それから (まんがで読破)

著者 :
  • イースト・プレス
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本棚登録 : 126
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781602004

作品紹介・あらすじ

明治時代後期、新興ブルジョアである長井家の次男・代助は大学を卒業後、親の援助のもとで定職にもつかず、数ある縁談話も断り独身生活を守り続けていた。愛に対しては淡白な代助だったが、友人夫婦との再会で、己の中の真実の愛に気づいてゆく…。近代社会の孤独な人間心理を描く夏目漱石前期三部作のひとつを漫画化。

感想・レビュー・書評

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  • こころ、もそうだけど、漱石辛気臭い。

  • 時は明治時代。西洋化されていく日本。嫌世感から働こうとしない主人公。しかし、嫌世感というのは言い訳で、実は三角関係となる想い人があった。時代背景、人間関係の構図は、『こころ』にも相似している。

    主人公長井代助30歳。成功した実業家長井得の次男として生まれる。東大卒。兄長井誠悟が事業を継ぐ。

    東大の同級生だった平岡、菅沼。菅沼の妹だった三千代。代助と三千代はお互い想いつつあったが、菅沼がチフスで死去。卒業後、平岡が三千代への想いを代助に告白したことにより、代助が平岡と三千代の間を取り持ってしまう。平岡と三千代は結婚し、銀行マンだった平岡は転勤により三千代を連れて関西へ赴く。

    3年経過。平岡が三千代を伴って帰ってくる。三千代は出産するも子供をなくし、また平岡は、部下の使い込みで実質解雇になった。平岡は酒を飲み荒れるようになり、部下の使い込みの返済と酒代で借金を抱えてしまう。

    一方、代助は、良家の子女との縁談が進もうとしている。平岡の命により、三千代が代助に500円、無心に来る。義姉からなんとか200円を工面する代助。三千代との再会により、代助は、自分の中の「真実」「自然(こころ)」に気づく。代助が前向きに動けなかったのは、嫌世感ではなかったのだ。

    縁談を断り、三千代に告白する代助。三千代の同意を取り付け、平岡にも三千代をくれるよう告げる。

    しかし、平岡は事前にその気配を察しており、長井家に代助の不義を密告していた。代助は長井家に絶縁される。

    全てを失ったかに見えた代助。しかし、三千代との相思相愛という「真実」「自然(こころ)」を手に入れた。「もう、なるがままになれ。すべてはそれからだ。ああ、動く。世界が動く」とつぶやく代助。果たして、代助と三千代に明るいそれからの未来は来るのだろうか?完。

    8月19日読了。

  • まんがで読破を読破するシリーズ。
    「それから」は学生の頃に読んだことがあるけれど、三部作なんて明治のダメ人間が許されぬ愛に走る話ばかりだから、ごっちゃになっていて細かいところまでは覚えていなかった。
    無理に再読する必要はないですね。

  • [墨田区図書館]

    ふとみた図書館のティーンズ本コーナーで見つけた、「まんがで読破」シリーズ。知る人ぞ知るで有名なシリーズのようだったけれど、これまで知らなかった!のでとりあえず息子が読みそうな「昆虫記(ファーブル)」と「動物記(シートン)」、続いて「おくの細道(松尾芭蕉)」と「銀河鉄道の夜(宮沢賢治)」、更に「十五少年漂流記(ヴェルヌ)」と「緋色の研究(コナン・ドイル)」と読ませ、「黒死館殺人事件」と「クリスマスキャロル(ディケンズ)」まで何とか読破。

    そろそろ絵本チックなものも少なくなり、思想文学的なものが残ってきたので、「吾輩は猫である」と「こころ」「明暗」を始め、墨田区に5冊所蔵されている夏目漱石シリーズを読ませてみようと画策。上手くいけば次はヴェルヌものか、多少物語化されているならダンテの新曲などに転んでみようか。

  • レビュー省略

  • 主人公が迷いの気持ちにより、友人に好きな人を譲ってしまい死んでいるような人生を送ってしまうお話。
    この主人公いい人なんだよな。けど、最後には友達から好きな人を奪って、一緒になるはなし。
    失うものはたくさんあり、家族との絶縁、友人、いろいろある。
    最後は好きな人と一緒になって幸せになれたかわからないところで終ってしまうが、オイラは幸せになっていると断定できる。嫁さんにもらった人は長生きしない病気で早く亡くなってしまうかもしれないが、人生に悔いを残さなくて済む。

    ホントは、友人と結婚する前に一緒になっていればもっと幸せになっていたと思うが、物語なのでコレで有りだと考える。
    悔いを残さず生きたいと強くオイラは考えたよ〜

  • 小説のエッセンスがコンパクトに漫画になっている。

  • 2012年読了

  • 明治の時代でも、こんな感じのドロドロ感はあったんだなと思う。ということは、人間なんて明治からの100年でたいして変わっていないということ。

  • ・結婚式から
    ・「あぁ 世界が動く」

    原作を2年前に読みました。丁寧に。
    冒頭の結婚式のシーンは、原作には回想だけで時系列的をメインに合わせたものと思われ。原作の代助のグダグダした 感覚やら 思考 をザックリ削いであるぽい。時代にズレた風刺的な面を削いで、恋愛模様だけを抽出した感。恋愛模様、と書くのは著者やら論評家に殴られる気がするけど。自然の流動だけを捉えた、と言えばいいですか?ただ、個人的には大きめの共感を得た代助の「心臓の鼓動を確認する」描写が消したのは~ まぁしゃあないかw彼の自身への過信はその辺に感じてるはずなんだけど。

    どちらにせよ言い回しをこねくってこねくってやってはいるが 糞人間が偉そうな事だけ言う お話。動き始めてはいるが動いた描写はあまりないぜ。
    モテたら「人間失格」
    モテなかったら「それから」
     そんな感じっす。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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