- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784778318789
感想・レビュー・書評
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『射精責任』
赤の表紙にデカデカと書かれたゴシック体に、男性はビビリ、女性は我が意を得たり、と、大きく頷くのではないだろうか。
私は、このまるで古来からあるような説得力ある四文字熟語をはじめて見たとき、いろいろ腑に落ちた。
もちろん、この言葉は古来からあるわけではない。
今までは、望まない妊娠の責任は妊娠させられた女性のほうが負ってきた。今までは。
アメリカでは妊娠中絶に反対するプロライフ派と、女性の妊娠中絶に賛成するプロチョイス派が激しい舌戦を繰り広げている。
そこに、そもそも論を持ってきたのがこの本の著者ガブリエル・ブレアである。
‘’そもそも、妊娠の始まりって男性の膣内射精ではないか‘’
だったら、コンドームを正しく着ければ、望まぬ妊娠の先の中絶も大幅に減らせるのではないか。
エビデンスを元に、コンドームをなかなか着けたがらない(家父長制も関係あるそう)男性に『射精責任』を自覚させていく。
彼女いわく「望まない妊娠の責任は100%男性にある」
ガブリエル・ブレアは6人の子を持つ敬虔なモルモン教徒でプロチョイス派なのだそうだ。
説得力のある言葉を男性に向けて口を酸っぱくして繰り返している。
読んでる内に、本書は‘“女性による男性のしつけ本”に思えてきた。
私がもし、本書を読んだ、最近彼女ができたばかりのジェームス・フランクリン君(仮名・14歳)だったらこう言うだろう。←どっから出てきたジェームス
“オッケー、ガビー、ぼくは絶対セックスするときはコンドームつけるよ”
内容もだけれど、本のレイアウトもインパクト大。
翻訳は村井理子さん。
解説は社会学者の齋藤圭介さん。
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発売前から「射精責任」のタイトルと訳者が村井理子さんと知り、読むのを楽しみにしていた
インパクトのある赤い表紙、目に飛び込んでくる「射精責任」の文字で装丁もカッコいい!
読むやすい文字の大きさ、28の提言に分かれている
(文字が見にくいお年頃にはありがたい)
・セックスをするから望まない妊娠をするのでは
ありません。
・望まない妊娠は男性が無責任に射精をした場合に
のみ起きるのです。
気持ち良いくらいバサバサと切り込んでいるが、決して男性を非難していない
他の方の感想にあったように性教育のバイブルにしてほしいくらいの本
性教育は人権教育だから
幼児期から(自分の心と体を大切にすること)学べる時間をもっともっと家庭や幼稚園、学校で取り入れてほしい
あとがきより(村井理子さん)
「少子化、出産、子育てにまつわる議論の中心に
置かれるのは、今でも、私たち女性だ。
私たちはその議論の中心に、
男性も参加してほしいと願っている」
また読みたいと思う
そして男性にも女性にも読んでほしい本! -
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女の本屋 > 著者・編集者からの紹介 > ガブリエル・ブレア・著, 村井 理子・訳,齋藤 圭介・解説『射精責任』 投稿◆藤澤千春(太田出...女の本屋 > 著者・編集者からの紹介 > ガブリエル・ブレア・著, 村井 理子・訳,齋藤 圭介・解説『射精責任』 投稿◆藤澤千春(太田出版・編集者)・齋藤圭介(岡山大学・解説者) | ウィメンズアクションネットワーク Women's Action Network
https://wan.or.jp/article/show/107922023/09/01
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日本で果たしてこの本が受け入れられるかどうか?
と一瞬思うほどのインパクト!赤い表紙に大きいポイントのゴシック体で書かれた見出し。
しかし、書かれている内容は極めて当たり前、コロンブスの卵のような発想の内容だった。
そうだ、そうなのだ。
プロライフ派とプロチョイス派の中絶を巡る議論の衝突は、女性の選択の問題として語られがちだが、望まない妊娠のための中絶に女性を追い込んでいるのは、確かに男性である。あったり前田のクラッカーだった笑
なぜそれが議論されなかったのか?
読み終わって改めて不思議な気分だ。
作者ガブリエル・ブレアは6児の母でありモルモン教徒だという。そういう自身の保守的とみなされやすい属性を逆手に取って発言したのは確かに意義があると思う。
このような女性が存在するところがアメリカの強さだ。
映画「バービー」は韓国と日本ではヒットしていないそうだ。東アジアの儒教的イデオロギーの強い国で、この本がどのくらい受け入れられるか、疑問に思う部分もあるが、ジェンダー意識だけはゆっくりと確実に変化している。この本が提示した問題もゆっくりと確実に浸透していくと信じたい。 -
“セックスをするから望まない妊娠をするのではありません。望まない妊娠は、男性が無責任に射精をした場合にのみ起きるのです”
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発売前からとても話題になっていて、気になっていた。とても目立つ真っ赤な表紙。
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男性の身体の仕組みのこと、女性の身体の仕組みのこと。身体と気持ちのこと。そして、避妊することについての、各種の方法。その、いいとこ、わるいとこ。
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この本で、保健体育の授業を定期的にやった方がいい。ものすごく勉強になる。
数字に基づいた分析にも、とても納得できる。
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愛している相手を不安に陥れないためにも
自分の身体のことがわからなくて不安になってしまう人も
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“本書はなにも「崇高な人間になれ」と男性に求めているわけではない。男性の責任感とわずかな手間で、他者を傷つけなくて済むための具体的な方策を教えてくれているだけだ”
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男性だけを責めているわけじゃない
きちんと、お互いを理解しようよ
ということを言っている
※
煽るような、煽られるような雰囲気だけじゃなくて
生殖能力を持つ全ての人が知った方がいい
男女共に、もっと若いうちから読んでほしい。
お互いに長く誤解しないためにも -
図書館本
衝撃的なタイトルと、なかの見出しも大きな文字でドキッとする言葉。
でもこの本は、それが売りではない。
中絶の責任の所在。
これまで、そして現在も、女性にどれだけの負担を強いているのか。それを理解した上で議論されなければいけない。
その理解というものが、甚だ不安定なものであったり。
ただ深く考えずして、中絶は否と言い切れるものではない。めっちゃ考えさせられる一冊。
アニーエルノーの『事件』とセットで読みたい。 -
著者のブレアさんは、アメリカのモルモン教徒。6児の母でもある。
確かモルモン教は、中絶はしないと言う教えだったはずだが、恐らく望まない妊娠もあったのだろう。
そしてアメリカでは人工中絶を法律で許すのか(プロチョイス)、許さないのか(プロライフ)で、世論を二分している。プロライフの方は、胎児の代弁者として、中絶は命を不当に奪っていると主張し、キリスト教福音派に多い。(かのセクハラ、歩く生殖器みたいなドナXX・XXンプ氏がこれを主張しているのは、悪い冗談のような気がする)
ここでブレアさんが言うのは、中絶賛成・反対の議論が出てくる前に、望まない妊娠をどうするかと言う本質的な話しがあるべきだと。そして、その妊娠を避けるには、女性の避妊方法ばかりが挙げられ、妊娠の張本人である男性のことが、あまりにも話題にされないと言うことだ。
安くて、簡単に使えて、しかも避妊成功率も高いコンドームをなぜ使わないのか?と。
確かに、中絶話の俎上に上がるのは女性だ。毎日でも的中率の高い精子をぶっ放す能力のある男性が、きちんと女性のこと、将来のことを、しっかり考えていれば、人工中絶は、少なくなるはずだ。
日本の21年度での人工中絶は、把握されているだけでも12万6174件。毎日平均345人が中絶しているとのことだ。
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赤ちゃんを産んで遺棄した母親が逮捕された、こんなニュースを耳にするたびに、なぜ父親は罪に問われないのだろうと、ずっと疑問に思っていた。
「中絶議論の出発点を動かす」これは、言われてみれば当たり前のようで、でも今まで誰も口にできなかったことだ。
著者の勇気と、この本を手に取ってくれる男性に敬意を表します。 -
インパクトのある表紙、タイトル。
でも決して気を衒ったものではなく、
今までの望まない妊娠に伴う真逆の視点を、
28の短く読みやすい章構成で、
繰り返し分かりやすく説いてくれている。
望まない妊娠に伴う報道を見る度に
「ところで〈原因〉のはずの男はどこに?」と
モヤモヤしていた気持ちを、
筆者が言語化してくれた。
中学生高校生で、必修科目にしてほしい。
そうすれば、男女がお互いを思い合えるし、
身体も心も傷ついて人生を狂わされる人を減らすことができるはず。
> ブックカバー云々の前に、
noteを読んでいたら、サブリミナル効果を期待して電車内でカバ...
> ブックカバー云々の前に、
noteを読んでいたら、サブリミナル効果を期待して電車内でカバー無しで読む。って方が、、、(猫は文庫化待ち←なるのか?)
あ!その方のnote、わたしも拝読しました!
インパクトのある、ある意味「ひとりデモ」だなと思います。
文庫化...
あ!その方のnote、わたしも拝読しました!
インパクトのある、ある意味「ひとりデモ」だなと思います。
文庫化、ヒットしたらなるんじゃないでしょうか。
訳者は村井理子さんですし。
> ある意味「ひとりデモ」
ナルホド、、、
> ヒットしたらなるんじゃ
太田出版って文庫出してないから、何所か別の...
> ある意味「ひとりデモ」
ナルホド、、、
> ヒットしたらなるんじゃ
太田出版って文庫出してないから、何所か別の版元に移るコトになるけど、新潮社かなぁ(想像しても仕方の無い)