新装版 親なるもの断崖 第1部 (ミッシィコミックス)

著者 :
  • 宙出版
4.16
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本棚登録 : 245
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784776740643

感想・レビュー・書評

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  • 昭和初期の北海道・室蘭の幕西遊郭に売られた女の子3人の話。もともとは4人でしたが、初日の初見せの後、自殺。
    その子の妹は遊女に、もう一人の賢そうな子は芸妓に、いまいち美しくない子は下働きとしての日々を送る。遊女になった子を中心に3人の生きざまを描きつつ、当時の遊郭や女たち、客となった男たちの生き方を描いた話です。

    もともとは、電子書籍コミックの広告につられて読みだしたのですが、続きが気になるのと、話が壮絶すぎて読後は言葉を失いました。

    体を売る女たちがつらい思いをするのは買う男がいるから悪い、といえば簡単だけれど、この遊郭を訪れる男たちもまた、室蘭の重工業発展のための犠牲者であることを考えると一概に男たちを責めるわけにもいかないような・・・
    やるせない気持ちにもなりました。

    もうなにもかもすっ飛ばしてせめてこれだけは言いたい、といえば、番頭の直吉の思いが報われればいいな、と思いましたが・・・結局あかんかった。切

  • 自分の意思で早々に女郎になったお梅と厳しい修行を積む芸子の武子、同じように駆け落ちしたけど、立場が違うからその後のお仕置きが全然違う。(お梅の事助けないけどその後のフォローをする武子に絆を感じる)
    一方、女郎にならずに済んだ道子は自ら過酷な道を選ぶのだけど、正直、道子がブサイクなくせに男好き。いるよね、こういう子…に思えて仕方がない。もっともこの時代は女性は物扱いで金持ちの男のところに嫁ぐことがすべてで道子はブサイク扱いしかされてこなかったゆえの憧れが強いいのだろうけど。

    最後に道子の代わりの新しい下働き、うまいこと恋仲になって女郎になる前に若い番頭に身受けしてもらってたけど、番頭ごときの貯金で支払えるものなのか…?

    内容が内容だけに万人受けではありませんがおススメです。

  • 舞台は昭和初期の北海道室蘭。吹雪の描写から寒さが伝わってくるようだ。女郎、芸子、下働き、どの境遇も辛かろう。
    姉を弔い自ら女郎の道を選んだお梅、芸妓として武子と花柳界を二つに割る姿も見てみたかった。
    武子の名は才色兼備として名高い歌人からとったのだろうか。
    遊女について一時期よく調べていたが酢の洗滌で避妊していた事や鬼灯で堕胎していた事、知らなかった。
    この時代に比べると生きやすい時代になった。売春は法律で禁止されている。だが表向きの事。未だに性を売らざるをえない人がいるあたり、根本は全く変わっていない。

  • 4.17/228
    『 いつも空腹で目が覚めて思う
    ああ、今日も私は女郎なのかと――
    昭和二年四月
    青森から北海道の遊郭に売られてきた4人の少女
    人間たちの、男たちの毒にまみれながら
    それでも自分本来の
    女性としての姿を見出そうとしていた 』
    (裏表紙より)

    『親なるもの断崖』
    著者:曽根 富美子
    出版社 ‏: ‎宙出版
    コミック ‏: ‎416ページ(第1部) 全2巻

  • 漫画新書から。これはまた、ヘビーな内容で。ただでさえ軽んじられた女性の人権が、戦争によってさらにその厳しさを増していくさまが、まざまざ描かれる。

  • 昭和初期、女郎屋に売られた少女たちの生き様を描く本。
    フィクションとはいえ、実際にこのような状況であったであろう日本。戦争とか、共産革命とか、切望してしまう民衆が多く出てくるのは、当時の日本の経済状況によるところも大きかったのであろう。

  • なんか構成が微妙??
    話の流れに沿わず、いろんな事件が立て続けに起こる感じ…。
    この作品の芯は遊女の苦しみに満ちた人生になってるので、所々で戦争とか政治とかが文章でいっぱい説明されても、なんか頭に入らない。
    遊廓って非日常だから、外界との繋げ方が上手くないと駄目なのかも。

    そして良い人が一人もいないので応援できない…。みんな何でわざわざそんな事するの?って行動取るし。
    結局直吉は何者なんだー。。

    多分作者はいろいろメッセージを籠めたんだと思うけど、昼ドラ的な要素しか心に残らないかも。。

    二章を読めばまた違うのかな?
    総一の「無学なのを当たり前と思うな」という言葉は良かったです。
    しかし前向き要素ほぼ0なので読むのが辛い。

  • 室蘭の遊郭に売られた少女たちの壮絶な人生。
    女とは、男とは、親とは、戦争とは、人生とは?
    胸につまる内容ですが、引き込まれるように読みました。
    長い感想はこちらに↓

    http://zazamusi.blog103.fc2.com/blog-entry-1286.html

  • 1巻まで。
    昭和初期、北国で売られた少女たちが、北海道の炭鉱でにぎわう室蘭の遊郭での生活を描く少女たちの悲しい壮絶な群像劇。
    絶版になっていたが、ネットコミックに登場したことにより人気を呼び、再販された作品。

  • 涙無しには読めない。
    女性が体を売るという文化は形を変え、今もこの日本に商業として成立している。
    いつの世も、例えこの飽食の世に於いても女性が自分の身を売るという行為の背景には、どんなに粗末な理由でも、何かしら「そうせざるを得ない」訳があり、そして戦争という恐怖支配、男性主権の世から遠く離れたこんにちに至っても、性風俗産業のもつうしろぐらい側面は今も脈々とこの時代に受け継がれている。

    誰が悪かったのか、何が悪かったのか。
    ただ生きようとしただけだ、そして女達が生きたその道行きに、小さな小さな愛情が、悲哀が、幸福が、波の飛沫の様に生まれては消えていった。
    軍国主義のさなか、女郎達を真に愛した男達に、その愛情を信じた女達は果たして不幸であったろうか。

    戦争は良くない、という至極端的でリベラルな側面と、史実に基づいた当時の女性の貧困とその大変な苦しさをうまくドラマとして編集し描ききった大作であると思う。

    女版はだしのゲン、とでも言えるかもしれない。

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