- Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9784776406143
作品紹介・あらすじ
あるあさ、クローイのクラスにこうちょうせんせいがおんなのこをつれてはいってきた。「てんこうせいのマヤですよ」マヤのかっこうはみすぼらしい。おべんとうのなかみもへんだ。クローイたちは、そんなマヤをわらいあい…。マヤとの出会い、無視しつづけた日々。でもある日、クローイは大事なことに気づく…。実力派作家コンビが描く問題作。シャーロット・ゾロトウ賞受賞、コレッタ・スコット・キング賞オナーブック。
感想・レビュー・書評
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E.B.ルイスの、写実的で生々しい絵のもたらす意義というのは、おそらく、「これは夢物語ではなくて、どこにでも起こりうる現実なのですよ」と、読み手に強く訴えたかった点にあるのではないか、と思ってしまう程、私たちが生きている世界の、無自覚な負の側面を見ているようで、読むのが辛かったです。
転校生の「マヤ」に対して、冷たい態度を取り続ける、「クローイ」。彼女は転校してきた初日から、隣の席になったマヤを無視し、その後、マヤの方から何度も遊びに誘ったり、声をかけてもらうが、ことごとく、相手にしなかった。
その理由というのが、私が知ると理不尽に感じられるが、その年代の子には充分あり得る気にさせられるものがあり、要するに、見た目だけで判断してしまったのである。冬なのに夏のような履き物だとか、お弁当の中身が変だとか。これだけで、その子の全てを分かった気になるのだから、子供って、時に残酷ですよね。無知と純粋さが合わさった結果なのかもしれませんが。
しかし、そこは、以前読んだ、「むこうがわのあのこ」のコンビであり(更に訳者も同じ)、こんな悲しい事がありましたよでは終わらず、未来に向けて、どう考えていけば良いのかということを教えてくれますし(その表現がまた素晴らしい)、そこには、
『世界を広い視点で見る』
『子供たちに考えさせる』
といった、「むこうがわのあのこ」との共通点も、感じ取る事が出来ました。
その根拠は、マヤの悲しみだけでは終わらず、クローイの心中も想像させるような物語にあり、これは私にとって、驚きだったのですが、あれだけマヤに酷い事をし続けた、クローイにも同情してしまうような、悲しみを感じられた事で、その後悔の思いは計り知れず、敢えて言葉に表さない事で真に迫るものがあって・・私まで彼女の気持ちに入り込んでしまいそうでした。
でも、それだけ思い切り後悔したのなら、次からはもう大丈夫だよね。思わず、そんなやさしい言葉をかけてあげたくなるような本書が、シャーロット・ゾロトウ賞受賞と、コレッタ・スコット・キング賞オナーブックなのも納得の、全ての学校に置いて欲しい作品だと感じ、もう二度とこんな辛い思いを子供たちにして欲しくないと、強く感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
〝ある朝、校長先生がクロ-イのクラスに女の子を連れて入ってきた。「転校生のマヤですよ」マヤの恰好はみすぼらしい。お弁当の中味もへんだ。クロ-イたちは、そんなマヤを笑いあった…。マヤとの出会い、無視しつづけた日々。 そんなある日、アルバ-ト先生が教室に洗い桶をもってきて、小さな小石を水に落とすと、さざ波が広がった 「優しさも、これと同じですよ。一人一人の優しさが、この世界をちょっとずつ良くしていくのですよ」 クロ-イは大事なことに気づきはじめる…人種差別や思春期の悩みを描くアメリカの児童文学作家の作品。
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さざなみのような
どんな小さなことでもいい -
わたしのクラスにひとりの女の子が転校してきた。マヤというその子はひどくみすぼらしい格好をしていた。わたしの隣の席が空いてたので、わたしはマヤと並んで座ったが、ずっと無視していた。マヤは休み時間にわたし達に話しかけて来たが、みんな無視した。そしてマヤの服装やお弁当の事を話題にして陰口をきいた。
ある日を境にマヤは学校へ来なくなった。
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絵もリアルだし、内容もとてもリアル。何処の国にも何処の町にもありそうな事柄。これまで苛めを扱った話は、どちらかと言うと被害者の目線で書かれたもにが多かったように思う。加害者目線で書かれているのは珍しい。最も本人達は意地悪をしているつもりはないだろうか。そういう意味では斬新な話で、問題作だと思う。
けれど後味は決して良くはなく、好きか嫌いか問われれば、好きではない。 -
絵がリアルだったのでなおさら…
いじめた側も心に残ることはありますよね
もちろんしてはいけないことなのですが
幼い頃は、あの小さな空間が全てだったなぁと
小さな頃に読んでおくべき本だと思います -
差別、いじめを書いた絵本。
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後悔を忘れないこと。
やさしさの水紋がひろがっていく。 -
じわじわと心に沁みてくる絵本です。主人公は一生、この心の痛みを抱えてやさしい人になるんだろうなあと思いました。
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読んでいて胸がぎゅうっとなりますが、とても勇気をもらえる絵本だと思います。