なぜ人類のIQは上がり続けているのか? --人種、性別、老化と知能指数

  • 太田出版
2.95
  • (2)
  • (3)
  • (11)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 130
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784778314279

作品紹介・あらすじ

現代人は頭がよくなっているのか?東アジア人のIQはなぜ高いのか?女子大生より男子大生のIQが高いのはなぜか?老化によって衰えやすい知的能力とはなにか?「フリン効果」の発見者が語る、現代人の知能の真実。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2700円購入2018-09-06

  •  IQ(知能指数)のスコアは、過去100年にわたって上昇をつづけている――この現象は、発見者の名を取って「フリン効果」と呼ばれる。
     本書は、「フリン効果」の発見者自身が、IQが上昇をつづけていることの理由と意味を探ったものである。

     本文は、かなり読みにくい。そもそも一般向け解説書ではなく、学術論文に近い専門書であるからだ。無味乾燥なデータの羅列がつづく部分も多い。
     また、IQ70以下の犯罪者は死刑が免除される、などというアメリカの特殊事情に準じた記述もあり、そのへんは我々日本人にはわかりにくい。

     そんなわけで、「面白く読める」というたぐいの本ではないが、それでも随所に驚きがあり、一読の価値はあった。

     また、精神科医の斎藤環が「はじめに」と「解説」を寄せているのだが、これが優れた文章で、独立した価値がある。本書の的確な要約になっていると同時に、本文にはない独自の視点も加えられた名解説だ。

  • フリン効果、TED、IQは遺伝でなく環境、反知性主義・・

  • IQテストの結果が過去数十年先進国では一本調子で上がってきている。50年で15ポイントくらい上がってきている。
    知能テストが知性をあらゆる側面から測れるものではないが、現代社会ではより抽象的なものを分析的に扱うようになり、それがテストの点数に反映されていると考えられる。また人種や性別で結果が違うが、それらは環境や統計的操作で説明がつく。とにかく統計的処理の話が多い。

  • フリン効果が生じる理由。思考習慣の変化、すなわち、分類、論理的抽象概念、仮定の使用。教育とマスメディアの功績。感覚的に納得できるこれらの結論のため、本書はほとんどの内容を研究事例の定量的検討に費やすので、本文は専門家でもない限り少し退屈。

  •  人類の知能は年々上がっている? そんなフリン効果と知能とは何かについてフリン博士本人が語る。

     抽象的思考をする機会が増えるなど、知的な習慣の変化によって、知能検査で計られる値は年々驚異的に上がっている。
     しかしそれは単純に知能が上がったことを意味しない。知能検査で計られる知能は脳、個人、社会の三要素が複雑に絡まって決定していて、先天的な知的能力だけではないのだ。
     そういう前提があって初めて国家間や人種間、男女の知能の差などをしっかりと考えることができるのだ。これは発達障害などについてもいえることだと思う。

     統計的な話も多くちょっと難しいところもあるが、知能に関することを考える上では必読の一冊。
     

  • 知能検査で測定するIQが時代とともに上昇し続けているという、「フリン効果」を報告したフリンによる著作です。IQはおおむね年0.3点ずつ上昇しているそうです。ですので、古く標準化されたIQ検査では、それを考慮に入れてIQを考えなければなりません。10年までに標準化された検査でIQ=71なら、実際は68かもしれません。そのことはよく理解できましたが、それ以外は、前提となる記載が、複雑なのか?、また理論の飛躍があるのか?、また知識不足なのか?(AだからBで、Bだから、Cというときに、もうBくらいで、意味が分からなくなる)、ついていけませんでした。後方視的解析を細かく分類して行っており、概略は正しかろうが、細かい部分まで、信頼ができるのかが判断できませんでした。また理解しやすくするため、例が出されるのですが、その例によって、むしろわかりにくくなっている印象でした。欧米の方ならわかりやすいか???相当背景知識がないとついていけないと思います。

全7件中 1 - 7件を表示

水田賢政の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×