- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784780801255
作品紹介・あらすじ
戦後最大の奇書『家畜人ヤプー』の著者・沼正三、ついに逝く─
●沼正三がその死の直前までSM専門誌「S&Mスナイパー」(ワイレア出版、現在は休刊)に書き続けた実体験エッセイ、「ある異常者の体当たり随想録」から選集。
●未完の短編小説「化粧台の秘密」、2006年に受けた生前のインタビューを特別収録!!
感想・レビュー・書評
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知らない世界の出来事。
『家畜人ヤプー』を読んだ時も相当衝撃を受けたけど、その作者とされる人の経験を書いたこの本も、物凄く衝撃的。
この頃では、ゲイやら女装家やらは容認されつつあるけど、作者のようなマゾヒストという人物はなかなか受け入れられないだろうと思う。
実際、近くにいたら気持ち悪い。
自分で自分を変質者だと分かっているから、ここまでできるのかなと思ったり。
目的がハッキリしているから、確かに無害ではあるけど……。
非常に興味深く読んだ。
どうすれば、相手の警戒心をとくことが出来るか、相手の心情の変化を誘うよう振舞うことができるのがすごい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マゾヒズムを目の当たりにするの自分はあまり好きではないようだ。
ヤプーなみに吐き気を催す。
しかしながら、沼は三島なのかとも言わしめたその人の姿を知りたい衝動は抑えきれなかった。 -
内容は
沼さんがヤプーの作家として名を伏せていた時代なんかに
他の名前でマゾヒズムについて書いた連載エッセイ等。
そのエッセイの内容は
飽くなきマゾヒズムの探求というか悶絶。
もう気の毒なほどのご努力。
しかし、ものすごく頷くような人間考察も。 -
「遊戯派」ではない、「生活派」マゾヒスト、天野哲夫。「普通」と認識されている「子宮に向けて」の欲望は一切無く、ひたすらに求道者の様にある時は精神薄弱者を装い、女性に家庭教師を受ける行動派。しかし、だ。勤め人としての顔を持ち、その状態を「酔」、マゾヒスト的な精神状態を「醒」と言いながら、御自分はその嗜好故に童貞であり、肉体を愛せない10歳年下の「処女妻」を持ち、養子を育てるその矛盾はどう解釈したらいいのか。妻に罪悪感を持っていると述べつつ、結婚した事は「世間体」を気にした偽装では?少しフェミニスト入っているワタシは其処が解せない。
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著者は昨年11月に亡くなられたそうです。『家畜人ヤプー』のこまごまとした描写が好きでした。