであの人はいつもこうなの!
普通こうでしょ!
いやぁ、これ自分の周りにも蔓延してるわ。
しかも、この本に出会った時
まさしく、正義中毒の人に
言われたあとだったので、めちゃタイムリー。
でも、まてよ、
これって自分にも当てはまるんじゃない?
と思って、掘り下げるために買ってみた。
そもそも、周りに正義中毒がいるということは
自分の中の正義がそうさせてるってことだし。
そう考えると、出てくる出てくる。
自分自身に対して、
何怠けてるの!
だらしないなぁホントに!
また先延ばししてる!
ダメだなぁ!
って。これも正義。
他人にも自分にも振りかざしてるのね。
そりゃ周りにもいるはずだわ。
人は不完全なもの。
人は一貫性がないもの。
人は矛盾を抱えているもの。
「どうでもいい」という感覚が大事。
これから、正義が発動してきたら
「どうでもいい」
と、肩の力を抜こう。
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他人を許せない感情はどのように生まれるのか。他人の過ちを探しては糾弾することに溺れる「正義中毒」という現象を、中野信子先生が脳科学や心理学を使って解説する一冊。難しい用語はほとんどなく、かなり読みやすく書かれている。脳科学って難しそうって方でもサラッと読めると思う。
SNSを見ていれば炎上ネタがよくトレンドに入ってくるし、ワイドショーでも毎日のように誰かを叩いている世の中。その流れに乗る前に一息ついて周りを見渡す大切さを教えてくれる本だと思う。自分を客観的に見るメタ認知の重要性が語られているけど、まさにこの本がそのきっかけを与えてくれる。人間である以上、誰もが正義を押しつける可能性を持っている。人間なんて一貫性がないもの。その当たり前を受け入れることから、心の余裕や共感が始まっていくんだと思う。
日本人の集団主義的な要素が強いのは島国というだけでなく、災害の多さや食糧の問題が根っこにあるって話は興味深かった。あと、ネット社会は多種多様な情報と接しているようで、興味のフィルターによって限定された情報や広告と多く接しているという話も納得。
これは接している人もそうで、同じような人が集まるから価値観が自然と偏っていくということも注意したい。閉鎖されたコミュニケーションによって特定の信念が強化されてしまうエコーチェンバー現象にも通じるよね。老けない脳を作るトレーニングであるように、自分から新しい情報や環境に身を置いてみるというのは大切だよね。
最後に、本筋とは関係ないけど、本はよくできたツールだという話も好き。その内容を著者から聞き出そうとしたら時間もコストもかかるし、もう亡くなってて会えない人もいる。合わないと思ったら読むのを止めても角が立たない。考え方に触れるには便利なツールだよね。本を通じていろんな価値観を知ることで、他人との違いを楽しむことができたらいいなと思った。 -
人はなぜ対立感情を生みたがるのかよく分かった。人は不倫や不祥事に対して第三者が嫌悪感を覚えたり、批判さえする。特にSNSやネット環境が整ったことによって誰しもが自由に発言できるようになった反面、不毛な議論や重箱の隅をつつくような批判が増えたのも事実。匿名性が確保されているからこそ、自分のことを棚に上げ、発言に一切責任を持たなくなった。
このような状況を打破するには多様性を重視するべきだと筆者は説く。中央値から遠く離れた考えを外れ値とみなさず1つの立場として尊重することが大事。とりわけ同調圧力社会の日本ではこの雰囲気が必要だいう。そういう意味では全く興味のない分野や自分とは立場や環境が異なる人との意見交換は改めて重要だと感じた。そしてその際はマウントを取り合うような議論をしないことも。
ただ文中にあった天候や地形などが今日存在する文化を形成する一因となったのかはちょっと微妙かも。日本は自然災害が多いからそれに適応しなければならない→長期的な予測をして準備を怠らない人が生き残る→空気を読む文化???? -
芸能人の不倫問題や不祥事、ネットでの攻撃、ハラスメントや先生の不祥事など、バッシングをしている人々は当事者とは何の関係もなく、直接迷惑をかけられている人ではありません。
なのになぜ怒りを感じ、叩き続けるのか。
ネット上や世の中に渦巻く許せない感情は、脳が引き起こしていました。
ネットで自分の考えと違う人を執拗に攻撃したりするのも、この構造ですね。
気をつけよう。
人の脳は、裏切り者や、社会のルールから外れた人といった、わかりやすい攻撃対象を見つけ、罰することに快感を覚えるようにできています。
他人に「正義の制裁」を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質であるドーパミンが放出されます。この快楽にはまってしまうと簡単には抜け出せなくなってしまい、罰する対象を常に探し求め、決して人を許せないようになるのです。
こうした状態を、私は正義に溺れてしまった中毒状態、いわば「正義中毒」と呼ぼうと思います。この認知構造は、依存症とほとんど同じだからです。 ー 5ページ
正義中毒の状態になると、自分と異なるものをすべて悪と考えてしまうのです。自分とは違う考えを持つ人、理解できない言動をする人に「バカなやつ」というレッテルを貼り、どう攻撃するか、相手に最大級のダメージを与えるためには、どんな言葉をぶつければよいかばかりに腐心するようになってしまいます。
ある状況においてどちらの言い分が正しいのかはさておき、双方が互いを正義と確信して攻撃を始めてしまったら、解決の糸口を見出すことは非常に困難です。 ー 8ページ -
科学的な部分もあるのだろうけれど、リファレンスが出ている訳でもないので話半分に読むような感じ。
頭かちこちにはなりたくないので、メタ認識や変化はもう少し意識してみようかなと思う。 -
前頭前野を萎縮させないためには、睡眠が重要。