文化地理学ガイダンス: あたりまえを読み解く三段活用

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  • ナカニシヤ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779501012

感想・レビュー・書評

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  •  みなさんは,今どんなことに関心をもっていますか。スポーツ,音楽,旅行,食べ物,政治など,いろんなことに関心があることと思います。でも,それってどうすれば「研究」になるの?と感じる人も多いでしょう。専攻や,所属する研究室を決めるにあたり,自分の関心と学問領域をうまく結びつけられない,という人もいることと思います。
     本書は,地理学の立場から,さまざまな文化現象に対してどのようにアプローチして研究を進めていけばよいのか,という「問題意識」や「視点」の作りかたを説いた本です。地理学では,スポーツ,音楽,旅行,食べ物,政治など,世の中にあふれるあらゆる文化現象が研究対象となります。そうした「自由度の高さ」や「懐の深さ」が地理学の魅力でもあります。自身の関心を地理学的にみていくとどういうアプローチができるか,地理学の立場から自身の関心をみるとどう位置づけられるか,ということを,本書では具体的な事例を追いながら,やさしい解説とともに説明してくれます。
     地理学の初学者に向けて書かれた本であることから,学部1~2年生が自身の関心を昇華させていくための「虎の巻」としても活用が期待できます。学問の枠にとらわれずに,まずは興味関心に応じて文化現象を考えてみたい人にとっても,最良の書となることでしょう。
    (ラーニング・アドバイザー/地球 SUZUKI)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1299247

  • 今からはじめる「文化地理学」という帯を付けてあげたいくらいの名著。こんなことまで研究対象なのか!と、文化地理学、つまりは地理学の自由度の高さに驚かされるはず。細々とした研究手法への踏み込んだ知識まではいかないものの、研究事例を確認し、着想を得るにはもってこいだ。研究の詳細な手法は、余程確立された研究分野でもない限り自身で編み出す他ないので、これ以上は望めない。

    この中でもっとも素晴らしいのは、テーマに対してどのように問題意識を抱き、どのように思考し、結論を導きにかかるか。を細かく示していることにある。学問に最も大切なのは発想力であり、その発想、着想を得るには、常にアンテナを張り、批判的に物事を眺める姿勢が必要だ。

    そういった一連の研究者になるためのシステムを脳味噌に叩き込んでくれる。しかも、難解な言葉がゴチャゴチャと並ぶ、自己満足系の指導書とは異なり、実に読みやすく、良くまとまっている。心理学等の出版物で多大なる信頼を勝ち取ってきたナカニシヤ出版らしい出来栄えだ。

    地理学に対する予備知識や興味がなくとも、時間をかければ誰もが納得できるまでに噛み砕いており、導入部の易しさも評価できる。ことあるごとに「地理学」と煩い私を見て、興味を持たれたのであればこちらの一冊をお勧めしたい。

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著者プロフィール

1957年富山県生まれ。
1987年ルイジアナ州立大学博士課程地理学人類学研究科修了。Ph.D.(地理学博士)。
現在、三重大学人文学部教授。専攻は文化地理学、アメリカ地誌。
著書:『ルイジアナの墓地―死の景観地理学―』(古今書院、1997年)、『文化の法則を探ろう』(三重大学出版会、2000年)

「2022年 『文化地理学ガイダンス[改訂版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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