レアル・マドリー: ディ・ステファノからベッカムまで 白い巨人の百年史
- ネコ・パブリッシング (2004年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784777050369
作品紹介・あらすじ
ジダン、ロベカル、フィーゴ、そしてベッカム。フィールドのキラ星を次々と飲み込み巨大化するブラックホールのごときR.マドリー。世界最高の名を冠し、史上最強の座に君臨する超ビッグクラブの核心に迫った渾身の一冊。
感想・レビュー・書評
-
すらすら読める本ではない。何せ100年以上の歴史があるクラブである。日本ではまだスポーツが一部の人間にしか行われていなかった時代に、多くの観客を集めていたクラブである。情報量はかなり多い。そのため字数も多く、読み始めて波に乗るまでに少し時間がかかる。
さらに、100年の歴史があるクラブだと政治との結びつき、社会情勢との結びつき、多くの登場人物が登場する。しかしながら、スペインの歴史やレアル・マドリーの過去の名選手は少しは聞いたことあるものの、詳しくはわからないのが普通である。
いくら情報が多い、グローバルな時代とはいえ、文化や歴史や土地の人々の想いは、現地に行ってみないとなかなかわからないものだ。レアル・マドリーとバスク、カタルーニャの関係などまさにそうなのだろう。いくら言葉で伝えようとも伝えきれない人々の想いと雰囲気がある。
また、いくらグローバルな時代でも、外国のクラブの歴史や社会情勢との結びつきまで掘り下げた情報は、日本では見つからない。そのため、この本はとても貴重である。
レアル・マドリーの誕生秘話。フランコ政権との結びつきからマドリードの一等地にクラブの土地を確保できたこと。FCバルセロナやレアル・ソシエダとのサッカーを超えた民族の戦い。何十年も前からスター選手を引き抜く習性のあるクラブだということ。長年クラブの運営を行い、レアル(王室の)・マドリーを育てた張本人、サンティアゴ・ベルネバウのこと。往年の名選手、ディ・ステファーノ、プスカシュ、ブトラゲーニョ、ヘント、ラウールなどのこと。チャンピオンズ・カップ8回優勝、リーグ優勝28回のこと。などなどエピソードは語りつくせない。
確かに不慣れなスペイン人や外人の名前が頻繁に登場し、誰が誰かがわかりにくかったりもするが、ゆっくり読めば上記のような面白い歴史が客観的によくリサーチされて描かれている。100年以上の歴史を辿っていくのは並み大抵のことではない。この本を読めばより深い見識でスペインリーグとレアル・マドリーを追って行く事ができることは間違いない。
Jリーグが誕生してまだ10年ちょっと。まだまだ歴史は浅い。今後90年、日本のサッカークラブがどのように推移していくのか、またはレアル・マドリーが歴史からどのように学んでいるかなどを考えつつ、今後観戦するとおもしろいだろう。
ちなみに、昔からスター選手大好きのレアル・マドリーが欧州チャンピオンを制したときには、必ずディフェンスの選手、または汗かき役の運動量豊富なバランスを取る選手を獲得している。現在のレアル・マドリーが歴史から学ぶとすると、つぎの獲得選手は誰だろうか?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
筆者が“マドリー寄りの中立”そを装いつつも実はかなりのマドリー寄りということは抜きにしても、言及の一つ一つにしっかりとした根拠のある、なかなか参考になる本だった。
個人的にはラウールに一章を丸ごと割いてくれたことに満足。