- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784779632716
感想・レビュー・書評
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いやはや面白い本だった。少し前に読んだ『スーパーカー誕生』の著者による本だが、あちらがその「取っ付き」に反して、読み終えるのにかなりの気力を要したのに対し、こちらは軽い驚きに満ちた納得感が、一気読みの背中を押してくれた。
お客様にとって軽トラとは「選ぶ」ものではなく「代替えする」もの…ゆえに、モデルチェンジで1つでも「悪い」とされる点があることは許されない。ネット全盛とされる今日だが、農業・漁業コミュニティでの「口コミ」による情報伝播力さらにいえば破壊力は、ネットのそれとは比べものにならぬほど強力だ。
一方で、衝突時の安全基準に準拠するための設計変更は不可避。市場規模は限られたゼロサムゲームの中、ワンモデルの寿命が乗用車の何倍(平均10年)にもなる軽トラ設計陣へのプレッシャーは、想像を絶するものがある。
わがままなユーザーは、そのくせ「同じものを買ってる気持ちになるのは嫌なので」デザインには斬新さを求めるのだと。
首位ダイハツがシェア45%、続くスズキが30%、ホンダのアクティは10%に満たないながら、独自性の高い設計と、乗用車との混流生産によるコストダウンで存在感を確立している。ちなみに、同車のエンジンは横置きミッドシップ、ランボ・ミウラと同じである。
スバル・サンバー編では、牛を荷台に載せたら、荷台が凹んだクレームから始まる。一頭で600kg、脚一本で150kgが一点に集中すれば凹まないわけがない!
タイヤ、エンジンなどの各論に触れた後の最終章は、再びスバルサンバーの赤帽専用車。チョイ乗りが大半の他の軽トラと異なり、平均年10万キロを走るこの車は、設計思想からして、他とは全く異なる、他車をベンチマークすらしていなかったという。
1台100万円しないものが年間20万台、奇しくもランボルギーニ社の年間売上1790億円(2018年、販売台数は3千台ほど)とほぼ同じ規模というのが興味深い。
「#軽トラの本」(三栄書房、沢村慎太郎著)
Day212
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一時期軽トラの前輪が前へ行ったり戻ったりしたのはなんでかなと思っていたけど、これを読んでわかった。そういうことだったのか。
軽トラを製造しているメーカーの開発担当者へのインタビューがメイン。そこから見えてくる軽トラというクルマの立ち位置があぶり出されてきていて面白かった。
「乗用車=消費財、軽トラ=生産財」という図式も納得感あるし面白い。
軽トラが欲しくなってきちゃうなぁ…
以前、ツインリンクもてぎで開催されていた「INDY JAPAN」でチーム用に大量投入された軽トラ(アクティ)が外国人にかなり好評だったという話を思い出した。乗り降りしやすくて小回りのきく軽トラは場内トランスポーターとしては使いやすそう。パドックから少し離れたオーバルコースを使うINDYカーレースならなおさらかも。
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ウンチク集だよね
ところどころにはあるんだけど、もう少し写真やイラストほしいな。書いてることはニッポン天晴!って自慢できる気になるんだけど、イメージしにくいな。
いずれにしても、サンバー亡き後のダイハツ一人勝ち状態は好ましくないな。スズキもホンダも気合入れてほしいな。もっとも、私はジャンボがあるハイゼットしか選択肢はないんだが。 -
メカニックに関する素養がないので、正直なところ、書いてある6〜7割程度しか理解できなかったが、読んでいるうちに、軽トラという厳しい制約の中で費用対効果を突き詰めた結果として生まれた車が好きになってしまう一冊。名著。