10歳からの 考える力が育つ20の物語 童話探偵ブルースの「ちょっとちがう」読み解き方

著者 :
  • アスコム
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本棚登録 : 446
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784776211617

作品紹介・あらすじ

正義の反対は、なんだろう? 
人気放送作家の石原健次さんがストーリーを書き、『大家さんと僕』を描いた矢部太郎さんが挿絵を担当するこのちょっと変わった物語は、そんなテーマの本です。

誰もが自分を正義と信じて、相手を悪だと決めつける。
だとすれば、「正義の反対は悪」ではなく、「正義の反対は、正義」かもしれない。
とりわけ現代では、その視点が必要なのではないでしょうか。

この本では、童話探偵ブルースと秘書シナモンが、世界の名作童話を「これまでとはちがう視点」で読み解いていきます。

たとえばこんなふうに。
『3匹の子ブタ』を読むときに、オオカミの気持ちを考えてみよう。
『裸の王様』が見えない服を見えると言ったのは、本当に「バカだと思われたくない」と考えたからだけなのだろうか?
『鶴の恩返し』でおじいさんとおばあさんが部屋をのぞいたのは、鶴を思うやさしさだったからかもしれない。

各話の最後に用意されたブルースの読み解きに、「へぇ〜」「そうだったんだ!」と納得したり、おどろいたりしているうちに、自然と「物事をさまざまな角度から見る力」が育っていきます。

物事をさまざまな角度から見る力。
それって、こういうことです!

● いろんな考え方を理解できるようになる!
● 興味の幅がどんどんひろがる!
● 想像力がぐんぐんのびる!
● 思いやりの心が芽生える!
● つらいことや悲しいことを乗り越えられる!
● 読解力が高まる!
● 自分で考えて答えを見つけられるようになる!

つまり・・・これからの世の中を生きる力が身につく!
のです。

この本は「10歳から」のお子様におすすめです。
学校の授業の難易度が上がり、抽象的な思考を学びはじめる10歳(小学校4年生)という年齢は、この本を読みはじめるのにぴったり。

もちろん、小学校高学年や中学生、あるいは大人でも十分に楽しめます。
むしろ考え方が固まってしまった大人にこそ、この本の「ちょっとちがう読み解き」が役に立つかも!


ひとつご注意を。
この本に書かれているのは、ふつうとは違う角度から考えるためのヒントです。
だから、ブルースの読み解きが正解だとは限りません。
大切なのは、自分の頭で考えて、自分だけの答えを見つけ出すこと。
この本は、そのきっかけになってくれます。

子どもと一緒に読んで、それぞれの読み解きを話し合ってもいいですね。
ブルースの悲しい過去や、シナモンの成長していく姿など、ストーリーの面白さもバツグンです!

感想・レビュー・書評

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  • 童話探偵ブルースの、ふつうとはちょっと違う20の童話の読み解き。
    なかなか興味深いと思いました。
    中にはついていけない解釈もあったけど、「鶴の恩返し」なんかは全面賛同。

    「正義の反対はもう一つの正義」という言葉は頭に残ったな。どんなことに対しても忘れちゃいけない視点だ。
    絶対的な善など存在しないし、絶対的な悪もそう。

    オーディブルで読んだ。
    しかし、オーディブルだと当然ながら矢部太郎さんの挿絵が見られません。後から気づいて、少し残念でした。

  • 息子用に私の母が買ってくれた本。
    まだ年長さんだから10歳からの本は早いんじゃないかと思いましたが、これは学校の教科書として使うべき素晴らしい本でした。
    童話探偵ブルースが秘書のシナモンと一緒に童話を違った視点から読みといていくお話。
    童話探偵とは世界の名作童話を読み解き現代に活かす新しい解釈を見つける探偵のことだそうです。
    まず設定も面白い!
    そして秘書のシナモンの成長が泣ける。。
    読んだ後心がとても温かくなりました。
    この本を読んで子供たちに心の豊かさを是非学んで欲しいです。
    大人にもオススメです。
    そしてこの本を買ってくれた母にありがとうと伝えたいです。

  • よかった。
    と思うのは、最後まで読んだからです。
    最初の2つの童話は、ちょっと❓❓❓と思ったので、読むのをやめようか…と思ったけど、とにかく最後まで読んでみよう!と思ったのが結果的によかった。
    泣いた赤鬼とごんぎつねの話では、「大家さんと僕」の矢部太郎さんの挿絵が先日死んでしまった飼い犬に似ていて、余計に悲しくて泣いてしまいました。
    そして、最後に謎解きのスッキリ感が残り、全体的によかったと思う。もしかしたら、最初の方は、この最後の盛り上がりに持っていくためのものだったのでは?と思った。
    渋沢栄一の人の数だけ正義はある
    と同じように、
    正義の反対はもうひとつの正義
    という言葉がこの本を表している。
    本て最後まで読まないと、ダメですね。(最近は最後まで読めてる…)

  • いつも主人公の目線でしかみていなかったから、こういうふうにもみえるんだと、驚きました‼️
    三匹の子豚も子豚目線から見るとオオカミは悪者に見えるかもしれないけど、オオカミにもなにか子豚を襲う事情があったのかもしれない。そう考えると童話はいろいろな目線から見えるおもしろい話なのかもしれない…そのことに気づかされる話でした。

  • 大人の私でも、とってもためになる本だった。
    若い頃からこんな思考で、物事を捉えることが出来ていたらもっと生きやすかっただろうな…社会に出る前に読んどきたかった。
    今からでも遅くないよね(笑)

    ■印象に残った言葉
    •正義の反対は、もうひとつの正義→色々な背景があるとは言え、お互いが相手の正義を想像できたら世界の争い事も…
    •傷つけられた時:私には、この人が知らないすてきなところがたくさんあるとつぶやこう。そうすれば、人に何を言われようが不思議と気になくなるものだよ。
    •自分のものさしにおさまらない人をおかしいと避難したり、笑ったりしては自分の成長も止めてしまう。自分の常識が全てではないことを知り、相手の個性を『いろいろな人がいるからこそおもしろい』と受け止めると、視野を広く持つことができる。
    •自分の思いは、言葉にして伝える努力をすべし→察して欲しいなとか思うのやめよう…
    •見えるモノだけがすべてではない。

  • 童話探偵ブルースの、想像のつかない読み解きで、ビックリした。この本を一言で言うと、思い込みは今すぐ捨てろ!発想の転換!って感じ? W
    しかも、童話の読み解きだから、話が分かりやすく、本が苦手な私でも、最後まで楽しく読めた。
    登場人物の性格も面白く、1ページ開くごとに、ワクワクがもう止まらない!?

  • 童話を一般的な理解とは異なる視点で読み解く書籍である。冒頭の『アリとキリギリス』『ウサギと亀』の読み解きは頑張ることを美徳とする昭和の精神論根性論のアンチテーゼになる。特に『ウサギと亀』の亀は根性だけでウサギに立ち向かおうとしたと批判する(40頁)。

    一方で『さるかに合戦』の読み解きの復讐の批判は、ありきたりな道徳の教科書的である。10歳に読ませる道徳本としては意味があるが、世の中の平和のために弱者が我慢を強要されるだけに感じてしまう。

    『泣いた赤鬼』の読み解きはユニークである。嘘で人間関係を作っても失敗する。『北風のくれたテーブルかけ』の読み解きでは消費者を欺く悪質業者とは二度と契約すべきではないと指摘する(290頁)。学校教育的な道徳は生活者感覚と遊離しがちであるが、ここは消費者教育にもなっている。

    本書は童話毎のオムニバス形式を基本としながら、童話探偵ブルースと秘書シナモンの物語を少しずつ進ませている。ブルースが過去の失敗を抱え続けていることに好感を持てた。日本人は過去をなかったことにする再チャレンジをもてはやす傾向があるが、それは最も道徳から離れている。

  • 教え子の中学生が、お父さんに買ってもらった本らしい。童話探偵のブルースが、正義の反対は悪ではなく、もう一つの正義、をコンセプトに、勧善懲悪の寓話として読まれがちな様々な童話を、別の正義の物語として読み直していく物語。
    文学のような解釈学を勉強していると、そもそも作品の違った解釈を考える意味は何なのかと問われることは多い。童話の世界で「悪役」とされるキャラクターたちにも、それなりの事情があったのではないか、と想像することで、「現代に生きる解釈」=教訓を見つけるというのが、とても分かりやすくてよかった。

    個人的に面白かったのが、それまでブルースの読み解きを聞くだけだった助手のシナモンが、最後の読み解きを自分一人でするシーン。ブルースの読み解きを繰り返し聞いてきたシナモンは、ブルースだったら、何て言うかを考えることで、「梨売りと仙人」の物語を解釈する。
    物語を読むことって、こういう風に次の世代に繋がっていくのだなあ、ということを感じるワンシーンだった。シナモンは、ブルースに君だったらどう考えるかを、繰り返し繰り返し問う。そして、返ってきた答えに対して、その考えが、いかに間違っているかを、優しく諭す。シナモンは、そうした経験を通して、ブルースだったら、何て言うだろうか、と考えるようになり、最後には、ブルースすら思いつかなかった読み解きにたどりつく。

    少し残念なのは、ブルースの読み解きが、割と常識的であった点。タイトルにも「10歳からの」とあるので、まあ、こんなものかとも思うが、もう少し悪を悪のまま、尖った正義を語ってほしいという気持ちもあった。
    ただ、子どもも読みやすい物語で、逆の立場だったらどうなるだろう、という想像力を働かせる。物語を解釈することの意味を教えてくれる本として、よい本だと思った。

  • 加藤浩次さんの一言で生まれた本。物語のアイディアも構成も秀逸!人の考えをどうしても理解できないときがある。そんなとき、もうひとつの正義とは何なのか想像し、人にとっても自分にとっても生きやすい世界を作れたらいいな…

  • 違う角度から見た考え方。相手のことを考えられる本だと思う。昔話しを題材にしておりスポットに当てられなかった人物の背景、気持ち、思いをしっかりと考えており今後生きる上で必要な考える力を育む本でした!

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著者プロフィール

作 石原健次
1969年生まれ。兵庫県神戸市出身。放送作家。
『行列のできる相談所』、『ダウンタウンvsZ世代』(ともに日本テレビ)、『SMAP×SMAP』(フジテレビ)、『Ⅿ-1グランプリ』(朝日放送テレビ)などの構成に参加。また、『0号室の客』(フジテレビ)、『クロサワ映画』などでドラマや映画の脚本を担当。本書の第一弾『10歳からの 考える力が育つ20の物語』が初の著書となる。

「2023年 『10歳からのもっと考える力が育つ20の物語  二代目童話探偵シナモンの「ちょっとちがう」読み解き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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