- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784779116261
作品紹介・あらすじ
センセーショナルな報道の裏側で忘れられてゆく子どもたち・・・
多数の犠牲者を出した2008年12月から2009年1月にかけてのイスラエルのパレスチナ・ガザ地区への電撃攻撃。殺戮の現場を目撃した子どもたちの目線から戦争を描いたドキュメンタリー。好評映画『ガーダ パレスチナの詩』に続く第2弾!
パレスチナで何が起こったのか……
人間の心には獣が棲んでいる、そんなことを思わせてくれる映画である。
しかし、古居の映画は少しずつトーンが変わっていく。
子どもたちの心が変わり始める。
――――鎌田實(医師・作家)
感想・レビュー・書評
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イスラエルの軍隊はパレスチナに対して、本当に酷いことをしている。歴史は繰り返すのだろうか。問題は土地だ。全て土地問題。
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ぼくたちは見た 古居みずえ パレスチナドキュメンタリー映画 感想
2008年12月27日からのパレスチナのガザでのイスラエルのパレスチナへの攻撃の様子などを子供たちに聞いたドキュメンタリー。
死者パレスチナ1383人イスラエル13人
家全壊3540軒 一部壊れた2870軒
壊された家60188世帯
改めて数字を見るとその損害のひどさを感じた。実感するという言葉は語弊があると思った。現地へ行かないと、現地の人の話を聞かないとわからないのだろうなと思った。これだけ家が壊されても、コンクリートとかはガザには入れられなかったように思う。この人たちが一体どこで生活しているんだろう?
アラビア語の単語がいくつかわかった。方言と標準語って全然違うから、通じないと思っていたけれど、結構同じなんだなと。単語を覚えようとやる気になった!
「攻撃で母親がしんだのだが、母親は日ごろいっそ死んで楽になりたいといっていたから、神様が願いを叶えたのかもと。」
子供にも愚痴るような状態って、すごくひどいんだろうと思った。確かイスラムは自殺を禁止されているから(合ってます?)自殺はできないんだろうが、したいと思う人もいるんだろうな。日本はパレスチナよりも安全で平和なのに自殺者がいるくらいだから、パレスチナだったら、ひどい状態だから、そういう人もいるのだなと思った。
「サムニ家の人がひとつの家に集められて、ミサイルが30発うたれた。頭が飛んできたり脳が出ていたりしている人がいた。自分はもう死んでいると思ったから、家を出るのも怖くなかった。」
こんな経験したら、絶対にトラウマになるんだろうなと思った。
「攻撃で家族を殺されたりして、どんなに大事なものを失ったかを考えると叫びたくなる。」
大事な家族を殺されて、どんな気持ちだろう。私には想像できない。想像できるというとおこがましいと思ってしまう。叫びたくなる気持ちをイスラエルにぶつけるのだろうか?
「こんなことあるわけないと考えてしまう。信仰で抵抗すれば武器よりも強い。」
信仰で対抗する以外他にない。子供でさえそんなことを考えているんだ。
「支援や封鎖解除よりも事実を知ってほしい。」
これはよく言われることだ。私もいろいろな人にこの映画のことを話そうと思う。 -
子供たちが皆口にする「私たちが何をしたというの?なぜ攻撃するの?なぜ?なぜ?」。これがすべてを表しているように思える。こういった憎しみが、また負の連鎖を巻き起こす。平和的解決は無理なのだろうか。
イスラエル軍の"狙い"は明らかだし、自分たちのしたことを隠蔽するような事実も存在した。世界的に見て、第二次世界大戦でユダヤ人が味わった大量虐殺(ジェノサイド)が、情けをかっているのかもしれない。
しかしながら、その後50年以上に渡ってジェノサイドを繰り返しているのは、そのユダヤ人自身だ。
パレスチナ問題を語るには、そこまで遡る必要があるなと再確認させられた。
子供達の言葉は、純粋で、ストレート。心を強く突き動かされる。
このような取材を行った著者の古居みずえさんに敬意を示したい。 -
2001年頃、ガザに行ったことがある。
そこで現地の人に聞いた話はこの本と同じ内容だった。パレスチナは40年前から今に至るまでずっと強奪と虐殺にさらされ続けていると彼らは言う。
例えば労働禁止されている中食べ物ないので畑に行った人は射殺される。街にはよく戦車が来て特に理由もなく砲撃し、パレスチナ人の住居を機関銃で撃ちまくる。死者負傷者に大人子供の区別はない。パレスチナ人の負傷者を回収しようとする赤十字の救急車はイスラエル兵の銃撃に阻止される。街や道路はたびたびイスラエル軍に封鎖され、仕事に行けなかったり物資が入ってこなくなる。俺たちに死ねと言うのかと封鎖ゲートで抗議するパレスチナ人にイスラエル兵は言う。そうだ。お前たちはそこで死んでゆけ。
なぜイスラエルはナチスに受けたこと以上のことを他者に行えるのか、そしてなぜそれがずっと現在進行形で続いているのか。
この本は世界の一辺を描写することに務めていて、それ以上のことは何も語らない。政治的主張も行われない。ただインタビューの積み重ねがあるだけだ。だが読後の読者の胸に強烈な衝撃を刻み込む。
この本の存在を知った人は、必ず読むべき本だと思う。